54 / 64
あちらも片付きましたのね
しおりを挟む
ひとしきりユリウス様に抱きしめてもらってから、会場に戻りました。
あら?
国王陛下の前で押さえつけられているデルモンド様のお姿が。
あちらも無事に片付きましたのね。
まぁ、お兄様がいてラナリス様に危害を加えられるなんて、あるわけがありませんけど。
「ご無事でしたか?ラナリス様」
「大丈夫。ミリムこそ、大丈夫だったかしら?」
「ええ。とても気持ち悪かったですわ。お兄様のおっしゃるとおり、早めに駆除して正解でした」
他のご令嬢があんな方の毒牙にかかる可能性があったわけですから、
「?!」
押さえつけられながらも、視線だけで振り返ったデルモンド様が、私とラナリス様の顔を見て、目を見開いています。
「ミリ、ム?え?え?」
「うちの可愛い妹と、大事な婚約者を見るな!」
「ぐっ!」
お兄様が、足でデルモンド様の頭を踏みつけていらっしゃいます。
「お兄様。そんなことをなさっては駄目ですわ」
「きっ、君がミリムなのかっ?え?僕の婚約者の?」
「元婚約者ですわ。お間違えにならないで下さい。婚約者の顔も、この国の王女殿下の顔も見分けがつかないなんて。そんなだから、ダリー伯爵令息にいいように利用されるのですわ」
お兄様が足を退けられないので、踏みつけられたままですが、デルモンド様が話しかけて来られます。
君ですって。
婚約破棄騒動の時に、お前呼ばわりされていた方が。手のひら返しでしょうか?
いっそ、お前呼ばわりを貫いて下さった方が清々しいですわ。
「ダリー?利用?いや、そんなことより!ミリム!僕とやり直そう!おっ、おい!この足を退けてくれ!僕は侯爵家子息だぞっ!」
「元侯爵家子息ね。デルモンド侯爵は、次男・・・」
「ランドルだ」
「ランドル様の廃籍を決定。国王陛下もそれを承認。今のあなたは平民で、しかも罪人よ」
ラナリス様、デルモンド様のお名前をお忘れになりましたの?わざとかしら?
私も忘れていましたわ。
だって全く交流がなかったんですもの。
ただ、一応婚約者として、誕生日のパーティーの招待状や、デルモンド様のお誕生日などのお祝いを差し上げていましたから、お名前は存じ上げていましたけど。
ラナリス様の言葉に、デルモンド様はお兄様の足を跳ね除ける勢いで、顔を上げられました。
「そんなっ!平民?それに罪人だなんてっ!」
「罪人だろう?この国の王女殿下を部屋に連れ込み、不埒な真似をしようとしたのだから」
「ちっ、違う!僕は、ミリムだと思って!」
私だから?私相手だとしても犯罪でしてよ。
あら?
国王陛下の前で押さえつけられているデルモンド様のお姿が。
あちらも無事に片付きましたのね。
まぁ、お兄様がいてラナリス様に危害を加えられるなんて、あるわけがありませんけど。
「ご無事でしたか?ラナリス様」
「大丈夫。ミリムこそ、大丈夫だったかしら?」
「ええ。とても気持ち悪かったですわ。お兄様のおっしゃるとおり、早めに駆除して正解でした」
他のご令嬢があんな方の毒牙にかかる可能性があったわけですから、
「?!」
押さえつけられながらも、視線だけで振り返ったデルモンド様が、私とラナリス様の顔を見て、目を見開いています。
「ミリ、ム?え?え?」
「うちの可愛い妹と、大事な婚約者を見るな!」
「ぐっ!」
お兄様が、足でデルモンド様の頭を踏みつけていらっしゃいます。
「お兄様。そんなことをなさっては駄目ですわ」
「きっ、君がミリムなのかっ?え?僕の婚約者の?」
「元婚約者ですわ。お間違えにならないで下さい。婚約者の顔も、この国の王女殿下の顔も見分けがつかないなんて。そんなだから、ダリー伯爵令息にいいように利用されるのですわ」
お兄様が足を退けられないので、踏みつけられたままですが、デルモンド様が話しかけて来られます。
君ですって。
婚約破棄騒動の時に、お前呼ばわりされていた方が。手のひら返しでしょうか?
いっそ、お前呼ばわりを貫いて下さった方が清々しいですわ。
「ダリー?利用?いや、そんなことより!ミリム!僕とやり直そう!おっ、おい!この足を退けてくれ!僕は侯爵家子息だぞっ!」
「元侯爵家子息ね。デルモンド侯爵は、次男・・・」
「ランドルだ」
「ランドル様の廃籍を決定。国王陛下もそれを承認。今のあなたは平民で、しかも罪人よ」
ラナリス様、デルモンド様のお名前をお忘れになりましたの?わざとかしら?
私も忘れていましたわ。
だって全く交流がなかったんですもの。
ただ、一応婚約者として、誕生日のパーティーの招待状や、デルモンド様のお誕生日などのお祝いを差し上げていましたから、お名前は存じ上げていましたけど。
ラナリス様の言葉に、デルモンド様はお兄様の足を跳ね除ける勢いで、顔を上げられました。
「そんなっ!平民?それに罪人だなんてっ!」
「罪人だろう?この国の王女殿下を部屋に連れ込み、不埒な真似をしようとしたのだから」
「ちっ、違う!僕は、ミリムだと思って!」
私だから?私相手だとしても犯罪でしてよ。
115
お気に入りに追加
1,086
あなたにおすすめの小説
王宮で虐げられた令嬢は追放され、真実の愛を知る~あなた方はもう家族ではありません~
葵 すみれ
恋愛
「お姉さま、ずるい! どうしてお姉さまばっかり!」
男爵家の庶子であるセシールは、王女付きの侍女として選ばれる。
ところが、実際には王女や他の侍女たちに虐げられ、庭園の片隅で泣く毎日。
それでも家族のためだと耐えていたのに、何故か太り出して醜くなり、豚と罵られるように。
とうとう侍女の座を妹に奪われ、嘲笑われながら城を追い出されてしまう。
あんなに尽くした家族からも捨てられ、セシールは街をさまよう。
力尽きそうになったセシールの前に現れたのは、かつて一度だけ会った生意気な少年の成長した姿だった。
そして健康と美しさを取り戻したセシールのもとに、かつての家族の変わり果てた姿が……
※小説家になろうにも掲載しています
【完結】もう結構ですわ!
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
恋愛
どこぞの物語のように、夜会で婚約破棄を告げられる。結構ですわ、お受けしますと返答し、私シャルリーヌ・リン・ル・フォールは微笑み返した。
愚かな王子を擁するヴァロワ王家は、あっという間に追い詰められていく。逆に、ル・フォール公国は独立し、豊かさを享受し始めた。シャルリーヌは、豊かな国と愛する人、両方を手に入れられるのか!
ハッピーエンド確定
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/11/29……完結
2024/09/12……小説家になろう 異世界日間連載 7位 恋愛日間連載 11位
2024/09/12……エブリスタ、恋愛ファンタジー 1位
2024/09/12……カクヨム恋愛日間 4位、週間 65位
2024/09/12……アルファポリス、女性向けHOT 42位
2024/09/11……連載開始
貧乏伯爵令嬢は従姉に代わって公爵令嬢として結婚します。
しゃーりん
恋愛
貧乏伯爵令嬢ソレーユは伯父であるタフレット公爵の温情により、公爵家から学園に通っていた。
ソレーユは結婚を諦めて王宮で侍女になるために学園を卒業することは必須であった。
同い年の従姉であるローザリンデは、王宮で侍女になるよりも公爵家に嫁ぐ自分の侍女になればいいと嫌がらせのように侍女の仕事を与えようとする。
しかし、家族や人前では従妹に優しい令嬢を演じているため、横暴なことはしてこなかった。
だが、侍女になるつもりのソレーユに王太子の側妃になる話が上がったことを知ったローザリンデは自分よりも上の立場になるソレーユが許せなくて。
立場を入れ替えようと画策したローザリンデよりソレーユの方が幸せになるお話です。
【完結】許婚の子爵令息から婚約破棄を宣言されましたが、それを知った公爵家の幼馴染から溺愛されるようになりました
八重
恋愛
「ソフィ・ルヴェリエ! 貴様とは婚約破棄する!」
子爵令息エミール・エストレが言うには、侯爵令嬢から好意を抱かれており、男としてそれに応えねばならないというのだ。
失意のどん底に突き落とされたソフィ。
しかし、婚約破棄をきっかけに幼馴染の公爵令息ジル・ルノアールから溺愛されることに!
一方、エミールの両親はソフィとの婚約破棄を知って大激怒。
エミールの両親の命令で『好意の証拠』を探すが、侯爵令嬢からの好意は彼の勘違いだった。
なんとかして侯爵令嬢を口説くが、婚約者のいる彼女がなびくはずもなく……。
焦ったエミールはソフィに復縁を求めるが、時すでに遅し──
【完結】「君を愛することはない」と言われた公爵令嬢は思い出の夜を繰り返す
おのまとぺ
恋愛
「君を愛することはない!」
鳴り響く鐘の音の中で、三年の婚約期間の末に結ばれるはずだったマルクス様は高らかに宣言しました。隣には彼の義理の妹シシーがピッタリとくっついています。私は笑顔で「承知いたしました」と答え、ガラスの靴を脱ぎ捨てて、一目散に式場の扉へと走り出しました。
え?悲しくないのかですって?
そんなこと思うわけないじゃないですか。だって、私はこの三年間、一度たりとも彼を愛したことなどなかったのですから。私が本当に愛していたのはーーー
◇よくある婚約破棄
◇元サヤはないです
◇タグは増えたりします
◇薬物などの危険物が少し登場します
冤罪を受けたため、隣国へ亡命します
しろねこ。
恋愛
「お父様が投獄?!」
呼び出されたレナンとミューズは驚きに顔を真っ青にする。
「冤罪よ。でも事は一刻も争うわ。申し訳ないけど、今すぐ荷づくりをして頂戴。すぐにこの国を出るわ」
突如母から言われたのは生活を一変させる言葉だった。
友人、婚約者、国、屋敷、それまでの生活をすべて捨て、令嬢達は手を差し伸べてくれた隣国へと逃げる。
冤罪を晴らすため、奮闘していく。
同名主人公にて様々な話を書いています。
立場やシチュエーションを変えたりしていますが、他作品とリンクする場所も多々あります。
サブキャラについてはスピンオフ的に書いた話もあったりします。
変わった作風かと思いますが、楽しんで頂けたらと思います。
ハピエンが好きなので、最後は必ずそこに繋げます!
小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿中。
根暗令嬢の華麗なる転身
しろねこ。
恋愛
「来なきゃよかったな」
ミューズは茶会が嫌いだった。
茶会デビューを果たしたものの、人から不細工と言われたショックから笑顔になれず、しまいには根暗令嬢と陰で呼ばれるようになった。
公爵家の次女に産まれ、キレイな母と実直な父、優しい姉に囲まれ幸せに暮らしていた。
何不自由なく、暮らしていた。
家族からも愛されて育った。
それを壊したのは悪意ある言葉。
「あんな不細工な令嬢見たことない」
それなのに今回の茶会だけは断れなかった。
父から絶対に参加してほしいという言われた茶会は特別で、第一王子と第二王子が来るものだ。
婚約者選びのものとして。
国王直々の声掛けに娘思いの父も断れず…
応援して頂けると嬉しいです(*´ω`*)
ハピエン大好き、完全自己満、ご都合主義の作者による作品です。
同名主人公にてアナザーワールド的に別な作品も書いています。
立場や環境が違えども、幸せになって欲しいという思いで作品を書いています。
一部リンクしてるところもあり、他作品を見て頂ければよりキャラへの理解が深まって楽しいかと思います。
描写的なものに不安があるため、お気をつけ下さい。
ゆるりとお楽しみください。
こちら小説家になろうさん、カクヨムさんにも投稿させてもらっています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる