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心底気持ち悪いです

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「私だと思って?もし私が婚約者のままだとしても、同意のない行為は犯罪ですわ」

 あっちもこっちも言ってることが、気持ち悪いことこの上ありませんわ。

 頭の中に花が咲き乱れているのかしら。

 私が冷ややかな声でそう言いますと、デルモンド様は蛙が潰されたような声を上げました。

 あら?お兄様。おみ足に力が入ってますわ。

「グェ・・・は、離っ・・・離せぇ!しっ、子爵令嬢がっ!侯爵令息の僕が抱いてやるって言っているんだぞ!」

 はぁ。こちらがやっぱり本性なのかしら。

 デルモンド侯爵夫妻が、離れた位置から悲しそうなお顔で見ていらっしゃるわ。

 嫡男の方はとてもしっかりされていて、そのお兄様と同じ教育を受けていたとお聞きしましたのに、どうしてこうなってしまったのかしら?

 周囲の方々を見てごらんなさい。
皆様、汚いものでも見るような目ですわ。

 それはそうですわよね。
下位貴族だからといって、高位貴族の言いなりになる義務はありませんもの。

 そういう勘違いをされている方、たまにいますけど、このヴァルフリーデ王国ではそんなことを強要すれば罰せられますのよ。

「・・・ぅ、ん」

 あら?ダリー伯爵令息の方はやっとお目覚めですのね。

 影の方に締め上げられて、気を失っておられましたの。

 影の方は公に姿を見せませんから、騎士の方にお願いしてこの場に運んでもらいましたのよ。

 芋虫のように縄でグルグル巻きですけど、お目覚めになって良かったですわ。

「お目覚めになられまして?ダリー伯爵令息様」

「あ、アデライン嬢?こ、これは一体・・・」

「中々お目覚めにならないので、水でも頭からかけようかと思っていましたのよ」

 お兄様が騎士の方にお願いして、デルモンド様も同じように縄で縛ってもらいます。

 押さえつけている騎士の方が、お疲れになりますもの。

 それに、同じような思考の、同じように気持ち悪い方ですから、お揃いでよろしいわ。

「なっ、何をなさるんですっ!僕が一体、何をしたと・・・」

「暴行未遂」

 ユリウス様が冷ややかな声でそう告げると、周囲がデルモンド様を見ていたのと同じ目でダリー子息を見ました。

「なっ・・・しょ、証拠はあるのか!ぼ、僕はアデライン嬢に誘われて・・・」

「気持ち悪いことを言わないで下さいますか?」

「気持ち・・・悪い?伯爵家子息である僕が?ああっ!わかりましたよ!伯爵家子息という地位が目的だったのですか?お金でしょうか?あんなに媚びておきながら!」

 保身に走られましたのね。

 ほんっとうに気持ち悪いですわ。
私が何故、強姦魔などに媚びなくてはなりませんの?
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