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ゲームの舞台の学園へ
断罪《リリア視点》
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「それで、リリア。国王陛下の前で証言してくれるかい?」
ルイスが優しく背中を押してパーティー会場の中央へと、私を導いてくれる。
パーティー会場中のみんなが、私に注目しているのを感じる。そうよね。ヒロインってみんなに好かれる運命だもん。
シャンデリアにキラキラ煌めく会場の中で、金のドレスを着た自分がお姫様になったような気持ちになる。
セシルじゃなくレイモンドを狙えば良かったかな。そしたら王太子妃になるから、いずれは王妃になれるのよね。
そういえば、ゲームのアリスってレイモンドの婚約者だったっけ。
えっと、何だっけ。アリスにいじめられてるって訴えればいいんだっけ?
あれ?でも普通こういう場合って、悪役令嬢を目の前にして、王子様が悪役令嬢を責めるんじゃなかった?
「え、えと、アリスの目の前で言わなくていいの?」
「うん?ああ。目の前で言ったりしてリリアに何かあったら困るからね。国王陛下に訴えれば良いんだよ」
わぁ!ルイスってばすっかり私にメロメロじゃない?
私の推しはセシルだから、ルイスとは結婚出来ないけど、これって逆ハーレムとかできちゃうんじゃない?
でも、そっか。悪役令嬢に何かされても困るし、王様に言えば王様が処刑してくれるってことよね?
「王様っ!聞いてください!!私はアリス・ビスクランドさんにいじめられているんですっ!!」
私がそう叫ぶと、あたりがシン!と静まる。
少し離れた1段高い位置に座った王様は、レイモンドと同じ金の髪と金の瞳をしていて、ナイスミドルってやつだった。
「アリス・ビスクランド伯爵令嬢に?」
「そうです。ルイスに近づくなって言われて、突き飛ばされました!」
「ほう。突き飛ばされたのか?怪我はなかったのか?」
「怖かったですけど、大丈夫でした。あと、アリスの取り巻きの男達に襲われそうになったんです!」
ちょっとくらい盛ったほうがいいよね?罪が大きい方が処刑されるだろうし。
あの男たちは学園来なくなったし、私が媚薬を盛ったのはバレないから、アリスがやったことにすれば良いよね。
私はすっかり、悪役令嬢を断罪するヒロインの役目に酔っていた。
だから気づかなかった。
私の話を聞く王様の目が鋭い光を放っていたことに。
離れた位置から、セシルやレイモンド、ハロルド達が私を睨んでいたことに。
周囲の貴族達が、私のことを呆れを通り越して、苦々しげに見ていることに。
自分が発した言葉が、私の首を絞めたことに、この時の私は気づいていなかった。
ルイスが優しく背中を押してパーティー会場の中央へと、私を導いてくれる。
パーティー会場中のみんなが、私に注目しているのを感じる。そうよね。ヒロインってみんなに好かれる運命だもん。
シャンデリアにキラキラ煌めく会場の中で、金のドレスを着た自分がお姫様になったような気持ちになる。
セシルじゃなくレイモンドを狙えば良かったかな。そしたら王太子妃になるから、いずれは王妃になれるのよね。
そういえば、ゲームのアリスってレイモンドの婚約者だったっけ。
えっと、何だっけ。アリスにいじめられてるって訴えればいいんだっけ?
あれ?でも普通こういう場合って、悪役令嬢を目の前にして、王子様が悪役令嬢を責めるんじゃなかった?
「え、えと、アリスの目の前で言わなくていいの?」
「うん?ああ。目の前で言ったりしてリリアに何かあったら困るからね。国王陛下に訴えれば良いんだよ」
わぁ!ルイスってばすっかり私にメロメロじゃない?
私の推しはセシルだから、ルイスとは結婚出来ないけど、これって逆ハーレムとかできちゃうんじゃない?
でも、そっか。悪役令嬢に何かされても困るし、王様に言えば王様が処刑してくれるってことよね?
「王様っ!聞いてください!!私はアリス・ビスクランドさんにいじめられているんですっ!!」
私がそう叫ぶと、あたりがシン!と静まる。
少し離れた1段高い位置に座った王様は、レイモンドと同じ金の髪と金の瞳をしていて、ナイスミドルってやつだった。
「アリス・ビスクランド伯爵令嬢に?」
「そうです。ルイスに近づくなって言われて、突き飛ばされました!」
「ほう。突き飛ばされたのか?怪我はなかったのか?」
「怖かったですけど、大丈夫でした。あと、アリスの取り巻きの男達に襲われそうになったんです!」
ちょっとくらい盛ったほうがいいよね?罪が大きい方が処刑されるだろうし。
あの男たちは学園来なくなったし、私が媚薬を盛ったのはバレないから、アリスがやったことにすれば良いよね。
私はすっかり、悪役令嬢を断罪するヒロインの役目に酔っていた。
だから気づかなかった。
私の話を聞く王様の目が鋭い光を放っていたことに。
離れた位置から、セシルやレイモンド、ハロルド達が私を睨んでいたことに。
周囲の貴族達が、私のことを呆れを通り越して、苦々しげに見ていることに。
自分が発した言葉が、私の首を絞めたことに、この時の私は気づいていなかった。
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