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番外編:紺碧色の空〜最終話〜
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「おかたま~」
トテトテと走って来るミランの後ろから、心配そうにユリウス様が付いて来るのを見て笑ってしまいました。
相変わらず旦那様は過保護なんだから。
上の娘ユリシーナが生まれた時もそうでしたわ。
転ぶんじゃないかと、後ろからソワソワしながら付いて歩くのです。
そのユリシーナも六歳になって、お姉さんらしく振る舞うようになりました。
三歳年下の弟、ミランの面倒もよく見てくれるので助かっています。
「おかたま、抱っこ~」
「ミラン、お母様のお腹には赤ちゃんがいるんだよ。父様が抱っこしてあげるから、我慢できるかな?」
私に手を伸ばすミランを、後ろからユリウス様が抱き上げます。
「あかたん?おかさま、あかたんいる?」
「そうよ、ミラン。ミランはお兄ちゃんになるの」
「みらん、にいたまなる!」
ユリウス様がミランを膝に座らせ、私の隣に座ります。
私がミランの髪をゆっくりと撫でると、ミランはそう言ってニコニコと笑いました。
ユリシーナもミランも、本当に素直で可愛いわ。
そのユリシーナは、現在王都のお父様お母様のいるアデライン伯爵家にお泊まりに行っています。
アデライン伯爵家、お兄様がラナリス様と婚姻された年に陞爵を受け入れて、伯爵家となりました。
アデライン伯爵家の養子となったダグラスお兄様が、帰りは送って来てくださるそうです。
ダグラスお兄様は、去年ご結婚されました。
伯爵家のご令嬢で、とても可愛らしい雰囲気の方ですわ。
私とダグラスお兄様は、血は繋がっておりませんけど、お兄様もお義姉様も、ユリシーナのこともミランのことも可愛がってくださいます。
色々と辛い思いをされたダグラスお兄様ですが、幸せになっていただきたいと思いますわ。
ヒルトお兄様とラナリス様のところには、王子殿下がお生まれになりました。
ミランと同い年ですわ。
お兄様曰く、私に似ているそうです。
それはヒルトお兄様に似ているの間違いでは?
お兄様の腹黒が似ないと良いのですが。
「どうした?ミリム」
「いえ、お父様たちがユリシーナを甘やかしていないと良いのですが」
「それは無理だろうな。ユリシーナはミリムの幼い頃にそっくりだと、ヒルトも言っていた。義父上たちからしたら可愛くて仕方ないだろう」
そんなに似ているかしら?
確かに髪色は私と同じ銀色ですけど、瞳はユリウス様の紺碧色ですのよ。
お父様たちはとにかく、生まれた時からユリシーナをかまいたくて仕方ない様子でしたの。
次々とおもちゃや服を買おうとするので、止めるのが大変でしたわ。
「ミリム、ありがとう」
「ユリウス様?急にどうしましたの?」
「俺に、こんなに可愛い家族を作ってくれて。あの日、ミリムに婚約を申し込んで本当に良かった」
ふふっ。それは私の台詞です。
あの日、婚約破棄を宣言され・・・言われたのは王女殿下でしたけど、ユリウス様と知り合えて、本当に幸せですわ。
「これからもっと幸せになりましょうね?」
「ああ。幸せにする」
ユリウス様に肩を抱かれて見上げた辺境伯領の空は、ユリウス様の瞳のようにとても青く綺麗です。
トテトテと走って来るミランの後ろから、心配そうにユリウス様が付いて来るのを見て笑ってしまいました。
相変わらず旦那様は過保護なんだから。
上の娘ユリシーナが生まれた時もそうでしたわ。
転ぶんじゃないかと、後ろからソワソワしながら付いて歩くのです。
そのユリシーナも六歳になって、お姉さんらしく振る舞うようになりました。
三歳年下の弟、ミランの面倒もよく見てくれるので助かっています。
「おかたま、抱っこ~」
「ミラン、お母様のお腹には赤ちゃんがいるんだよ。父様が抱っこしてあげるから、我慢できるかな?」
私に手を伸ばすミランを、後ろからユリウス様が抱き上げます。
「あかたん?おかさま、あかたんいる?」
「そうよ、ミラン。ミランはお兄ちゃんになるの」
「みらん、にいたまなる!」
ユリウス様がミランを膝に座らせ、私の隣に座ります。
私がミランの髪をゆっくりと撫でると、ミランはそう言ってニコニコと笑いました。
ユリシーナもミランも、本当に素直で可愛いわ。
そのユリシーナは、現在王都のお父様お母様のいるアデライン伯爵家にお泊まりに行っています。
アデライン伯爵家、お兄様がラナリス様と婚姻された年に陞爵を受け入れて、伯爵家となりました。
アデライン伯爵家の養子となったダグラスお兄様が、帰りは送って来てくださるそうです。
ダグラスお兄様は、去年ご結婚されました。
伯爵家のご令嬢で、とても可愛らしい雰囲気の方ですわ。
私とダグラスお兄様は、血は繋がっておりませんけど、お兄様もお義姉様も、ユリシーナのこともミランのことも可愛がってくださいます。
色々と辛い思いをされたダグラスお兄様ですが、幸せになっていただきたいと思いますわ。
ヒルトお兄様とラナリス様のところには、王子殿下がお生まれになりました。
ミランと同い年ですわ。
お兄様曰く、私に似ているそうです。
それはヒルトお兄様に似ているの間違いでは?
お兄様の腹黒が似ないと良いのですが。
「どうした?ミリム」
「いえ、お父様たちがユリシーナを甘やかしていないと良いのですが」
「それは無理だろうな。ユリシーナはミリムの幼い頃にそっくりだと、ヒルトも言っていた。義父上たちからしたら可愛くて仕方ないだろう」
そんなに似ているかしら?
確かに髪色は私と同じ銀色ですけど、瞳はユリウス様の紺碧色ですのよ。
お父様たちはとにかく、生まれた時からユリシーナをかまいたくて仕方ない様子でしたの。
次々とおもちゃや服を買おうとするので、止めるのが大変でしたわ。
「ミリム、ありがとう」
「ユリウス様?急にどうしましたの?」
「俺に、こんなに可愛い家族を作ってくれて。あの日、ミリムに婚約を申し込んで本当に良かった」
ふふっ。それは私の台詞です。
あの日、婚約破棄を宣言され・・・言われたのは王女殿下でしたけど、ユリウス様と知り合えて、本当に幸せですわ。
「これからもっと幸せになりましょうね?」
「ああ。幸せにする」
ユリウス様に肩を抱かれて見上げた辺境伯領の空は、ユリウス様の瞳のようにとても青く綺麗です。
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