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近付かないで
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教室が違うので、本来なら攻略対象たちとの接点は少ない。
教室移動の時と、昼食時、後は登下校の時を警戒すれば会わずに済む予定だった。
そしてー
案の定というか、何というか。
ミラに聞いた話だと、昼食時の食堂であの平民の少女、名前をエリィというらしい、がヴァイオレット様を探していたそうだ。
絶対に絡んで来ると予想していた私は、ヴァイオレット様に、中庭でお昼ご飯を食べることを提案した。
そのためにはお弁当を持参しなければならないわけで、そんな平民のようなことを公爵令嬢であるヴァイオレット様にさせるのは申し訳なかったけど、ヴァイオレット様は快く了承してくれた。
もちろん我が家のシェフにもお願いして、私とミラの分のお弁当を作ってもらった。
そしてミラに、ちょーっと食堂の様子を確認に行ってもらったのだ。
もしこの場にあの少女や、攻略対象たちが現れることを懸念して、ルカを残す方を選択した。
女ばかりだと、攻略対象が来た時に対処しきれないからだ。
当然ミラは渋ったが、私が「信頼しているミラだから頼めるの」と言えば、お任せください第二弾である。
本当にミラは、私至上主義がすごい。
侍女としても、それ以外?でも優秀だし、何かご褒美をあげた方がいいのかもと最近は考えている。
え?狂信者にご褒美っておかしいって?
私に害はないからいいの。
「よろしければ、こちらも召し上がって?ミラさんもよろしかったら、どうぞ」
「わっ!ありがとうございます。公爵家の料理人さんってすごいですね!美味しいです」
「ルリア様のお好きな甘めの卵焼き。さすが公爵家」
いや、ミラ。恥ずかしいから。
甘い卵焼きが好きとか、子供みたいで。
まぁ実際のところ、味覚は子供っぽいというか、好物がオムレツやハンバーグというお子ちゃまなんだけど。
「わたくしも甘い卵焼きが好きなんですの。良かったですわ、ルリア様のお口にあって」
あうっ。ヴァイオレット様、優しい。
気を遣ってくれたのかな。
ちなみにこの場には、ルカもいる。
さっきから一言も話さないけど。
ただ黙ったまま、ヴァイオレット様の給仕をして、ついでに私やミラにもお茶を淹れてくれる。
「ありがとうございま・・・」
「こんなところにいたのかッ!ヴァイオレット!」
「・・・シネ」
静かな中庭に響き渡ったリオルド王子の声が、私のお礼の言葉を遮った。
途端に隣から発せられる、絶対零度の冷ややかな呟き。
シネ・・・死ね?
どうしてくれるの、王子!うちのミラさんにサイコ入っちゃったじゃない!
どうして近付かないでいてくれないの!
教室移動の時と、昼食時、後は登下校の時を警戒すれば会わずに済む予定だった。
そしてー
案の定というか、何というか。
ミラに聞いた話だと、昼食時の食堂であの平民の少女、名前をエリィというらしい、がヴァイオレット様を探していたそうだ。
絶対に絡んで来ると予想していた私は、ヴァイオレット様に、中庭でお昼ご飯を食べることを提案した。
そのためにはお弁当を持参しなければならないわけで、そんな平民のようなことを公爵令嬢であるヴァイオレット様にさせるのは申し訳なかったけど、ヴァイオレット様は快く了承してくれた。
もちろん我が家のシェフにもお願いして、私とミラの分のお弁当を作ってもらった。
そしてミラに、ちょーっと食堂の様子を確認に行ってもらったのだ。
もしこの場にあの少女や、攻略対象たちが現れることを懸念して、ルカを残す方を選択した。
女ばかりだと、攻略対象が来た時に対処しきれないからだ。
当然ミラは渋ったが、私が「信頼しているミラだから頼めるの」と言えば、お任せください第二弾である。
本当にミラは、私至上主義がすごい。
侍女としても、それ以外?でも優秀だし、何かご褒美をあげた方がいいのかもと最近は考えている。
え?狂信者にご褒美っておかしいって?
私に害はないからいいの。
「よろしければ、こちらも召し上がって?ミラさんもよろしかったら、どうぞ」
「わっ!ありがとうございます。公爵家の料理人さんってすごいですね!美味しいです」
「ルリア様のお好きな甘めの卵焼き。さすが公爵家」
いや、ミラ。恥ずかしいから。
甘い卵焼きが好きとか、子供みたいで。
まぁ実際のところ、味覚は子供っぽいというか、好物がオムレツやハンバーグというお子ちゃまなんだけど。
「わたくしも甘い卵焼きが好きなんですの。良かったですわ、ルリア様のお口にあって」
あうっ。ヴァイオレット様、優しい。
気を遣ってくれたのかな。
ちなみにこの場には、ルカもいる。
さっきから一言も話さないけど。
ただ黙ったまま、ヴァイオレット様の給仕をして、ついでに私やミラにもお茶を淹れてくれる。
「ありがとうございま・・・」
「こんなところにいたのかッ!ヴァイオレット!」
「・・・シネ」
静かな中庭に響き渡ったリオルド王子の声が、私のお礼の言葉を遮った。
途端に隣から発せられる、絶対零度の冷ややかな呟き。
シネ・・・死ね?
どうしてくれるの、王子!うちのミラさんにサイコ入っちゃったじゃない!
どうして近付かないでいてくれないの!
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