57 / 64
相応しい罰を
しおりを挟む
「ダリー伯爵令息、ギリムだったか。正直に答えよ」
ここでようやく国王陛下が口を開いた。
多分、お兄様と打ち合わせ済みだったのでしょうね。
「はっ、はい」
「アデライン子爵のご令嬢だったミリム嬢と、恋仲で体の関係もあったというのは事実か?」
「はいっ!僕・・・私たちは愛し合っていて、その、婚約前に良くないとは分かっていましたが、何度も体を重ねておりました」
国王陛下がお優しい表情をされているから、多分ダリー様はこれで大丈夫だと思われたのね。
実際、婚姻までは純潔でいるのが望ましいけど、婚姻が決定的な場合は閨を共にすることもあると聞きます。
ただし下位貴族は、ですけど。
私は確かに子爵令嬢だったけれど、お兄様が王家に入られることもあり、婚約するのも王家の許可が必要なのです。
もちろん、どれだけ好きな相手でも婚姻までは純潔であることは暗黙の了解ですわ。
「そうか。ダリー伯爵令息、国王である儂に虚偽の発言をした罪で貴族籍剥奪。そこの元デルモンド侯爵令息と共に、男娼館にて犯罪奴隷とする」
陛下が宣言されたのは、ダリー様とデルモンド様に相応しい罰でした。
性犯罪を犯した者たちは犯罪奴隷とされ、犯罪者たちが働く鉱山にある娼館に男性の犯罪者専用の男娼として収容されます。
無理矢理行為を行われるということを、身をもって知れということですわ。
「なっ・・・!お、お待ちください!ぼっ、僕は虚偽の発言など致しておりません!か、彼女が否定しているのは恥ずかしがっているだけで・・・」
「ミリム嬢は、次期国王であるヒルトの妹。つまりはいずれ王妹となる。そのために、彼女の婚約には王家の承認が必要の上、婚姻までは純潔であることが求められる。そして、彼女は間違いなく純潔であったと報告が届いている」
「そ、その、その報告後に、僕と愛を語り合ったのです!」
「ちょっ、ちょっと待て!ミリムは僕の婚約者でっ!」
デルモンド様。面倒ですから、お話に参戦しないでくださいませ。
「全くもって、話を理解しないな。ヒルト、説明してやってくれ」
ほら、陛下も面倒くさくなったみたいで、お兄様に丸投げしてしまったではないですか。
「かしこまりました。では、犯罪者二人の、そもそもの間違いから訂正しよう」
「「間違い?」」
「僕の妹、ミリムは現在アデライン子爵家の令嬢ではない。ミリムは、デルモンド侯爵元子息との婚約が白紙撤回された一ヶ月後に、グラナード辺境伯ユリウス閣下と婚姻している」
それ、私が言ってみたかったですわ。
「私は人妻ですのよ」って。
ここでようやく国王陛下が口を開いた。
多分、お兄様と打ち合わせ済みだったのでしょうね。
「はっ、はい」
「アデライン子爵のご令嬢だったミリム嬢と、恋仲で体の関係もあったというのは事実か?」
「はいっ!僕・・・私たちは愛し合っていて、その、婚約前に良くないとは分かっていましたが、何度も体を重ねておりました」
国王陛下がお優しい表情をされているから、多分ダリー様はこれで大丈夫だと思われたのね。
実際、婚姻までは純潔でいるのが望ましいけど、婚姻が決定的な場合は閨を共にすることもあると聞きます。
ただし下位貴族は、ですけど。
私は確かに子爵令嬢だったけれど、お兄様が王家に入られることもあり、婚約するのも王家の許可が必要なのです。
もちろん、どれだけ好きな相手でも婚姻までは純潔であることは暗黙の了解ですわ。
「そうか。ダリー伯爵令息、国王である儂に虚偽の発言をした罪で貴族籍剥奪。そこの元デルモンド侯爵令息と共に、男娼館にて犯罪奴隷とする」
陛下が宣言されたのは、ダリー様とデルモンド様に相応しい罰でした。
性犯罪を犯した者たちは犯罪奴隷とされ、犯罪者たちが働く鉱山にある娼館に男性の犯罪者専用の男娼として収容されます。
無理矢理行為を行われるということを、身をもって知れということですわ。
「なっ・・・!お、お待ちください!ぼっ、僕は虚偽の発言など致しておりません!か、彼女が否定しているのは恥ずかしがっているだけで・・・」
「ミリム嬢は、次期国王であるヒルトの妹。つまりはいずれ王妹となる。そのために、彼女の婚約には王家の承認が必要の上、婚姻までは純潔であることが求められる。そして、彼女は間違いなく純潔であったと報告が届いている」
「そ、その、その報告後に、僕と愛を語り合ったのです!」
「ちょっ、ちょっと待て!ミリムは僕の婚約者でっ!」
デルモンド様。面倒ですから、お話に参戦しないでくださいませ。
「全くもって、話を理解しないな。ヒルト、説明してやってくれ」
ほら、陛下も面倒くさくなったみたいで、お兄様に丸投げしてしまったではないですか。
「かしこまりました。では、犯罪者二人の、そもそもの間違いから訂正しよう」
「「間違い?」」
「僕の妹、ミリムは現在アデライン子爵家の令嬢ではない。ミリムは、デルモンド侯爵元子息との婚約が白紙撤回された一ヶ月後に、グラナード辺境伯ユリウス閣下と婚姻している」
それ、私が言ってみたかったですわ。
「私は人妻ですのよ」って。
117
お気に入りに追加
1,086
あなたにおすすめの小説
王宮で虐げられた令嬢は追放され、真実の愛を知る~あなた方はもう家族ではありません~
葵 すみれ
恋愛
「お姉さま、ずるい! どうしてお姉さまばっかり!」
男爵家の庶子であるセシールは、王女付きの侍女として選ばれる。
ところが、実際には王女や他の侍女たちに虐げられ、庭園の片隅で泣く毎日。
それでも家族のためだと耐えていたのに、何故か太り出して醜くなり、豚と罵られるように。
とうとう侍女の座を妹に奪われ、嘲笑われながら城を追い出されてしまう。
あんなに尽くした家族からも捨てられ、セシールは街をさまよう。
力尽きそうになったセシールの前に現れたのは、かつて一度だけ会った生意気な少年の成長した姿だった。
そして健康と美しさを取り戻したセシールのもとに、かつての家族の変わり果てた姿が……
※小説家になろうにも掲載しています
【完結】会いたいあなたはどこにもいない
野村にれ
恋愛
私の家族は反乱で殺され、私も処刑された。
そして私は家族の罪を暴いた貴族の娘として再び生まれた。
これは足りない罪を償えという意味なのか。
私の会いたいあなたはもうどこにもいないのに。
それでも償いのために生きている。
【完結】許婚の子爵令息から婚約破棄を宣言されましたが、それを知った公爵家の幼馴染から溺愛されるようになりました
八重
恋愛
「ソフィ・ルヴェリエ! 貴様とは婚約破棄する!」
子爵令息エミール・エストレが言うには、侯爵令嬢から好意を抱かれており、男としてそれに応えねばならないというのだ。
失意のどん底に突き落とされたソフィ。
しかし、婚約破棄をきっかけに幼馴染の公爵令息ジル・ルノアールから溺愛されることに!
一方、エミールの両親はソフィとの婚約破棄を知って大激怒。
エミールの両親の命令で『好意の証拠』を探すが、侯爵令嬢からの好意は彼の勘違いだった。
なんとかして侯爵令嬢を口説くが、婚約者のいる彼女がなびくはずもなく……。
焦ったエミールはソフィに復縁を求めるが、時すでに遅し──
【完結】順序を守り過ぎる婚約者から、婚約破棄されました。〜幼馴染と先に婚約してたって……五歳のおままごとで誓った婚約も有効なんですか?〜
よどら文鳥
恋愛
「本当に申し訳ないんだが、私はやはり順序は守らなければいけないと思うんだ。婚約破棄してほしい」
いきなり婚約破棄を告げられました。
実は婚約者の幼馴染と昔、私よりも先に婚約をしていたそうです。
ただ、小さい頃に国外へ行ってしまったらしく、婚約も無くなってしまったのだとか。
しかし、最近になって幼馴染さんは婚約の約束を守るために(?)王都へ帰ってきたそうです。
私との婚約は政略的なもので、愛も特に芽生えませんでした。悔しさもなければ後悔もありません。
婚約者をこれで嫌いになったというわけではありませんから、今後の活躍と幸せを期待するとしましょうか。
しかし、後に先に婚約した内容を聞く機会があって、驚いてしまいました。
どうやら私の元婚約者は、五歳のときにおままごとで結婚を誓った約束を、しっかりと守ろうとしているようです。
根暗令嬢の華麗なる転身
しろねこ。
恋愛
「来なきゃよかったな」
ミューズは茶会が嫌いだった。
茶会デビューを果たしたものの、人から不細工と言われたショックから笑顔になれず、しまいには根暗令嬢と陰で呼ばれるようになった。
公爵家の次女に産まれ、キレイな母と実直な父、優しい姉に囲まれ幸せに暮らしていた。
何不自由なく、暮らしていた。
家族からも愛されて育った。
それを壊したのは悪意ある言葉。
「あんな不細工な令嬢見たことない」
それなのに今回の茶会だけは断れなかった。
父から絶対に参加してほしいという言われた茶会は特別で、第一王子と第二王子が来るものだ。
婚約者選びのものとして。
国王直々の声掛けに娘思いの父も断れず…
応援して頂けると嬉しいです(*´ω`*)
ハピエン大好き、完全自己満、ご都合主義の作者による作品です。
同名主人公にてアナザーワールド的に別な作品も書いています。
立場や環境が違えども、幸せになって欲しいという思いで作品を書いています。
一部リンクしてるところもあり、他作品を見て頂ければよりキャラへの理解が深まって楽しいかと思います。
描写的なものに不安があるため、お気をつけ下さい。
ゆるりとお楽しみください。
こちら小説家になろうさん、カクヨムさんにも投稿させてもらっています。
【完結】婚約者取り替えっこしてあげる。子爵令息より王太子の方がいいでしょ?
との
恋愛
「取り替えっこしようね」
またいつもの妹の我儘がはじまりました。
自分勝手な妹にも家族の横暴にも、もう我慢の限界!
逃げ出した先で素敵な出会いを経験しました。
幸せ掴みます。
筋肉ムキムキのオネエ様から一言・・。
「可愛いは正義なの!」
ーーーーーー
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。
完結迄予約投稿済み
R15は念の為・・
私、女王にならなくてもいいの?
gacchi
恋愛
他国との戦争が続く中、女王になるために頑張っていたシルヴィア。16歳になる直前に父親である国王に告げられます。「お前の結婚相手が決まったよ。」「王配を決めたのですか?」「お前は女王にならないよ。」え?じゃあ、停戦のための政略結婚?え?どうしてあなたが結婚相手なの?5/9完結しました。ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる