転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜

みおな

文字の大きさ
上 下
83 / 88
ヒロインの攻略対象

ヒロインの攻略対象《プリシア視点》

しおりを挟む
 私には、アリス様のお父様のお話はよく理解出来ませんでした。
 理解できたのは、アリス様のお父様つまりビスクランド伯爵の叔父様が、ケルドラード皇国の宰相をされていること。
 それから、何やらエルンスト様に許可を出されたこと。
 その2つだけです。
でも、エルンスト様はそれをお聞きになって、とても晴れやかな、心を決めたようなお顔をされていました。

 そのあと、皆様で街歩きに出かけたのですが、行きの馬車の中、ご一緒の馬車に乗られたサードニクス様がエルンスト様に「良かったな」とおっしゃっていたのが印象的でした。

 アリス様もニコニコと私を見つめて下さっています。
 アリス様もサードニクス様も、何が良かったのか、何の許可が出たのかはおっしゃいません。

 でも多分、エルンスト様に婚約を申し込まれるのだと思います。
 エルンスト様から、街歩きの際に少し2人きりで話があると告げられましたから。
 お別れのお話ではないと思います。だって、エルンスト様がとても清々しいお顔で、愛おしいものを見るように私を見るんですもの。

 その視線に、胸がドキドキして苦しくなります。
 前世でも、ボーイフレンドはいませんでしたから、どうしたらいいのかわかりません。

 街について、それぞれ婚約者と行動することになりました。1時間後に集まる場所を決めてから、バラバラになります。

 私はエルンスト様とご一緒することになりました。お話があるということなので、噴水のある広場へと向かいました。

「ダウニー嬢」

 手を引かれて、ベンチへと導かれます。
エルンスト様はベンチに座った私の前に跪かれました。

「ダウニー嬢。どうか俺と婚約して欲しい。君のことが好きなんだ」

 直球のプロポーズに、顔に熱が集まるのが分かります。
 エルンスト様が、私を好き・・・
胸が熱くなります。

 前世でプレイした乙女ゲームの中で、大好きだったエルンスト。
 女性蔑視の習慣があるケルドラード皇国のせいで、最初はすごく嫌な性格をしていました。
 でも攻略していくうちに、ヒロインに優しくなって、こんな風に目の前に跪いてプロポーズしてくれるんです。

 目の前のエルンスト様が乙女ゲームの中のエルンスト・ケルドラードと違うことは分かっています。
 むしろ、ゲーム内のエルンストよりも、目の前のエルンスト様に好感を持っている自分がいるのです。

 女性蔑視をすることをとても嫌悪されていて、お友達を大切に思われていて、とても誠実な方・・・

 アリス様。私、この方のお気持ちにお応えしてもいいのでしょうか?

 




しおりを挟む
感想 59

あなたにおすすめの小説

王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?

いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、 たまたま付き人と、 「婚約者のことが好きなわけじゃないー 王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」 と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。 私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、 「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」 なんで執着するんてすか?? 策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー 基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。

【完結】婚約破棄され毒杯処分された悪役令嬢は影から王子の愛と後悔を見届ける

堀 和三盆
恋愛
「クアリフィカ・アートルム公爵令嬢! 貴様との婚約は破棄する」  王太子との結婚を半年後に控え、卒業パーティーで婚約を破棄されてしまったクアリフィカ。目の前でクアリフィカの婚約者に寄り添い、歪んだ嗤いを浮かべているのは異母妹のルシクラージュだ。  クアリフィカは既に王妃教育を終えているため、このタイミングでの婚約破棄は未来を奪われるも同然。こうなるとクアリフィカにとれる選択肢は多くない。  せめてこれまで努力してきた王妃教育の成果を見てもらいたくて。  キレイな姿を婚約者の記憶にとどめてほしくて。  クアリフィカは荒れ狂う感情をしっかりと覆い隠し、この場で最後の公務に臨む。  卒業パーティー会場に響き渡る悲鳴。  目にした惨状にバタバタと倒れるパーティー参加者達。  淑女の鑑とまで言われたクアリフィカの最期の姿は、良くも悪くも多くの者の記憶に刻まれることになる。  そうして――王太子とルシクラージュの、後悔と懺悔の日々が始まった。

【完結】婚約者様、王女様を優先するならお好きにどうぞ

曽根原ツタ
恋愛
オーガスタの婚約者が王女のことを優先するようになったのは――彼女の近衛騎士になってからだった。 婚約者はオーガスタとの約束を、王女の護衛を口実に何度も破った。 美しい王女に付きっきりな彼への不信感が募っていく中、とある夜会で逢瀬を交わすふたりを目撃したことで、遂に婚約解消を決意する。 そして、その夜会でたまたま王子に会った瞬間、前世の記憶を思い出し……? ――病弱な王女を優先したいなら、好きにすればいいですよ。私も好きにしますので。

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢

岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか? 「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」 「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」 マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。

木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。 彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。 こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。 だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。 そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。 そんな私に、解放される日がやって来た。 それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。 全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。 私は、自由を得たのである。 その自由を謳歌しながら、私は思っていた。 悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。

記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~

Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。 走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。

お言葉を返すようですが、私それ程暇人ではありませんので

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<あなた方を相手にするだけ、時間の無駄です> 【私に濡れ衣を着せるなんて、皆さん本当に暇人ですね】 今日も私は許婚に身に覚えの無い嫌がらせを彼の幼馴染に働いたと言われて叱責される。そして彼の腕の中には怯えたふりをする彼女の姿。しかも2人を取り巻く人々までもがこぞって私を悪者よばわりしてくる有様。私がいつどこで嫌がらせを?あなた方が思う程、私暇人ではありませんけど?

願いの代償

らがまふぃん
恋愛
誰も彼もが軽視する。婚約者に家族までも。 公爵家に生まれ、王太子の婚約者となっても、誰からも認められることのないメルナーゼ・カーマイン。 唐突に思う。 どうして頑張っているのか。 どうして生きていたいのか。 もう、いいのではないだろうか。 メルナーゼが生を諦めたとき、世界の運命が決まった。 *ご都合主義です。わかりづらいなどありましたらすみません。笑って読んでくださいませ。本編15話で完結です。番外編を数話、気まぐれに投稿します。よろしくお願いいたします。 ※ありがたいことにHOTランキング入りいたしました。たくさんの方の目に触れる機会に感謝です。本編は終了しましたが、番外編も投稿予定ですので、気長にお付き合いくださると嬉しいです。たくさんのお気に入り登録、しおり、エール、いいねをありがとうございます。R7.1/31

処理中です...