上 下
3 / 64

あれは阿呆と言うんだわ

しおりを挟む
「お勉強が嫌いだとしても・・・あれはあまりにも酷くありませんか?」

 セシリア様の言うことは、正しい。
確かに酷すぎます。

「あんなに阿呆だったなんて・・・」

 あんなのと婚約していたなんて、人生の汚点です。

 まぁ、私望んだ婚約ではありませんし、デルモンド侯爵様には申し訳ありませんが、これは絶対に婚約はなかったものにしていただかないと。

 そんなことを考えていますと、デルモンド様は態度が気に入らないのか、再び怒声をあげました。

 デルモンド様は、普通に話すことができないのかしら?

「今ここで土下座して謝罪するのなら、婚約者という肩書きは与えてやってもいいんだぞ!まぁ、僕の愛はお前なんかにはやれないがな!」

「気持ち悪いことを言わないで下さいますか。貴方の愛を望んだことなど一度もありません。それに先程も申し上げましたでしょう。婚約破棄は喜んで承りますわ。デルモンド侯爵様にお伝えしなければならないでしょう?さぁ!どうぞ婚約破棄した相手など放置して、お帰りくださいませ」

「くっ!後悔しても遅いからな!」

 そう叫ばれると、デルモンド様は背を向けでズカズカと歩いて行かれます。

 なんていうか、歩き方まで品がありませんわ。

 まぁ品がある方は、他所様のお誕生日パーティーの会場で、婚約破棄宣言なんてなさいませんけどね。

 やれやれですわ。
私も、お父様にこのことをお話しなくては。

「ごめんなさい、セシリア様。せっかくのお誕生日パーティーを騒がせてしまったわ」

「ふふっ。ミリムお姉様が悪いのではないでしょう?それに、面白かったです」

 ニコニコと笑ってくれるセシリア様ですが、そうですね、他人事としてなら面白いですが当人となるとそうも言っていられません。

 この先起きる騒動を想像するだけで、うんざりしますわ。

「ミリム!」

 弾んだ声をあげてやって来られたのは・・・

「ラナリス様」

 このヴァルフリーデ王国の王女殿下、ラナリス・ヴァルフリーデ様です。

「婚約破棄、おめでとう」

「・・・ラナリス様。婚約破棄は祝うものではありませんよ」

「でも、嬉しいでしょ?あんなのとミリムが婚約だなんて、考えただけでゾッとするわ。デルモンド侯爵はマトモだし、嫡男もマトモなのに、何であんな風に育ったのかしら」

「選民意識の強い方のようですから、子爵令嬢との婚約が納得いかなかったのでしょう」

 気に入らないのは自由ですけど、どうして子爵家と侯爵家が婚約することになったのか、侯爵様からお聞きしていないのかしら?

 
しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

くだらない冤罪で投獄されたので呪うことにしました。

音爽(ネソウ)
恋愛
<良くある話ですが凄くバカで下品な話です。> 婚約者と友人に裏切られた、伯爵令嬢。 冤罪で投獄された恨みを晴らしましょう。 「ごめんなさい?私がかけた呪いはとけませんよ」

美しい貴族の令嬢である婚約者を捨てた愚かな王子の末路は……。

四季
恋愛
美しい貴族の令嬢である婚約者を捨てた愚かな王子の末路は……とんでもないものでした。

理不尽な理由で婚約者から断罪されることを知ったので、ささやかな抵抗をしてみた結果……。

水上
恋愛
バーンズ学園に通う伯爵令嬢である私、マリア・マクベインはある日、とあるトラブルに巻き込まれた。 その際、婚約者である伯爵令息スティーヴ・バークが、理不尽な理由で私のことを断罪するつもりだということを知った。 そこで、ささやかな抵抗をすることにしたのだけれど、その結果……。

(完)婚約破棄ですね、従姉妹とどうかお幸せに

青空一夏
恋愛
私の婚約者は従姉妹の方が好きになってしまったようなの。 仕方がないから従姉妹に譲りますわ。 どうぞ、お幸せに! ざまぁ。中世ヨーロッパ風の異世界。中性ヨーロッパの文明とは違う点が(例えば現代的な文明の機器など)でてくるかもしれません。ゆるふわ設定ご都合主義。

【完結】出逢ったのはいつですか? えっ? それは幼馴染とは言いません。

との
恋愛
「リリアーナさーん、読み終わりましたぁ?」 今日も元気良く教室に駆け込んでくるお花畑ヒロインに溜息を吐く仲良し四人組。 ただの婚約破棄騒動かと思いきや・・。 「リリアーナ、だからごめんってば」 「マカロンとアップルパイで手を打ちますわ」 ーーーーーー ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 完結迄予約投稿済みです。 R15は念の為・・

婚約解消しろ? 頼む相手を間違えていますよ?

風見ゆうみ
恋愛
伯爵令嬢である、私、リノア・ブルーミングは元婚約者から婚約破棄をされてすぐに、ラルフ・クラーク辺境伯から求婚され、新たな婚約者が出来ました。そんなラルフ様の家族から、結婚前に彼の屋敷に滞在する様に言われ、そうさせていただく事になったのですが、初日、ラルフ様のお母様から「嫌な思いをしたくなければ婚約を解消しなさい。あと、ラルフにこの事を話したら、あなたの家がどうなるかわかってますね?」と脅されました。彼のお母様だけでなく、彼のお姉様や弟君も結婚には反対のようで、かげで嫌がらせをされる様になってしまいます。ですけど、この婚約、私はともかく、ラルフ様は解消する気はなさそうですが? ※拙作の「どうして私にこだわるんですか!?」の続編になりますが、細かいキャラ設定は気にしない!という方は未読でも大丈夫かと思います。 独自の世界観のため、ご都合主義で設定はゆるいです。

あんな妹とそんなに結婚したいなら、どうぞご自由に。

法華
恋愛
貴族クインシーは、政略結婚で婚約させられた婚約者サラ・エースワットを冤罪まで被せて婚約破棄し、サラの妹ミシェルと婚約した。 だが、そこまでして手に入れたミシェルはどうしようもなく問題のある女だった。 クインシーはサラを取り戻そうとするが、サラは既に他の貴族と結婚してしまっていた。 ※三話完結

婚約破棄と追放を宣告されてしまいましたが、そのお陰で私は幸せまっしぐらです。一方、婚約者とその幼馴染みは……

水上
恋愛
侯爵令嬢である私、シャロン・ライテルは、婚約者である第二王子のローレンス・シェイファーに婚約破棄を言い渡された。 それは、彼の幼馴染みであるグレース・キャレラの陰謀で、私が犯してもいない罪を着せられたせいだ。 そして、いくら無実を主張しても、ローレンスは私の事を信じてくれなかった。 さらに私は、婚約破棄だけでなく、追放まで宣告されてしまう。 高らかに笑うグレースや信じてくれないローレンスを見て、私の体は震えていた。 しかし、以外なことにその件がきっかけで、私は幸せまっしぐらになるのだった。 一方、私を陥れたグレースとローレンスは……。

処理中です...