転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜

みおな

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ヒロインの攻略対象

ヒロインではなく

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 ここ最近、プリシア様のお元気がありません。

 いえ。話しかけるとにこやかにお話しされるのですが、何かの拍子に考え込む様子が伺えるのです。

 何か心配ごとでしょうか?
私に何かお力になれることはあるのでしょうか。

 普段は、私のそばにはいつもセシル様がいらっしゃるので、プリシア様と2人になれる機会がありません。

 ですから、魔法科の授業のあと、プリシア様をお引き止めしました。

「アリス様?」

「プリシア様。何か気がかりなことでもあるのですか?私ではお力になれませんか?」

 私は、プリシア様のことが大好きです。前世でも私を助けて下さろうとした、優しいプリシア様。
 私も、少しでもプリシア様の力になりたいのです。

「そんなことはありません。いつもアリス様にはお力になっていただいています。違うのです。自分の気持ちがわからなくて、それで・・・」

「プリシア様?」

「前世の私は乙女ゲームの中のエルンスト様を大好きで推しでしたけど、ここは現実の世界で、エルンスト様はゲームのエルンスト様とは違って・・・だから・・・」

 プリシア様が、泣いてしまいそうに感じました。

 私はそっと、プリシア様の体を抱きしめます。プリシア様は、嫌がらずに私に抱きしめられていて下さいました。

「プリシア様は、今目の前にいるエルンスト様のことをどう思われまして?」

「お優しい・・・方だと思います」

「そうですね。私はゲームのエルンスト様を知りませんから、普通にお優しくて、頭のよろしい方だと思います。私に関わらないのも、きっとレイモンド様が何かおっしゃられたのでしょうね」

 私のことになると、セシル様が過保護でいらっしゃるから。
 それに、闇の聖女というチートな存在を他国に知られたくないでしょうし。

 その関係もあって、プリシア様がエルンスト様のお相手をなさっているのだと思います。

 私もプリシア様が前世でエルンスト様を最推しだと伺っていたので、これはチャンスだと思っていましたが・・・

「お嫌いでないのなら、普通にお友達として接せられればよろしいわ。プリシア様のお気持ちがないのに、光の聖女を欲せられるようでしたら、私たちが必ずプリシア様をお守りいたしますわ。プリシア様が政略結婚を気にされる必要はありません。プリシア様が望む方とご結婚されるように、我がビスクランド家がサポートいたしますから」

 プリシア様は男爵家のご令嬢ですから、爵位が上のお家からご婚約を申し込まれたら、お断りできないでしょう。
 ですが、セシル様もレイモンド様も、ルイスお兄様もいます。
 必ずお守りしますわ。
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