拝啓、婚約者様。婚約破棄していただきありがとうございます〜破棄を破棄?ご冗談は顔だけにしてください〜

みおな

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ゴーマン伯爵家のその後

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 王都に向かう途中、お隣のゴーマン伯爵家に立ち寄ります。

 あれから二ヶ月。
まだ再教育の途中でしょうが、前伯前夫人にもご挨拶したいですし、どちらにしろ通り道ですの。

「まぁ!辺境伯様。辺境伯夫人様。ようこそいらっしゃいました」

「ごきげんよう、エリアナ様」

 前伯爵夫人のエリアナ様は、前にお会いした時よりもお元気そうです。

 まぁ、あの時は夫と娘が、王女殿下に公爵令嬢、隣国の皇太子殿下に次期国王のお兄様、全員に断罪されていましたものね。

 あれで、お顔の色がツヤツヤしていたら、逆に問題ですわ。

 あ。もちろん、前触れは出していますわ。
 突然訪れたりしたら、ご迷惑になりますから。

「ご結婚、おめでとうございます。お式も素晴らしかったとか」

「お祝いをいただき、ありがとうございます」

 私とユリウス様の結婚式には、ゴーマン伯爵となられた嫡男の方と、後見をされているエリアナ様からお祝いが届きました。

 ご嫡男のカーチス様はまだ十三歳なので、現在はエリアナ様が後見として伯爵家の仕事をしていらっしゃいます。

 あの時のお約束通り、エリアナ様の夫である前伯爵様は表に出ることはなく、カーチス様の教育とエリアナ様の手助けをなさっているそうです。

「皆おりますが、あまりお時間をいただくと王都へ向かうのにご迷惑になりましょう。ただバーバラが、ご挨拶申し上げたいと言っております。ご迷惑でなければ」

「皆様、お変わりなく?」

「はい、おかげさまで。主人も反省したのか、カーチスの教育や私の手助けをしてくれています。バーバラも自分の愚かさを少しは理解したようで、最近は使用人達とも仲良くしているんですよ」

 嬉しそうなエリアナ様の表情に、修道院に送ることにならなくて本当に良かったと思います。

 もちろん、あまり酷いようならご嫡男の足を引っ張ることになりますから、修道院に行くこともやむ得ないのですが、ご自分の産んで育てた娘を、修道院に行かせたい親などいませんものね。

 使用人が連絡したのか、少しするとバーバラ様がいらっしゃいました。

 おずおずとエリアナ様のお隣に並ばれると、深々と頭を下げられます。

「辺境伯夫人様、本当に申し訳ありませんでした!」

「バーバラ様、頭を上げて下さいませ。お元気でしたか?」

「はい」

 少しお痩せになったみたいですし、ドレスもシンプルなものをお召しになっていますが、柔らかい雰囲気になられましたわね。

「お母様のおっしゃることをよくお聞きになって、頑張ってくださいね?」

「はい。母や弟に迷惑をかけないよう努力します」

 ふふっ。ユリウス様にご無理を言って、ゴーマン伯爵家に寄っていただいて良かったですわ。

 お隣の領ですもの。
これから仲良くしていただきたいですわ。
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