64 / 64
番外編:紺碧色の空〜最終話〜
しおりを挟む
「おかたま~」
トテトテと走って来るミランの後ろから、心配そうにユリウス様が付いて来るのを見て笑ってしまいました。
相変わらず旦那様は過保護なんだから。
上の娘ユリシーナが生まれた時もそうでしたわ。
転ぶんじゃないかと、後ろからソワソワしながら付いて歩くのです。
そのユリシーナも六歳になって、お姉さんらしく振る舞うようになりました。
三歳年下の弟、ミランの面倒もよく見てくれるので助かっています。
「おかたま、抱っこ~」
「ミラン、お母様のお腹には赤ちゃんがいるんだよ。父様が抱っこしてあげるから、我慢できるかな?」
私に手を伸ばすミランを、後ろからユリウス様が抱き上げます。
「あかたん?おかさま、あかたんいる?」
「そうよ、ミラン。ミランはお兄ちゃんになるの」
「みらん、にいたまなる!」
ユリウス様がミランを膝に座らせ、私の隣に座ります。
私がミランの髪をゆっくりと撫でると、ミランはそう言ってニコニコと笑いました。
ユリシーナもミランも、本当に素直で可愛いわ。
そのユリシーナは、現在王都のお父様お母様のいるアデライン伯爵家にお泊まりに行っています。
アデライン伯爵家、お兄様がラナリス様と婚姻された年に陞爵を受け入れて、伯爵家となりました。
アデライン伯爵家の養子となったダグラスお兄様が、帰りは送って来てくださるそうです。
ダグラスお兄様は、去年ご結婚されました。
伯爵家のご令嬢で、とても可愛らしい雰囲気の方ですわ。
私とダグラスお兄様は、血は繋がっておりませんけど、お兄様もお義姉様も、ユリシーナのこともミランのことも可愛がってくださいます。
色々と辛い思いをされたダグラスお兄様ですが、幸せになっていただきたいと思いますわ。
ヒルトお兄様とラナリス様のところには、王子殿下がお生まれになりました。
ミランと同い年ですわ。
お兄様曰く、私に似ているそうです。
それはヒルトお兄様に似ているの間違いでは?
お兄様の腹黒が似ないと良いのですが。
「どうした?ミリム」
「いえ、お父様たちがユリシーナを甘やかしていないと良いのですが」
「それは無理だろうな。ユリシーナはミリムの幼い頃にそっくりだと、ヒルトも言っていた。義父上たちからしたら可愛くて仕方ないだろう」
そんなに似ているかしら?
確かに髪色は私と同じ銀色ですけど、瞳はユリウス様の紺碧色ですのよ。
お父様たちはとにかく、生まれた時からユリシーナをかまいたくて仕方ない様子でしたの。
次々とおもちゃや服を買おうとするので、止めるのが大変でしたわ。
「ミリム、ありがとう」
「ユリウス様?急にどうしましたの?」
「俺に、こんなに可愛い家族を作ってくれて。あの日、ミリムに婚約を申し込んで本当に良かった」
ふふっ。それは私の台詞です。
あの日、婚約破棄を宣言され・・・言われたのは王女殿下でしたけど、ユリウス様と知り合えて、本当に幸せですわ。
「これからもっと幸せになりましょうね?」
「ああ。幸せにする」
ユリウス様に肩を抱かれて見上げた辺境伯領の空は、ユリウス様の瞳のようにとても青く綺麗です。
トテトテと走って来るミランの後ろから、心配そうにユリウス様が付いて来るのを見て笑ってしまいました。
相変わらず旦那様は過保護なんだから。
上の娘ユリシーナが生まれた時もそうでしたわ。
転ぶんじゃないかと、後ろからソワソワしながら付いて歩くのです。
そのユリシーナも六歳になって、お姉さんらしく振る舞うようになりました。
三歳年下の弟、ミランの面倒もよく見てくれるので助かっています。
「おかたま、抱っこ~」
「ミラン、お母様のお腹には赤ちゃんがいるんだよ。父様が抱っこしてあげるから、我慢できるかな?」
私に手を伸ばすミランを、後ろからユリウス様が抱き上げます。
「あかたん?おかさま、あかたんいる?」
「そうよ、ミラン。ミランはお兄ちゃんになるの」
「みらん、にいたまなる!」
ユリウス様がミランを膝に座らせ、私の隣に座ります。
私がミランの髪をゆっくりと撫でると、ミランはそう言ってニコニコと笑いました。
ユリシーナもミランも、本当に素直で可愛いわ。
そのユリシーナは、現在王都のお父様お母様のいるアデライン伯爵家にお泊まりに行っています。
アデライン伯爵家、お兄様がラナリス様と婚姻された年に陞爵を受け入れて、伯爵家となりました。
アデライン伯爵家の養子となったダグラスお兄様が、帰りは送って来てくださるそうです。
ダグラスお兄様は、去年ご結婚されました。
伯爵家のご令嬢で、とても可愛らしい雰囲気の方ですわ。
私とダグラスお兄様は、血は繋がっておりませんけど、お兄様もお義姉様も、ユリシーナのこともミランのことも可愛がってくださいます。
色々と辛い思いをされたダグラスお兄様ですが、幸せになっていただきたいと思いますわ。
ヒルトお兄様とラナリス様のところには、王子殿下がお生まれになりました。
ミランと同い年ですわ。
お兄様曰く、私に似ているそうです。
それはヒルトお兄様に似ているの間違いでは?
お兄様の腹黒が似ないと良いのですが。
「どうした?ミリム」
「いえ、お父様たちがユリシーナを甘やかしていないと良いのですが」
「それは無理だろうな。ユリシーナはミリムの幼い頃にそっくりだと、ヒルトも言っていた。義父上たちからしたら可愛くて仕方ないだろう」
そんなに似ているかしら?
確かに髪色は私と同じ銀色ですけど、瞳はユリウス様の紺碧色ですのよ。
お父様たちはとにかく、生まれた時からユリシーナをかまいたくて仕方ない様子でしたの。
次々とおもちゃや服を買おうとするので、止めるのが大変でしたわ。
「ミリム、ありがとう」
「ユリウス様?急にどうしましたの?」
「俺に、こんなに可愛い家族を作ってくれて。あの日、ミリムに婚約を申し込んで本当に良かった」
ふふっ。それは私の台詞です。
あの日、婚約破棄を宣言され・・・言われたのは王女殿下でしたけど、ユリウス様と知り合えて、本当に幸せですわ。
「これからもっと幸せになりましょうね?」
「ああ。幸せにする」
ユリウス様に肩を抱かれて見上げた辺境伯領の空は、ユリウス様の瞳のようにとても青く綺麗です。
235
お気に入りに追加
1,101
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(61件)
あなたにおすすめの小説
【完結】もう結構ですわ!
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
恋愛
どこぞの物語のように、夜会で婚約破棄を告げられる。結構ですわ、お受けしますと返答し、私シャルリーヌ・リン・ル・フォールは微笑み返した。
愚かな王子を擁するヴァロワ王家は、あっという間に追い詰められていく。逆に、ル・フォール公国は独立し、豊かさを享受し始めた。シャルリーヌは、豊かな国と愛する人、両方を手に入れられるのか!
ハッピーエンド確定
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/11/29……完結
2024/09/12……小説家になろう 異世界日間連載 7位 恋愛日間連載 11位
2024/09/12……エブリスタ、恋愛ファンタジー 1位
2024/09/12……カクヨム恋愛日間 4位、週間 65位
2024/09/12……アルファポリス、女性向けHOT 42位
2024/09/11……連載開始

願いの代償
らがまふぃん
恋愛
誰も彼もが軽視する。婚約者に家族までも。
公爵家に生まれ、王太子の婚約者となっても、誰からも認められることのないメルナーゼ・カーマイン。
唐突に思う。
どうして頑張っているのか。
どうして生きていたいのか。
もう、いいのではないだろうか。
メルナーゼが生を諦めたとき、世界の運命が決まった。
*ご都合主義です。わかりづらいなどありましたらすみません。笑って読んでくださいませ。本編15話で完結です。番外編を数話、気まぐれに投稿します。よろしくお願いいたします。
※ありがたいことにHOTランキング入りいたしました。たくさんの方の目に触れる機会に感謝です。本編は終了しましたが、番外編も投稿予定ですので、気長にお付き合いくださると嬉しいです。たくさんのお気に入り登録、しおり、エール、いいねをありがとうございます。R7.1/31

婚約破棄されたので、隠していた力を解放します
ミィタソ
恋愛
「――よって、私は君との婚約を破棄する」
豪華なシャンデリアが輝く舞踏会の会場。その中心で、王太子アレクシスが高らかに宣言した。
周囲の貴族たちは一斉にどよめき、私の顔を覗き込んでくる。興味津々な顔、驚きを隠せない顔、そして――あからさまに嘲笑する顔。
私は、この状況をただ静かに見つめていた。
「……そうですか」
あまりにも予想通りすぎて、拍子抜けするくらいだ。
婚約破棄、大いに結構。
慰謝料でも請求してやりますか。
私には隠された力がある。
これからは自由に生きるとしよう。

婚約破棄された令嬢のささやかな幸福
香木陽灯(旧:香木あかり)
恋愛
田舎の伯爵令嬢アリシア・ローデンには婚約者がいた。
しかし婚約者とアリシアの妹が不貞を働き、子を身ごもったのだという。
「結婚は家同士の繋がり。二人が結ばれるなら私は身を引きましょう。どうぞお幸せに」
婚約破棄されたアリシアは潔く身を引くことにした。
婚約破棄という烙印が押された以上、もう結婚は出来ない。
ならば一人で生きていくだけ。
アリシアは王都の外れにある小さな家を買い、そこで暮らし始める。
「あぁ、最高……ここなら一人で自由に暮らせるわ!」
初めての一人暮らしを満喫するアリシア。
趣味だった刺繍で生計が立てられるようになった頃……。
「アリシア、頼むから戻って来てくれ! 俺と結婚してくれ……!」
何故か元婚約者がやってきて頭を下げたのだ。
しかし丁重にお断りした翌日、
「お姉様、お願いだから戻ってきてください! あいつの相手はお姉様じゃなきゃ無理です……!」
妹までもがやってくる始末。
しかしアリシアは微笑んで首を横に振るばかり。
「私はもう結婚する気も家に戻る気もありませんの。どうぞお幸せに」
家族や婚約者は知らないことだったが、実はアリシアは幸せな生活を送っていたのだった。

婚約者と親友に裏切られた伯爵令嬢は侯爵令息に溺愛される
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のマーガレットは、最近婚約者の伯爵令息、ジェファーソンの様子がおかしい事を気にして、親友のマリンに日々相談していた。マリンはいつも自分に寄り添ってくれる大切な親友だと思っていたマーガレット。
でも…
マリンとジェファーソンが密かに愛し合っている場面を目撃してしまう。親友と婚約者に裏切られ、マーガレットは酷くショックを受ける。
不貞を働く男とは結婚できない、婚約破棄を望むマーガレットだったが、2人の不貞の証拠を持っていなかったマーガレットの言う事を、誰も信じてくれない。
それどころか、彼らの嘘を信じた両親からは怒られ、クラスメイトからは無視され、次第に追い込まれていく。
そんな中、マリンの婚約者、ローインの誕生日パーティーが開かれることに。必ず参加する様にと言われたマーガレットは、重い足取りで会場に向かったのだが…
不遇な王妃は国王の愛を望まない
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝ある時、クラウン王国の国王カルロスの元に、自ら命を絶った王妃アリーヤの訃報が届く。王妃アリーヤを冷遇しておきながら嘆く国王カルロスに皆は不思議がる。なにせ国王カルロスは幼馴染の側妃ベリンダを寵愛し、政略結婚の為に他国アメジスト王国から輿入れした不遇の王女アリーヤには見向きもしない。はたから見れば哀れな王妃アリーヤだが、実は他に愛する人がいる王妃アリーヤにもその方が都合が良いとも。彼女が真に望むのは愛する人と共に居られる些細な幸せ。ある時、自国に囚われの身である愛する人の訃報を受け取る王妃アリーヤは絶望に駆られるも……。主人公の舞台は途中から変わります。
※設定などは独自の世界観で、あくまでもご都合主義。断罪あり。ハピエン🩷
※稚拙ながらも投稿初日からHOTランキング(2024.11.21)に入れて頂き、ありがとうございます🙂 今回初めて最高ランキング5位(11/23)✨ まさに感無量です🥲

【完結】婚約者様、王女様を優先するならお好きにどうぞ
曽根原ツタ
恋愛
オーガスタの婚約者が王女のことを優先するようになったのは――彼女の近衛騎士になってからだった。
婚約者はオーガスタとの約束を、王女の護衛を口実に何度も破った。
美しい王女に付きっきりな彼への不信感が募っていく中、とある夜会で逢瀬を交わすふたりを目撃したことで、遂に婚約解消を決意する。
そして、その夜会でたまたま王子に会った瞬間、前世の記憶を思い出し……?
――病弱な王女を優先したいなら、好きにすればいいですよ。私も好きにしますので。
婚約破棄を、あなたのために
月山 歩
恋愛
私はあなたが好きだけど、あなたは彼女が好きなのね。だから、婚約破棄してあげる。そうして、別れたはずが、彼は騎士となり、領主になると、褒章は私を妻にと望んだ。どうして私?彼女のことはもういいの?それともこれは、あなたの人生を台無しにした私への復讐なの?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
お兄ちゃん幸せそうで何より(*´ω`*)
うん。どっちのお兄ちゃんも幸せそうで何よりです。
こうなる前まで、逃げ回っていたくせに刑罰確定してから家族に助けを求められてもどうしようもないですね。
そして、自分のせいで、家族や領民達が路頭に迷うと言う事は理解していないんだろうね?きっと送られた先でもこんな事になったのはミリム一家が悪い‼️とか逆恨みして一生を過ごしそう💦伯爵家三男も、同じ考えだろうし反省はしないでしょうね。
でも、小さい頃から貴族至上主義で階級しか見ていない性格なら相手がかわいそうだから婚約はするべきではないですね。そんなのと婚約したら婚約破棄されて冤罪まで被せられそうだしね💦
この世界って更生施設や矯正施設ってあるんですよね?だったら小さい頃から強制入居させていたら良かったですね。今更ですけどね?
ええ。今更思ってもあとの祭りというやつですね。両親と兄は、死ぬまで後悔するでしょう。
ですが、結局は当人が悪いので、少なくともお兄ちゃんには幸せになってもらいたいですね。
【元デルモンド侯爵令息視点】
>元デルモンド侯爵領は、アデライン子爵領となり(略
⇛元デルモンド侯爵領ほ、アデライン子爵領に統合され(略