46 / 88
ゲームの舞台の学園へ
損ねたご機嫌《ルイス視点》
しおりを挟む
学園から帰ると、母上に手招きされた。
「ただいま戻りました」
「おかえりなさい、ルイス。あなた、何をしたの?」
「は?」
意味がわからず首を傾げると、母上は苦笑いなさる。
「お姫様のご機嫌、損ねてるわよ」
「えっ?」
「バレたんじゃないの?お付き合い」
アリスにアナスタシア様との交際がバレた?
内緒にするつもりじゃなかった。ちゃんと落ち着いたら話すつもりだったんだ。
アナスタシア様は女王陛下になられる方だから、僕は婚約者になるなら王配になることになる。
そうなるとビスクランド伯爵家を継ぐ者がいなくなるから、そのあたりも父上や母上と話し合って、ちゃんと決まったらアリスにも話すつもりだったんだ。
決して、アリスがセシル殿と婚約して、僕に甘えてくれなくなったから拗ねたとか、そういうことじゃない。・・・多分。
「えっと、それでアリスはどこに?」
「お部屋にいるわよ。アリスの好きなマカロン買ってあるから、それ持っていきなさい」
「ありがとうございます、母上」
母上からマカロンを受け取ると、僕はいそいそとアリスの部屋へと向かう。
僕は確かにアナスタシア様のことを好きだけど、アリスに嫌われたら生きていけないかもしれない。
アナスタシア様とお付き合いするようになってから、ほとんどアリスと話ができていないことを思い出す。
アリスにはセシル殿がべったりだし、僕もいつまでもアリスに執着してたら駄目だと思っていたけど、やっぱりアリスは僕にとって大切な妹だ。
「アリス?僕だけど。いいかな?」
「お兄様?どうぞ?」
声音はそんなに怒っているような気はしないけど、僕は恐る恐る扉を開けた。
ソファーに座ったアリスが、キョトンとした顔でこちらを見てくる。
あれ?怒っているようには見えないけど。
「アリス。マカロン食べないか?」
「ごめんなさい。いらないですわ」
え?やっぱり怒ってるのか?
大好きなマカロンをいらないなんて。
「アリス、怒ってるのかい?内緒にするつもりはなかったんだ。ちゃんと婚約が決まったら話そうと・・・」
「レイモンド様から伺ったときは、ちょっと怒っていましたけど、今は怒っていませんわ」
「でも・・・」
僕が持ってきたマカロンは食べたくないんだろう?
アリスに嫌われるくらいなら、最初からアナスタシア様のことを話しておけば良かった。
アナスタシア様は素晴らしい女性だけど、アリスが嫌っていたハロルド・ダートン公爵子息とアナスタシア様の弟のレイモンド王子は仲がいいから、何だか言い辛かったんだ。
「怒っているのではないのです。ちょっと今日、お昼に食べ過ぎてしまったのですわ」
「本当に?」
「ええ。セシル様を筆頭に、レイモンド様やハロルド様たちまで私にあれこれ下さったのです。ご好意を無にできずに、全ていただいたもので・・・今日は夕食もいらないくらいですわ」
あれ?アリス、レイモンド王子だけじゃなくハロルド・ダートン公爵子息とも仲良くしているのか?
「それで、お兄様。クライブ様からはちゃんと逃げられまして?」
「クライブって誰だい?」
「今日、お兄様に付き纏っていたご令嬢のことですわ」
見てたのか!
「ただいま戻りました」
「おかえりなさい、ルイス。あなた、何をしたの?」
「は?」
意味がわからず首を傾げると、母上は苦笑いなさる。
「お姫様のご機嫌、損ねてるわよ」
「えっ?」
「バレたんじゃないの?お付き合い」
アリスにアナスタシア様との交際がバレた?
内緒にするつもりじゃなかった。ちゃんと落ち着いたら話すつもりだったんだ。
アナスタシア様は女王陛下になられる方だから、僕は婚約者になるなら王配になることになる。
そうなるとビスクランド伯爵家を継ぐ者がいなくなるから、そのあたりも父上や母上と話し合って、ちゃんと決まったらアリスにも話すつもりだったんだ。
決して、アリスがセシル殿と婚約して、僕に甘えてくれなくなったから拗ねたとか、そういうことじゃない。・・・多分。
「えっと、それでアリスはどこに?」
「お部屋にいるわよ。アリスの好きなマカロン買ってあるから、それ持っていきなさい」
「ありがとうございます、母上」
母上からマカロンを受け取ると、僕はいそいそとアリスの部屋へと向かう。
僕は確かにアナスタシア様のことを好きだけど、アリスに嫌われたら生きていけないかもしれない。
アナスタシア様とお付き合いするようになってから、ほとんどアリスと話ができていないことを思い出す。
アリスにはセシル殿がべったりだし、僕もいつまでもアリスに執着してたら駄目だと思っていたけど、やっぱりアリスは僕にとって大切な妹だ。
「アリス?僕だけど。いいかな?」
「お兄様?どうぞ?」
声音はそんなに怒っているような気はしないけど、僕は恐る恐る扉を開けた。
ソファーに座ったアリスが、キョトンとした顔でこちらを見てくる。
あれ?怒っているようには見えないけど。
「アリス。マカロン食べないか?」
「ごめんなさい。いらないですわ」
え?やっぱり怒ってるのか?
大好きなマカロンをいらないなんて。
「アリス、怒ってるのかい?内緒にするつもりはなかったんだ。ちゃんと婚約が決まったら話そうと・・・」
「レイモンド様から伺ったときは、ちょっと怒っていましたけど、今は怒っていませんわ」
「でも・・・」
僕が持ってきたマカロンは食べたくないんだろう?
アリスに嫌われるくらいなら、最初からアナスタシア様のことを話しておけば良かった。
アナスタシア様は素晴らしい女性だけど、アリスが嫌っていたハロルド・ダートン公爵子息とアナスタシア様の弟のレイモンド王子は仲がいいから、何だか言い辛かったんだ。
「怒っているのではないのです。ちょっと今日、お昼に食べ過ぎてしまったのですわ」
「本当に?」
「ええ。セシル様を筆頭に、レイモンド様やハロルド様たちまで私にあれこれ下さったのです。ご好意を無にできずに、全ていただいたもので・・・今日は夕食もいらないくらいですわ」
あれ?アリス、レイモンド王子だけじゃなくハロルド・ダートン公爵子息とも仲良くしているのか?
「それで、お兄様。クライブ様からはちゃんと逃げられまして?」
「クライブって誰だい?」
「今日、お兄様に付き纏っていたご令嬢のことですわ」
見てたのか!
169
お気に入りに追加
1,386
あなたにおすすめの小説
【完結】もう結構ですわ!
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
恋愛
どこぞの物語のように、夜会で婚約破棄を告げられる。結構ですわ、お受けしますと返答し、私シャルリーヌ・リン・ル・フォールは微笑み返した。
愚かな王子を擁するヴァロワ王家は、あっという間に追い詰められていく。逆に、ル・フォール公国は独立し、豊かさを享受し始めた。シャルリーヌは、豊かな国と愛する人、両方を手に入れられるのか!
ハッピーエンド確定
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/11/29……完結
2024/09/12……小説家になろう 異世界日間連載 7位 恋愛日間連載 11位
2024/09/12……エブリスタ、恋愛ファンタジー 1位
2024/09/12……カクヨム恋愛日間 4位、週間 65位
2024/09/12……アルファポリス、女性向けHOT 42位
2024/09/11……連載開始

村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。

光の王太子殿下は愛したい
葵川真衣
恋愛
王太子アドレーには、婚約者がいる。公爵令嬢のクリスティンだ。
わがままな婚約者に、アドレーは元々関心をもっていなかった。
だが、彼女はあるときを境に変わる。
アドレーはそんなクリスティンに惹かれていくのだった。しかし彼女は変わりはじめたときから、よそよそしい。
どうやら、他の少女にアドレーが惹かれると思い込んでいるようである。
目移りなどしないのに。
果たしてアドレーは、乙女ゲームの悪役令嬢に転生している婚約者を、振り向かせることができるのか……!?
ラブラブを望む王太子と、未来を恐れる悪役令嬢の攻防のラブ(?)コメディ。
☆完結しました。ありがとうございました。番外編等、不定期更新です。
悪役令嬢に転生しましたが、行いを変えるつもりはありません
れぐまき
恋愛
公爵令嬢セシリアは皇太子との婚約発表舞踏会で、とある男爵令嬢を見かけたことをきっかけに、自分が『宝石の絆』という乙女ゲームのライバルキャラであることを知る。
「…私、間違ってませんわね」
曲がったことが大嫌いなオーバースペック公爵令嬢が自分の信念を貫き通す話
…だったはずが最近はどこか天然の主人公と勘違い王子のすれ違い(勘違い)恋愛話になってきている…
5/13
ちょっとお話が長くなってきたので一旦全話非公開にして纏めたり加筆したりと大幅に修正していきます
5/22
修正完了しました。明日から通常更新に戻ります
9/21
完結しました
また気が向いたら番外編として二人のその後をアップしていきたいと思います
お言葉を返すようですが、私それ程暇人ではありませんので
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<あなた方を相手にするだけ、時間の無駄です>
【私に濡れ衣を着せるなんて、皆さん本当に暇人ですね】
今日も私は許婚に身に覚えの無い嫌がらせを彼の幼馴染に働いたと言われて叱責される。そして彼の腕の中には怯えたふりをする彼女の姿。しかも2人を取り巻く人々までもがこぞって私を悪者よばわりしてくる有様。私がいつどこで嫌がらせを?あなた方が思う程、私暇人ではありませんけど?

婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでのこと。
……やっぱり、ダメだったんだ。
周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間でもあった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、第一王子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表する。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放。そして、国外へと運ばれている途中に魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※毎週土曜日の18時+気ままに投稿中
※プロットなしで書いているので辻褄合わせの為に後から修正することがあります。
ヒロイン不在だから悪役令嬢からお飾りの王妃になるのを決めたのに、誓いの場で登場とか聞いてないのですが!?
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
ヒロインがいない。
もう一度言おう。ヒロインがいない!!
乙女ゲーム《夢見と夜明け前の乙女》のヒロインのキャロル・ガードナーがいないのだ。その結果、王太子ブルーノ・フロレンス・フォード・ゴルウィンとの婚約は継続され、今日私は彼の婚約者から妻になるはずが……。まさかの式の最中に突撃。
※ざまぁ展開あり

【完結】ヒロインであれば何をしても許される……わけがないでしょう
凛 伊緒
恋愛
シルディンス王国・王太子の婚約者である侯爵令嬢のセスアは、伯爵令嬢であるルーシアにとある名で呼ばれていた。
『悪役令嬢』……と。
セスアの婚約者である王太子に擦り寄り、次々と無礼を働くルーシア。
セスアはついに我慢出来なくなり、反撃に出る。
しかし予想外の事態が…?
ざまぁ&ハッピーエンドです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる