拝啓、婚約者様。婚約破棄していただきありがとうございます〜破棄を破棄?ご冗談は顔だけにしてください〜

みおな

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お仕置き

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 夫人は、自分の夫と娘に向き替えると、はっきりと宣言されました。

「あなた!本来ならバーバラを叱って止めなければならない貴方が、同じような言動をして!何を考えているのですかっ!離縁と言いたいところですが、あなたを世に放逐するわけにはいきません。帰ったら爵位を息子カーチスに譲っていただきますっ!」

「ま、待て。カーチスはまだ十三歳だぞ」

「私が後見に立ちます!ヴァルフリーデ王国では女性が爵位を継げるとはいえ、いずれはカーチスが継ぐのです。あなたには隠居をして、家の中で大人しくしていてもらいます!」

 あら?嫡男の方がいらしたのね。
まぁ、親としての責任をキチンと果たせないなら・・・伯爵家当主の座は相応しくありませんわね。

「それから、バーバラ。貴女には淑女教育をもう一度受けさせます。そしてそれが成せなかったり、今回みたいなマネをしたらゴーマン伯爵家から籍を抜き修道院へ入ってもらいます!」

「そんなっ、お母様っ!私は、私は間違ったことなんか・・・」

「黙りなさいっ!今すぐ修道院に行きたいのっ?グラナード辺境伯夫人のご好意で、私が始末をつけることを許していただけたというのに。他国に平民の使用人として連れて行かれたいの?」

 他国に平民の使用人として?
ああ。分かりましたわ。

 夫人が怯えていらっしゃったのは、前もってお兄様が夫人にそう話されていましたのね?

「今度何かやらかせば、平民の使用人として国外追放にする」とでも。

 ここには、王族であるラナリス王女殿下がいるのです。

 隣国のセルフィー皇太子殿下もいらっしゃいますから、話に信憑性がありますわよね。

「お母様、でも、だって・・・」

「でもじゃありません!そもそも、身分が上の辺境伯様のところへ前触れもなく訪問していたのですって?しかも、グラナード辺境伯領の領民の方々に傲慢な態度を取っていたとか!貴女は何様のつもり?反省する気がないのなら、すぐにでも籍を抜いて修道院に入れますっ!」

「そんなっ!お母様は私のことをお嫌いなの?」

「バーバラ、貴女・・・本当に一体今まで何を学んできたの?分かったわ、今すぐ修道院に行きなさい。せっかくの温情すら理解出来ないのなら、ゴーマン伯爵家には不要です」

 ご令嬢、バーバラ様とおっしゃったかしら。彼女は、夫人の言葉に真っ青になり、涙も溢れています。

 まさか母親からこんなことを言われるとは、思っていなかったのでしょうね。

 夫人のお気持ちも、理解していないのではないかしら?
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