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あちらも片付きましたのね

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 ひとしきりユリウス様に抱きしめてもらってから、会場に戻りました。

 あら?
国王陛下の前で押さえつけられているデルモンド様のお姿が。

 あちらも無事に片付きましたのね。
まぁ、お兄様がいてラナリス様に危害を加えられるなんて、あるわけがありませんけど。

「ご無事でしたか?ラナリス様」

「大丈夫。ミリムこそ、大丈夫だったかしら?」

「ええ。とても気持ち悪かったですわ。お兄様のおっしゃるとおり、早めに駆除して正解でした」

 他のご令嬢があんな方の毒牙にかかる可能性があったわけですから、

「?!」

 押さえつけられながらも、視線だけで振り返ったデルモンド様が、私とラナリス様の顔を見て、目を見開いています。

「ミリ、ム?え?え?」

「うちの可愛い妹と、大事な婚約者を見るな!」

「ぐっ!」

 お兄様が、足でデルモンド様の頭を踏みつけていらっしゃいます。

「お兄様。そんなことをなさっては駄目ですわ」

「きっ、ミリムなのかっ?え?僕の婚約者の?」

婚約者ですわ。お間違えにならないで下さい。婚約者の顔も、この国の王女殿下の顔も見分けがつかないなんて。そんなだから、ダリー伯爵令息にいいように利用されるのですわ」

 お兄様が足を退けられないので、踏みつけられたままですが、デルモンド様が話しかけて来られます。

 君ですって。
婚約破棄騒動の時に、お前呼ばわりされていた方が。手のひら返しでしょうか?

 いっそ、お前呼ばわりを貫いて下さった方が清々しいですわ。

「ダリー?利用?いや、そんなことより!ミリム!僕とやり直そう!おっ、おい!この足を退けてくれ!僕はだぞっ!」

侯爵家子息ね。デルモンド侯爵は、次男・・・」

「ランドルだ」

「ランドル様の廃籍を決定。国王陛下お父様もそれを承認。今のあなたは平民で、しかも罪人よ」

 ラナリス様、デルモンド様のお名前をお忘れになりましたの?わざとかしら?

 私も忘れていましたわ。
だって全く交流がなかったんですもの。

 ただ、一応婚約者として、誕生日のパーティーの招待状や、デルモンド様のお誕生日などのお祝いを差し上げていましたから、お名前は存じ上げていましたけど。

 ラナリス様の言葉に、デルモンド様はお兄様の足を跳ね除ける勢いで、顔を上げられました。

「そんなっ!平民?それに罪人だなんてっ!」

「罪人だろう?この国の王女殿下を部屋に連れ込み、不埒な真似をしようとしたのだから」

「ちっ、違う!僕は、ミリムだと思って!」

 私だから?私相手だとしても犯罪でしてよ。
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