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ゲームの舞台の学園へ

手出し無用?

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 ルイスお兄様が王女様とお付き合いしていると聞いて混乱していましたが、ようやく落ち着きを取り戻したアリス・ビスクランド11歳です。

 しかし、つくづくゲームの知識というものはあてになりません。
 乙女ゲームの中ではお兄様には婚約者はいませんでした。
 まぁ、私がセシル様と婚約している時点で、ゲーム知識は意味のないものですけど。

 そして、現在私はルイスお兄様に付き纏い、冷たくあしらわれているリリア・クライブ様を遠目に眺めています。

 あのバイタリティはすごいと思います。もっと他のことに使えばいいのに。
 いえ、せめて婚約者のいない相手になら効果あるかもしれないと思うのですが。

 お兄様は王太女殿下にベタ惚れらしいので、あなたになびくことはないと思います。言いませんけど。

 大体、ヒロインは私の隣で、私用にお弁当を作ってきて下さって、それを広げていらっしゃいます。

 お友達の手作り弁当です。
ちなみに、セシル様はプリシア様の逆側に陣取って、今日のオススメランチを食べられています。
 時々、私の好物をあーんして下さるので、プリシア様のお弁当、全部食べ切れるか心配です。

「あら?お弁当ですの?」

「ごきげんよう、リーシャ様。ええ。プリシア様の手作りのお弁当ですの」

「素敵。美味しそうね。私が作ったらレイモンド様も食べてくださいます?」

「食べるよ、もちろん!」

 レイモンド様が食い気味に答えています。もしかして、セシル様も私の手作りのお弁当、食べたいのかしら?

 チラリと隣を見ると、期待に満ちた目をされています。

 お弁当ですか。あまり、お洒落なお弁当はできませんわよ。前世では、見た目より味派でしたから。

「今度、作って来ますわ」

「楽しみにしてる!」

「ところで、は放置でいいのか?」

 トワルスキー様が尋ねられます。隣に座るアトラス様も、視線をルイスお兄様の方へと向けられます。

「手出し無用ですわ。お兄様なら、ご自分で何とかなさるでしょう」

 私は怒っているんですのよ。レイモンド様から聞かされるまで、お兄様がお付き合いしている方がいることを知らなかったのですから。

 入学式に同じ馬車で行かなかったのも、このせいですのね。
 私がセシル様と婚約するときは反対なさっていたくせに。

 いえ、私は反対なんてしませんわ。ですが、せめて教えて欲しかったのです。

 私の心を読んだのか、セシル様が優しく頭を撫でて下さいます。
 プリシア様が私の好物の卵焼きを、私のお弁当箱へと入れて下さいます。

 レイモンド様がデザートのプリンを、リーシャ様がメインのチキンを私の前へと置いて下さいます。
 ハロルド様がクッキーを、トワルスキー様がケーキを、アトラス様が紅茶を取ってきて私の前へと並べます。

 皆様、お気持ちはとてもとても嬉しいですが、私こんなに食べれませんわ。

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