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ヒロインの攻略対象
鈍感な恋心《セシル視点》
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エルンスト・ケルドラード。
ケルドラード皇国の皇太子で、今は僕らの学友だ。
魔法のないケルドラード皇国から来た皇太子は、どうやら魔法について学んで帰りたいらしい。
闇の聖女であるアリスに興味を持たれるのではないかと、気が気じゃなかった。
だけど、エルンストは全くアリスに興味を示さなかった。
多分、レイモンドが前もって何か言ったのだと思う。
幼い頃は気が弱くて、ハロルドに引っ張られていたレイモンドは、婚約者が出来てから少しずつ王子らしくなった。
婚約者の侯爵令嬢が少々気が強いようだから、レイモンドとは似合いなのだろう。
アリスに興味を持たない代わりに、光の聖女である男爵令嬢と交流を始めた。
そして、1ヶ月たった頃にエルンストがポツリと言った。
「ダウニー嬢のキラキラした目で見られると、胸が締め付けられるような気がするんだ。どうしてだろうか」
どうしても何も、それは好意を抱いているということだろう?
いや。どれだけ鈍感なんだ?
まさか、自分の気持ちにすら気づいてないのか?
僕が呆れたように見ていると、ジェイドとランベルトがため息を吐いていた。
婚約者のいないあの2人にすら呆れられるって・・・情けなくないか?
エルンストは皇太子だから、普通なら男爵令嬢と婚約することは無理だが、ダウニー嬢は聖女だから、お互いが望むなら婚約することもできるだろう。
フォレスト王国としては、光の聖女を他国には出したくないだろうが、アリスはダウニー嬢のことを大切にしているから、彼女が望むならケルドラード皇国へと送り出したいと願うだろう。
そしてアリスが望むなら、僕としては必ず叶えてあげたい。
ケルドラード皇国の国王がどう判断するかはわからないが、ビスクランド伯爵夫人が手がける服飾ブランドは、ケルドラード皇国でも何店舗も展開されている。
しかも、伯爵の叔父が皇国の宰相をしているのだとルイスから聞いた。
どれだけ有能な一族なんだ。
伯爵家でいるのは、陞爵を拒んでいるからだと父上から聞いた。
僕は、ビスクランド伯爵家が優秀だから婚約したわけでないけれど、ハロルドは幼い頃にそれを知らずにアリスに食ってかかり、ダートン公爵に相当絞られたらしい。
ケルドラード皇国が滅亡しないように、エルンストが光の聖女を娶りたいと望んだときには、話しておくか。
ダウニー嬢が軽く扱われたりすると、アリスが傷つく。
アリスが傷つくと、ビスクランド伯爵家全員がケルドラード皇国を滅ぼす為に立ち上がりかねない。
まぁ、僕もアリスを傷つける者を放置するつもりはないけど。
あの一族は敵に回すべきではない。
それをエルンストには教えておかねばならない。
ケルドラード皇国の皇太子で、今は僕らの学友だ。
魔法のないケルドラード皇国から来た皇太子は、どうやら魔法について学んで帰りたいらしい。
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だけど、エルンストは全くアリスに興味を示さなかった。
多分、レイモンドが前もって何か言ったのだと思う。
幼い頃は気が弱くて、ハロルドに引っ張られていたレイモンドは、婚約者が出来てから少しずつ王子らしくなった。
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そして、1ヶ月たった頃にエルンストがポツリと言った。
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どうしても何も、それは好意を抱いているということだろう?
いや。どれだけ鈍感なんだ?
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フォレスト王国としては、光の聖女を他国には出したくないだろうが、アリスはダウニー嬢のことを大切にしているから、彼女が望むならケルドラード皇国へと送り出したいと願うだろう。
そしてアリスが望むなら、僕としては必ず叶えてあげたい。
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しかも、伯爵の叔父が皇国の宰相をしているのだとルイスから聞いた。
どれだけ有能な一族なんだ。
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僕は、ビスクランド伯爵家が優秀だから婚約したわけでないけれど、ハロルドは幼い頃にそれを知らずにアリスに食ってかかり、ダートン公爵に相当絞られたらしい。
ケルドラード皇国が滅亡しないように、エルンストが光の聖女を娶りたいと望んだときには、話しておくか。
ダウニー嬢が軽く扱われたりすると、アリスが傷つく。
アリスが傷つくと、ビスクランド伯爵家全員がケルドラード皇国を滅ぼす為に立ち上がりかねない。
まぁ、僕もアリスを傷つける者を放置するつもりはないけど。
あの一族は敵に回すべきではない。
それをエルンストには教えておかねばならない。
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