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元婚約者と妹と・・・ヒロイン?

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「お姉様・・・いいの?」

 イザベリーナは多分、ヒロイン?と思しき令嬢に、アーロン殿下を奪われるのではないかと不安だったのだと思う。

 アーロン殿下の好みのタイプは、確か可愛らしい系だったと思うのだけど。

 だからゲーム内ではヒロインに、現実ではイザベリーナに惹かれたのだと思う。

 でも婚約者の立場からしたら、殿下が他のご令嬢と一緒にいたら不安になるのは仕方ないことよね。

 私は少なくとも、イザベリーナのことを嫌いではない。

 まぁ、物を強請られまくっていた頃は、好きにはなれなかったし、私が転生する前のエリザベートがどう思っていたのかは分からないけど。

 だから、イザベリーナの不安が取り除けるのならアーロン殿下のところへ迎えに行っても良いかと思ったのだ。

 それに・・・本当にヒロインなのか確認もしたかったし。

「もちろんよ。さ、行きましょう」

「・・・あ、ありがとうございます、お姉様」

 まさか、イザベリーナからありがとうと言われる日が来るとは思わなかったわ。

 私はにこやかに微笑むと、イザベリーナと共に教員室に向かうことにした。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「あれ?イザベリーナ・・・とエリザベート嬢。どうしたんだ?」

 教員室に着く手前、私とイザベリーナは一人のご令嬢と一緒のアーロン殿下とばったり顔を合わせた。

 アーロン殿下は私たちがここにいることに驚いているようではあったけど、別にまずいところを見られたという様子はなかったから、ヒロイン?に一目惚れしたわけではなさそうだ。

「イザベリーナがどうしても殿下と帰りたいみたいでしたので、お待ちしておりました」

「お、お姉様っ」

 私の発言に、真っ赤になったイザベリーナを見て・・・

 思わずニマニマしてしまいそうになる。

 あの略奪系ゲームをしてた頃も、そしてエリザベートに転生して来てからも、まさかイザベリーナを可愛いと思う日が来るとは思わなかった。

 今日は予想外の気持ちを多く抱く日だわ。

「そ、そうか。で、でも僕は今日はええと・・・」

「アーロン殿下。私、そちらの・・・クライスラー公爵令嬢様とお話してみたいのですが、よろしいでしょうか?」

 チラチラと後ろを見ながら、困った様子のアーロン殿下に、その後ろにいた当人から暗に「帰ってもいいよ」的な発言が出た。

 艶やかな黒髪に黒曜石のような瞳。

 ゲームで見たより身長が高い。
アーロン殿下より小柄だったヒロインと違い、すらっとした容姿の彼女は、確かにイザベリーナが言った通りにとても美しい人だった。

 え?本当に彼女ってヒロインなの?
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