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言いがかりですわね

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「私があなたに媚びなければならないのでしょうか?」

 心底、疑問ですわ。
どこからその自信が湧いてくるのでしょうか?

 ユリウス様やお兄様のように、剣もお勉強も、それから容姿も優れている方なら分かりますわ。

 お兄様なんてあの腹黒な性格の上に王女殿下の婚約者だというのに、まだお手紙を送ってくるご令嬢が多くいますもの。

 まぁあれは、恋文というよりはファンレターみたいなものみたいですけど。

 え?何故、内容を知っているか、ですか?

 ラナリス様にお伺いしましたの。
お兄様が、届いた手紙を全てお見せになったそうですわ。

「送ってくるなと言ってもいいが、そうした方がいいか?」と尋ねられたそうです。

 ええ。お兄様なら、ご令嬢相手でも冷徹に言い放つでしょうね。

 王族となられたら、そのような手紙はお兄様の元へは届きません。

 危険物の可能性を考慮して、王族への手紙には閲覧が入ります。

 もちろん、他国の王族などは対象外ですが。

 ですからラナリス様は、婚姻までの時間くらいはご令嬢たちの夢を守ることにしたようです。

 話が逸れましたわ。
ですから、十人並みのそのご容姿と性格と素行の悪さで、その自信が持てるのが不思議で仕方ありません。

「な、何故って・・・ですから伯爵家の地位を・・・」

「三男のあなたに媚びて、伯爵家の地位などどうにもなりませんわよね?」

「おっ、お金を・・・」

「我が家は子爵家ですが、お父様もお母様もお兄様も優秀ですので、お金に困ったことはございません」

 領地経営は順調ですし、デルモンド侯爵家との合同事業には、我が家が全て出資しています。

 慈善事業にも取り組んでおりますし、王都にある多くの商会は、アデライン子爵家のものなのですけど、ご存知ないのかしら?

「ぼ、僕のことを好きだと、愛していると言ったではないですか!何度もベッドの中でっ!」

 なんだか、必死ですわね。
まぁ、無理もありませんわ。このヴァルフリーデ王国では、性犯罪は大罪。

 たとえその相手が平民であっても、処罰を受けます。

 ただし相手が合意だったなら、罪には問われませんから、私が望んでいたとしたいのでしょう。

「待て。ミリムがお前と体を重ねていたと?」

 お兄様がダリー子息様に問いかけます。嬉しそうですわ。他人にはわからないでしょうけど。
 追い詰めるのが楽しくて仕方ないのですね。

 それを助けと思ったのでしょう。
ダリー様は嬉々として答えます。

「あっ、ああ!その通りだ!ぼ、僕たちは愛し合っていて・・・」

「だそうだぞ、ユリウス」

 お隣に立つユリウス様から、とてつもない殺気が出ているのですが。

 ダリー様。責任は取っていただきますわよ。
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