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私を気弱だと思ってましたの?

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「話が逸れてますわ。今は、セルフィー殿下の性癖はどうでもいいですわ」

「ちょっ、ミリム嬢・・・じゃない、グラナード辺境伯夫人。性癖って・・・」

 セルフィー殿下がオタオタしたように口を挟まれますけど、私が怒っていることに気付いているお兄様は、軽く肩をすくめました。

「そう怒るな、ミリム」

「怒るに決まってるでしょう?お兄様、ラナリス様やセルフィー殿下をお連れしましたわね?」

 お祝いしたいというお気持ちは嘘ではないでしょうけど、わざわざ辺境伯領まで今回来てくださったのは、ゴーマン伯爵親子がやらかすと分かっていて、その時に徹底的に潰すつもりで『王女殿下』と隣国の『皇太子殿下』をお連れしたのでしょう?

 子爵令息でしかないお兄様。
 まぁ王女殿下の婚約者ですから、ただの子爵令息ではありませんけど。

 それでも子爵令息だけよりは、ラナリス様やセルフィー殿下の前でやらかせば、断罪しやすいですものね?

「やらかさなければ、何もするつもりはなかったさ」

「ヒルト様をあまり責めないで。私が一緒に行きたいと言ったのだし、それにお父様もヒルト様に任せるっておっしゃったの。だから・・・」

「陛下は、本当にお兄様に甘いんですから。それから、ラナリス様。お祝いしてくださるお気持ちは嬉しいですが、何かあってからでは遅いのです。お兄様共々、ご自分の立場をお考えください」

「ぅうっ、ごめんなさいぃ」

 王女殿下にお説教?をする私に、セルフィー殿下や護衛の方々は、驚いた様子でポカンとされています。

 あら?ゴーマン伯爵親子まで驚いた表情ですね。

 ああ。分かりましたわ。
私のことを、大人しくて気の弱い令嬢だと思っていたのですね?

 確かに私は、普段はさほど気の強い方ではありません。
 ですけど、怒ると言いたいことははっきり言いますの。相手が誰であろうと。

 ただの大人しいだけの子爵令嬢が、王女殿下の友人や公爵令嬢の家庭教師なんてしてるわけがないでしょう?

 それに私は、アデライン子爵家を継ぐつもりでいましたのよ?

 子爵家とはいえ、領民を抱える領主になるつもりだったのです。

 大人しいだけで、子爵家当主は務まりませんわ。

「それで、結局どうするおつもりですの?」

「えーと、それは・・・」

「失礼いたします。ユリウス様、ゴーマン伯爵夫人がお会いしたいと・・・」

「夫人が?」

 ラナリス様が答えようとした時、騎士の一人が私たちの元へやって来ました。

 ユリウス様が親子を見てから、私に視線を移します。

 私はコクリと頷きました。

 この際です。まとめてお相手いたしますわ。
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