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ゲームの舞台の学園へ

結末《リリア視点》

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 どうしてこんなことになったの?
ルイスを攻略できてるはずだった。

 パーティーにエスコートしてもらって、ドレスも贈ってもらって、王様の前でアリスを断罪してって言うから、だからそうしたのに、なんで?

 ドレスの色で駄目なのがあるなんて知らない。
 媚薬入りのお菓子を渡したのだって、セシルやルイスが全然こっちを見てくれないから、だからアリスを排除しようと思ったんじゃない。

 私はヒロインなのに、どうしてみんな私に冷たいの?

 それとも、これがイベントなの?
この冷たい牢で待ってたら、セシルやレイモンドが迎えに来てくれるの?

「私はヒロインなのよっ!未来の公爵夫人なんだから!!早く出しなさいよっ」

 しばらく叫んだけど、誰も相手にしてくれなくて疲れ果てた頃、コツコツと足音が聞こえた。

「セシルっ?やっぱり迎えにきて・・・だれ?」

 牢の鉄格子にしがみついた私を、憐れんだような目で見る女。誰?
 いや、ちょっと待って。見覚えがある。
いつもアリスの隣にいたやつじゃない?

「この際、あんたでもいいわ!早く出しなさいよ!」

「どうして、媚薬を盛ったりしたんですか?」

「はぁ?しょうがないじゃない。悪役令嬢のくせに、私のセシルと婚約なんかしてるのがいけないんじゃない」

 大体、乙女ゲームはヒロインのための世界でしょ。なのに、なんで私がこんな目にあわなきゃいけないのよ。

「アリス様は悪役令嬢じゃありませんよ」

「はぁ?何言ってんの。アリス・ビスクランドはー」

「乙女ゲーム『最後の恋をあなたと』の悪役令嬢」

「そうよ!だから・・・え?まさか、あんた・・・」

 乙女ゲームって言った!この女、まさか転生者なの?

「アリス様がダートン様でなくサードニクス様と婚約している時点で、この世界が類似していても乙女ゲームでないとどうして気づかなかったんですか。どうして、ヒロインなら何をしても許されるなんて思ったんですか」

「だって、乙女ゲームはヒロインのための世界でしょ!」

「どうしてご自分をヒロインだと?」

 何言ってんの?コイツ。『最後の恋をあなたと』のヒロインは、ピンク色の髪と瞳で・・・

「まさか・・・」

「ヒロインは光の聖女ですよね。クライブ様は光の魔力をお持ちですか?」

「まさか、アンタが・・・」

「残念です。媚薬騒動を起こしたりしなければ、何とか命だけは助けられるかと思っていたのですが」

 この女がヒロインなの?じゃあ、私は何なの?だって、似たような容姿で乙女ゲームの世界に転生したなら、ヒロインだって思うじゃない。

「いやよ、死にたくない・・・」

「他の方に被害が及んでいなければ、アリス様なら命だけはと願って下さったのに。残念です」

 そう言うと、ヒロインだという女は背中を向けて立ち去って行く。

 いやよ!死にたくない!!

 泣き叫んで、鉄格子を揺らしても、誰もやって来ない。
 声が枯れて、ヒリヒリした。牢の中を見渡すと、片隅に水差しを見つけた。急いでコップに注ぐ。

 死にたくない!死にたくない!!
もっと叫んで、誰かを呼ばなきゃ。反省してるって訴えたら、命だけは助けてもらえるはず!

 喉を潤すために、コップになみなみ注いだ水を一気に飲み干した。

 これで、叫べる。

 そう思った私は、胸が焼けるような苦しさを覚えてしゃがみ込んだ。
 目の前が暗くなって、意識が薄れていく。

 私は何を間違ったんだろう。

 意識がなくなる瞬間、もう乙女ゲームはしたくないー
 そう思った。



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