37 / 64
それが罰なんですか?
しおりを挟む
伯爵夫人は何度も頭を下げながら、ご令嬢と伯爵を連れて去って行きました。
爵位の譲渡などは、後でキチンとご報告いただくことになっています。
私はユリウス様と、それから家族と共に屋敷へと戻ります。
メリアや他の侍女の手で婚礼衣装を脱ぎ、楽なドレスへと着替えました。
「ミリムは素晴らしいな」
扉を開けると、壁にもたれてユリウス様が立っていました。
「あら、ユリウス様」
「みんな居間でくつろいでもらっている。エスコートしよう」
「ありがとうございます。それで、私がどうかいたしまして?」
「いや、あの伯爵令嬢の件だ。あのように治めてしまうとは思わなかった」
ユリウス様は感心したようにおっしゃって下さいますけど、あれは夫人が覚悟を決められていたからで、私の采配ではありませんわ。
ご令嬢も、お母様が修道院へ行けとおっしゃったことで、私の話を聞く気になったのだと思います。
「あれは、夫人がちゃんとした方だったからですわ。もちろん、改善されない場合は仕方ありませんので修道院に行っていただきますけど、あの様子なら大丈夫ではないでしょうか」
帰る様子のバーバラ様は、しゅんとされていて、随分と堪えていらっしゃるようでしたし。
「そうだな。そうあって欲しいな」
ふふっ。ユリウス様はお優しい方ですわね。
居間では、家族とラナリス様セシリア様セルフィー殿下が待っていました。
「皆様、お待たせしたしました」
「お姉様っ。まだ怒っていらっしゃる?ごめんなさい。あの方が、お姉様のことを悪くおっしゃるから、許せなくて、それで・・・」
「セシリアは悪くないのよ。私がムカついたから、伯爵家を潰しても良いのよって言ってしまって」
駆け寄ってきたセシリア様とラナリス様が、一生懸命に私に弁解なさいます。
私は別に、おふたりに怒ってはいませんのに。
でも、ちょうどいいですわ。
「私、ラナリス様にお聞きしたいことがありましたの」
「え、なにっ?」
「デルモンド侯爵子息様のお仕置き、どうなりました?」
そうなのです。
すっかり忘れていましたけど、元婚約者様のことをラナリス様にお任せしたままだったのです。
どうでもいいといえばどうでもいいのですが、思い出したので聞いてみようと思いましたの。
「あ、あ~、えーと、聞きたい?」
「そうですわね、差し障りなければ」
それとも言いづらい何かがあるのでしょうか?
「デルモンド侯爵とも話をして、三ヶ月後後までに自分の婿入り先を探して来ること、という罰にしたの。三ヶ月経ったら、婿入り先が決まってようと決まってなかろうと、侯爵家から廃籍するって」
なんですか?それ。
爵位の譲渡などは、後でキチンとご報告いただくことになっています。
私はユリウス様と、それから家族と共に屋敷へと戻ります。
メリアや他の侍女の手で婚礼衣装を脱ぎ、楽なドレスへと着替えました。
「ミリムは素晴らしいな」
扉を開けると、壁にもたれてユリウス様が立っていました。
「あら、ユリウス様」
「みんな居間でくつろいでもらっている。エスコートしよう」
「ありがとうございます。それで、私がどうかいたしまして?」
「いや、あの伯爵令嬢の件だ。あのように治めてしまうとは思わなかった」
ユリウス様は感心したようにおっしゃって下さいますけど、あれは夫人が覚悟を決められていたからで、私の采配ではありませんわ。
ご令嬢も、お母様が修道院へ行けとおっしゃったことで、私の話を聞く気になったのだと思います。
「あれは、夫人がちゃんとした方だったからですわ。もちろん、改善されない場合は仕方ありませんので修道院に行っていただきますけど、あの様子なら大丈夫ではないでしょうか」
帰る様子のバーバラ様は、しゅんとされていて、随分と堪えていらっしゃるようでしたし。
「そうだな。そうあって欲しいな」
ふふっ。ユリウス様はお優しい方ですわね。
居間では、家族とラナリス様セシリア様セルフィー殿下が待っていました。
「皆様、お待たせしたしました」
「お姉様っ。まだ怒っていらっしゃる?ごめんなさい。あの方が、お姉様のことを悪くおっしゃるから、許せなくて、それで・・・」
「セシリアは悪くないのよ。私がムカついたから、伯爵家を潰しても良いのよって言ってしまって」
駆け寄ってきたセシリア様とラナリス様が、一生懸命に私に弁解なさいます。
私は別に、おふたりに怒ってはいませんのに。
でも、ちょうどいいですわ。
「私、ラナリス様にお聞きしたいことがありましたの」
「え、なにっ?」
「デルモンド侯爵子息様のお仕置き、どうなりました?」
そうなのです。
すっかり忘れていましたけど、元婚約者様のことをラナリス様にお任せしたままだったのです。
どうでもいいといえばどうでもいいのですが、思い出したので聞いてみようと思いましたの。
「あ、あ~、えーと、聞きたい?」
「そうですわね、差し障りなければ」
それとも言いづらい何かがあるのでしょうか?
「デルモンド侯爵とも話をして、三ヶ月後後までに自分の婿入り先を探して来ること、という罰にしたの。三ヶ月経ったら、婿入り先が決まってようと決まってなかろうと、侯爵家から廃籍するって」
なんですか?それ。
107
お気に入りに追加
1,045
あなたにおすすめの小説
【完結】「冤罪で処刑された公爵令嬢はタイムリープする〜二度目の人生は殺(や)られる前に殺(や)ってやりますわ!」
まほりろ
恋愛
【完結しました】
アリシア・フォスターは第一王子の婚約者だった。
だが卒業パーティで第一王子とその仲間たちに冤罪をかけられ、弁解することも許されず、その場で斬り殺されてしまう。
気がつけば、アリシアは十歳の誕生日までタイムリープしていた。
「二度目の人生は|殺《や》られる前に|殺《や》ってやりますわ!」
アリシアはやり直す前の人生で、自分を殺した者たちへの復讐を誓う。
敵は第一王子のスタン、男爵令嬢のゲレ、義弟(いとこ)のルーウィー、騎士団長の息子のジェイ、宰相の息子のカスパーの五人。
アリシアは父親と信頼のおけるメイドを仲間につけ、一人づつ確実に報復していく。
前回の人生では出会うことのなかった隣国の第三皇子に好意を持たれ……。
☆
※ざまぁ有り(死ネタ有り)
※虫を潰すように、さくさく敵を抹殺していきます。
※ヒロインのパパは味方です。
※他サイトにも投稿しています。
「Copyright(C)2021-九頭竜坂まほろん」
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
※本編1〜14話。タイムリープしたヒロインが、タイムリープする前の人生で自分を殺した相手を、ぷちぷちと潰していく話です。
※番外編15〜26話。タイムリープする前の時間軸で、娘を殺された公爵が、娘を殺した相手を捻り潰していく話です。
2022年3月8日HOTランキング7位! ありがとうございます!
婚約破棄直前に倒れた悪役令嬢は、愛を抱いたまま退場したい
矢口愛留
恋愛
【全11話】
学園の卒業パーティーで、公爵令嬢クロエは、第一王子スティーブに婚約破棄をされそうになっていた。
しかし、婚約破棄を宣言される前に、クロエは倒れてしまう。
クロエの余命があと一年ということがわかり、スティーブは、自身の感じていた違和感の元を探り始める。
スティーブは真実にたどり着き、クロエに一つの約束を残して、ある選択をするのだった。
※一話あたり短めです。
※ベリーズカフェにも投稿しております。
愛のない貴方からの婚約破棄は受け入れますが、その不貞の代償は大きいですよ?
日々埋没。
恋愛
公爵令嬢アズールサは隣国の男爵令嬢による嘘のイジメ被害告発のせいで、婚約者の王太子から婚約破棄を告げられる。
「どうぞご自由に。私なら傲慢な殿下にも王太子妃の地位にも未練はございませんので」
しかし愛のない政略結婚でこれまで冷遇されてきたアズールサは二つ返事で了承し、晴れて邪魔な婚約者を男爵令嬢に押し付けることに成功する。
「――ああそうそう、殿下が入れ込んでいるそちらの彼女って実は〇〇ですよ? まあ独り言ですが」
嘘つき男爵令嬢に騙された王太子は取り返しのつかない最期を迎えることになり……。
※この作品は過去に公開したことのある作品に修正を加えたものです。
またこの作品とは別に、他サイトでも本作を元にしたリメイク作を別のペンネー厶で公開していますがそのことをあらかじめご了承ください。
【完結】あの子の代わり
野村にれ
恋愛
突然、しばらく会っていなかった従姉妹の婚約者と、
婚約するように言われたベルアンジュ・ソアリ。
ソアリ伯爵家は持病を持つ妹・キャリーヌを中心に回っている。
18歳のベルアンジュに婚約者がいないのも、
キャリーヌにいないからという理由だったが、
今回は両親も断ることが出来なかった。
この婚約でベルアンジュの人生は回り始める。
【完結】「君を愛することはない」と言われた公爵令嬢は思い出の夜を繰り返す
おのまとぺ
恋愛
「君を愛することはない!」
鳴り響く鐘の音の中で、三年の婚約期間の末に結ばれるはずだったマルクス様は高らかに宣言しました。隣には彼の義理の妹シシーがピッタリとくっついています。私は笑顔で「承知いたしました」と答え、ガラスの靴を脱ぎ捨てて、一目散に式場の扉へと走り出しました。
え?悲しくないのかですって?
そんなこと思うわけないじゃないですか。だって、私はこの三年間、一度たりとも彼を愛したことなどなかったのですから。私が本当に愛していたのはーーー
◇よくある婚約破棄
◇元サヤはないです
◇タグは増えたりします
◇薬物などの危険物が少し登場します
遊び人の婚約者に愛想が尽きたので別れ話を切り出したら焦り始めました。
水垣するめ
恋愛
男爵令嬢のリーン・マルグルは男爵家の息子のクリス・シムズと婚約していた。
一年遅れて学園に入学すると、クリスは何人もの恋人を作って浮気していた。
すぐさまクリスの実家へ抗議の手紙を送ったが、全く相手にされなかった。
これに怒ったリーンは、婚約破棄をクリスへと切り出す。
最初は余裕だったクリスは、出した条件を聞くと突然慌てて始める……。
ほらやっぱり、結局貴方は彼女を好きになるんでしょう?
望月 或
恋愛
ベラトリクス侯爵家のセイフィーラと、ライオロック王国の第一王子であるユークリットは婚約者同士だ。二人は周りが羨むほどの相思相愛な仲で、通っている学園で日々仲睦まじく過ごしていた。
ある日、セイフィーラは落馬をし、その衝撃で《前世》の記憶を取り戻す。ここはゲームの中の世界で、自分は“悪役令嬢”だということを。
転入生のヒロインにユークリットが一目惚れをしてしまい、セイフィーラは二人の仲に嫉妬してヒロインを虐め、最後は『婚約破棄』をされ修道院に送られる運命であることを――
そのことをユークリットに告げると、「絶対にその彼女に目移りなんてしない。俺がこの世で愛しているのは君だけなんだ」と真剣に言ってくれたのだが……。
その日の朝礼後、ゲームの展開通り、ヒロインのリルカが転入してくる。
――そして、セイフィーラは見てしまった。
目を見開き、頬を紅潮させながらリルカを見つめているユークリットの顔を――
※作者独自の世界設定です。ゆるめなので、突っ込みは心の中でお手柔らかに願います……。
※たまに第三者視点が入ります。(タイトルに記載)
婚約を破棄され辺境に追いやられたけれど、思っていたより快適です!
さこの
恋愛
婚約者の第五王子フランツ殿下には好きな令嬢が出来たみたい。その令嬢とは男爵家の養女で親戚筋にあたり現在私のうちに住んでいる。
婚約者の私が邪魔になり、身分剥奪そして追放される事になる。陛下や両親が留守の間に王都から追放され、辺境の町へと行く事になった。
100キロ以内近寄るな。100キロといえばクレマン? そこに第三王子フェリクス殿下が来て“グレマン”へ行くようにと言う。クレマンと“グレマン”だと方向は真逆です。
追放と言われましたので、屋敷に帰り準備をします。フランツ殿下が王族として下した命令は自分勝手なものですから、陛下達が帰って来たらどうなるでしょう?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる