転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜

みおな

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ゲームの舞台の学園へ

やっぱり転生者でした

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「やっぱり、転生者ですのね」

 入学式を終えての初めての週末、私はプリシア様をビスクランド家に招待しました。

 セシル様もおいでになっていますけど、今はルイスお兄様となにやら手合わせ中です。

 少しプリシア様と2人きりにして欲しいと言った時のセシル様・・・
 プリシア様を視線で殺しそうな感じでした。
 ご令嬢に対して、それはあまりにも失礼だと思います。

 そう指摘したら、しゅんとされて、お兄様に連れて行かれました。

「アリス様も転生者なんですね」

「ええ。私はアラサーの日本人でしたわ。プリシア様は?」

「私は、中学生です。電車の事故に巻き込まれて」

 電車の事故。
私が死んだのもある意味、電車の事故になります。正確に言えば、殺人ですけど。

「男の人が女の人と揉み合ってて、その女の人を突き落とそうとしたんです。私、止めようとして、一緒に突き飛ばされてしまって・・・」

 ちょ、ちょっと待ってください。
男の人と女の人が揉み合ってた?突き落とそうとした?それって、まさか・・・

「ぷ、プリシア様・・・その女性は、青いワンピース姿で、髪を後ろで1つに束ねていて・・・年のころはプリシア様のお母様くらいの年齢ではなかったですか?」

「年齢ってよくわからないんですけど、お母さんよりは若く見えた、気がします。でも服装はアリス様のおっしゃる通りでした。え?アリス様もにいらしたんですか?」

「・・・多分、それ私ですわ」

「え?」

 ごめんなさい。プリシア様。いえ、プリシア様の前世の方。
 あの屑は、私だけでなく、中学生のお嬢さんの未来まで奪ってしまったのですね。

 あの屑、ちゃんと処罰されているでしょうか。
 あの時代の日本では、処刑は中々されませんものね。無期懲役とかでしょうか。
 ああ。でもあの屑なら、故意ではないとか言いそうですわ。目撃者の方が証言して下さるといいですけど。

「え?え?あの女性がアリス様の前世なんですか?」

「ええ。プリシア様のお話を聞く限り、私のような気がします。あんなことそうしょっちゅうあることじゃないでしょう?」

「あの男の人って・・・」

「私は恋人のつもりでしたわ。でも、恋人なんかじゃないと言われて。それなのに飲食代は私が払うのが当たり前みたいに言われて腹が立って、自分の分だけ払って席を立ったんです。そうしたら、追いかけてきて、お金を出せと揉みあいになって・・・」

 そこまで言って、私はプリシア様にに頭を下げました。

「え?アリス様?」

「プリシア様。いえ、プリシア様の前世の方。本当に申し訳ありませんでした。私のせいで、あなたの未来まで奪ってしまいましたわ。謝って済むことじゃありませんけど・・・」

「アリス様が悪いんじゃありませんっ!悪いのはあの男の人で、アリス様だって亡くなってしまったじゃないですか。そっ、それに、私この乙女ゲーム好きだったんです。アリス様・・・アリス・ビスクランド伯爵令嬢のことも」

 プリシア様の言葉に、ちょっとうるっとしてしまいます。なんていい子なのでしょう。私など、あの屑が賠償金を求められるだろうことに、ザマアミロと思ったというのに。

 それに、プリシア様は乙女ゲーム『最後の恋をあなたと』のことをよく知っていらっしゃいますの?それは是非にも私に教えて下さいませんか?


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