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あれは阿呆と言うんだわ

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「お勉強が嫌いだとしても・・・あれはあまりにも酷くありませんか?」

 セシリア様の言うことは、正しい。
確かに酷すぎます。

「あんなに阿呆だったなんて・・・」

 あんなのと婚約していたなんて、人生の汚点です。

 まぁ、私望んだ婚約ではありませんし、デルモンド侯爵様には申し訳ありませんが、これは絶対に婚約はなかったものにしていただかないと。

 そんなことを考えていますと、デルモンド様は態度が気に入らないのか、再び怒声をあげました。

 デルモンド様は、普通に話すことができないのかしら?

「今ここで土下座して謝罪するのなら、婚約者という肩書きは与えてやってもいいんだぞ!まぁ、僕の愛はお前なんかにはやれないがな!」

「気持ち悪いことを言わないで下さいますか。貴方の愛を望んだことなど一度もありません。それに先程も申し上げましたでしょう。婚約破棄は喜んで承りますわ。デルモンド侯爵様にお伝えしなければならないでしょう?さぁ!どうぞ婚約破棄した相手など放置して、お帰りくださいませ」

「くっ!後悔しても遅いからな!」

 そう叫ばれると、デルモンド様は背を向けでズカズカと歩いて行かれます。

 なんていうか、歩き方まで品がありませんわ。

 まぁ品がある方は、他所様のお誕生日パーティーの会場で、婚約破棄宣言なんてなさいませんけどね。

 やれやれですわ。
私も、お父様にこのことをお話しなくては。

「ごめんなさい、セシリア様。せっかくのお誕生日パーティーを騒がせてしまったわ」

「ふふっ。ミリムお姉様が悪いのではないでしょう?それに、面白かったです」

 ニコニコと笑ってくれるセシリア様ですが、そうですね、他人事としてなら面白いですが当人となるとそうも言っていられません。

 この先起きる騒動を想像するだけで、うんざりしますわ。

「ミリム!」

 弾んだ声をあげてやって来られたのは・・・

「ラナリス様」

 このヴァルフリーデ王国の王女殿下、ラナリス・ヴァルフリーデ様です。

「婚約破棄、おめでとう」

「・・・ラナリス様。婚約破棄は祝うものではありませんよ」

「でも、嬉しいでしょ?あんなのとミリムが婚約だなんて、考えただけでゾッとするわ。デルモンド侯爵はマトモだし、嫡男もマトモなのに、何であんな風に育ったのかしら」

「選民意識の強い方のようですから、子爵令嬢との婚約が納得いかなかったのでしょう」

 気に入らないのは自由ですけど、どうして子爵家と侯爵家が婚約することになったのか、侯爵様からお聞きしていないのかしら?

 
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