転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜

みおな

文字の大きさ
上 下
69 / 88
ヒロインの攻略対象

わからない気持ち《プリシア視点》

しおりを挟む
 前世での私の最推し、エルンスト・ケルドラード皇太子殿下。
 濡羽色の髪と黒曜石の瞳、お国柄のせいか女性蔑視な発言をされていたけど、ヒロインと知り合うことで、女性蔑視はどこに行ったの?ってくらいヒロインを愛してくれる人。

 私も、この世界が乙女ゲームの世界でないことは分かっています。いくらゲームの中の攻略対象と同じ名前で同じ容姿でも、目の前のエルンスト皇子は、私の最推しのエルンスト皇子とは違う・・・

 目の前に存在するエルンスト皇子が私に興味を持ってくれているのは、私が光の聖女だから。
 魔法の存在しないケルドラード皇国の利になるから。

 あとは多分、アリス様に興味を持たれないように、王子殿下やサードニクス様が話されたのかもしれない。

 私も、アリス様が闇の聖女だと気づかれたら面倒なことになるとわかります。

 婚約者であるアリス様とサードニクス様。
 アリス様が闇の聖女だと分かれば、強引にエルンスト皇子との婚約話が持ち上がる可能性があります。

 アリス様はビスクランド伯爵家のご令嬢。ビスクランド伯爵家はフォレスト王国筆頭の資産家です。
 国家予算の半分以上をビスクランド伯爵家が納めているという噂があるくらいです。
 そんな伯爵家のご令嬢なら、皇太子妃としても遜色はありません。

 ですが、サードニクス様がアリス様を手放されるはずがありません。
 いえ。サードニクス様だけではありません。
 アリス様のお兄様であるルイス様も妹君を溺愛なさっていて、そのルイス様は次期女王陛下の王配になられることが決まっているのです。

 レイモンド王子の婚約者である侯爵家ご令嬢のリーシャ様も、ダートン公爵令息様も、騎士団長のご子息も、魔法省長官ご子息も、みんなアリス様のことを大切に思っています。

 そのアリス様を、無理矢理サードニクス様から引き離したりしたら、この国とケルドラード皇国は戦争になるでしょう。

 だから、光の聖女である私に興味を向けるようにしたのだと思います。

 それは構いません。
私も、アリス様のことが大切です。アリス様の幸せのためになら、エルンスト皇子といくらでもお話します。

 だけど。

 もしもゲーム通りに、エルンスト皇子がを婚約者にと望んだら?
 私は確かに光の聖女だけど、プリシア・ダウニーという1人の人間です。

 前世での最推しといえど、目の前の人はゲームのキャラクターではありません。

 生きて、話して、考えて、自分の意志で行動する人間なんです。

 私は、目の前にいるエルンスト皇子本人を好きなのでしょうか?
 私はそのことをよく考えてみなければならないと思います。
しおりを挟む
感想 59

あなたにおすすめの小説

記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~

Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。 走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢

岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか? 「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」 「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」 マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

愛されない王妃は、お飾りでいたい

夕立悠理
恋愛
──私が君を愛することは、ない。  クロアには前世の記憶がある。前世の記憶によると、ここはロマンス小説の世界でクロアは悪役令嬢だった。けれど、クロアが敗戦国の王に嫁がされたことにより、物語は終わった。  そして迎えた初夜。夫はクロアを愛せず、抱くつもりもないといった。 「イエーイ、これで自由の身だわ!!!」  クロアが喜びながらスローライフを送っていると、なんだか、夫の態度が急変し──!? 「初夜にいった言葉を忘れたんですか!?」

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!

たぬきち25番
恋愛
 気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡ ※マルチエンディングです!! コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m 2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。 楽しんで頂けると幸いです。

シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした

黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)

【完結】断罪された悪役令嬢は、全てを捨てる事にした

miniko
恋愛
悪役令嬢に生まれ変わったのだと気付いた時、私は既に王太子の婚約者になった後だった。 婚約回避は手遅れだったが、思いの外、彼と円満な関係を築く。 (ゲーム通りになるとは限らないのかも) ・・・とか思ってたら、学園入学後に状況は激変。 周囲に疎まれる様になり、まんまと卒業パーティーで断罪&婚約破棄のテンプレ展開。 馬鹿馬鹿しい。こんな国、こっちから捨ててやろう。 冤罪を晴らして、意気揚々と単身で出国しようとするのだが、ある人物に捕まって・・・。 強制力と言う名の運命に翻弄される私は、幸せになれるのか!? ※感想欄はネタバレあり/なし の振り分けをしていません。本編より先にお読みになる場合はご注意ください。

【完結】婚約破棄され毒杯処分された悪役令嬢は影から王子の愛と後悔を見届ける

堀 和三盆
恋愛
「クアリフィカ・アートルム公爵令嬢! 貴様との婚約は破棄する」  王太子との結婚を半年後に控え、卒業パーティーで婚約を破棄されてしまったクアリフィカ。目の前でクアリフィカの婚約者に寄り添い、歪んだ嗤いを浮かべているのは異母妹のルシクラージュだ。  クアリフィカは既に王妃教育を終えているため、このタイミングでの婚約破棄は未来を奪われるも同然。こうなるとクアリフィカにとれる選択肢は多くない。  せめてこれまで努力してきた王妃教育の成果を見てもらいたくて。  キレイな姿を婚約者の記憶にとどめてほしくて。  クアリフィカは荒れ狂う感情をしっかりと覆い隠し、この場で最後の公務に臨む。  卒業パーティー会場に響き渡る悲鳴。  目にした惨状にバタバタと倒れるパーティー参加者達。  淑女の鑑とまで言われたクアリフィカの最期の姿は、良くも悪くも多くの者の記憶に刻まれることになる。  そうして――王太子とルシクラージュの、後悔と懺悔の日々が始まった。

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

処理中です...