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ゲームの舞台の学園へ

繰り返される愚行

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「東のガゼボで、サードニクス様が待っているそうです」

 その伝言は、見知らぬ生徒から届けられました。
 ちょうど魔法科の授業が終わった直後で、この後は昼食です。
 ですから、何の不審もないような伝言でした。

 先に食事に行っていてと言った私に、プリシア様はどこか厳しいお顔をされていました。

「プリシア様?」

「何かおかしいです。サードニクス様が1人でアリス様を東のガゼボまで行かせるなんて」

 そうかしら?私だって1人歩きくらい出来ますわよ?

 小首を傾げると、プリシア様は私の手をぎゅっと握りました。

「先に騎士科に行ってみましょう。本当にガゼボでお待ちだとしても、サードニクス様なら理由を話せば理解って下さいます」

「え、で、でも・・・一応、魔法も使えますし、大丈夫ではないかしら」

「アリス様!アリス様はか弱きご令嬢なんですよ?もし、男の人に押さえつけられたり、魔法を唱えられないようにされたらどうするんですか?いいですか!いくら闇の聖女様とはいえ、生身の人間なんです。もし、意識を失わされ、襲われたらどうするんですか?サードニクス様がどう思われるか考えてみてください!」

 前世で自分より一回りも年下のお嬢さんに叱られてしまいました。

 私はどうやら前世の時から、危機感が足りないみたいです。
 だから、殺されてしまったのだと思います。

 仕方ありません。前世で私を助けてくれようとしたお嬢さんの言うことです。素直に従いましょう。

「プリシア様に従いますわ」

「はいっ!じゃ、行きましょう」

 良かったですわ。ご機嫌は戻ったみたいです。プリシア様と手を繋いで、騎士科の方へと向かいます。

 すると、騎士科の教室前で、セシル様に纏わり付いているクライブ様の姿が見えました。

 あら?本当にセシル様はこちらにいらっしゃいましたわ。それともガゼボに向かう前にクライブ様に捕まったのかしら?

「アリスっ!」

 私に気付いたセシル様が、クライブ様を振り払ってこちらへと駆けてきます。

「セシル様、ガゼボでお待ちだったのでは?」

「は?何それ」

「アリス様が伝言を受けたのです。サードニクス様が東のガゼボで待っている、と」

 プリシア様の説明に、セシル様のお顔が顰められます。

「なんだ、それ。誰からの伝言だった?」

「他のクラスの人だと思います。見覚えがありませんでしたから」

「それで、ガゼボには?」

「私は行こうかと思ったのですが、プリシア様がおかしいからと。セシル様が私を1人で行動させるわけがないからとおっしゃるので、行っていませんわ」

 私がそう言うと、セシル様はホッと息を吐きました。

「それが正解。アリス、僕は君を1人で行動させるようなことはしない。だから、僕がそばにいない時は、彼女なりレイモンドなり、誰でもいいから一緒に行動して?お願いだから」

「わかりましたわ」

 セシル様にお願いとまで言われたのです。危機感の足りない私ですし、素直に従いますわ。
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