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ゲームの舞台の学園へ
乙女ゲームとは
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馬車で学園に向かう中、セシル様が乙女ゲームをついて聞いてこられました。
うーん、説明が難しいです。
まず、第一によく覚えていないんです。
レイモンド王子のルートを少しやって、早々に飽きたので。
「はっきりとは覚えてませんが、構わないですか?」
「うん、いいよ」
「アリス・ビスクランドが悪役令嬢として登場する乙女ゲームは、『最後の恋をあなたと』と言います。ヒロインが攻略対象と親しくなって、婚約できたらハッピーエンドです。攻略対象には婚約者がいますけど、大抵の攻略対象は婚約破棄をしますね」
「なんなの、それ。浮気した挙句に婚約者を蔑ろにするって、どれだけ最低な男なの」
セシル様が呆れたようにおっしゃいますけど、本当にその通りです。
しかも、アリスに至っては冤罪で処刑までされるんです。
でも、乙女ゲームって大体がそういう話なんですよね。
自分が悪役令嬢の立場になったから思うけど、乙女ゲーム作った人って貴族世界のこと全然わかってないと思います。
まず、高位貴族以外のご令嬢が、王族の婚約者になれることは99%ありません。
聖女とか、特別な存在だった場合はなれるかもですけど。
それから、貴族の婚約は家と家の繋がりを作るもので、個人の感情で婚約を破棄するものではありません。
どうしても、婚約者から降りたいなら、両家の長に話をして、穏便に解消してもらうものです。
「アリスはハロルド・ダートンルートの悪役令嬢です。私は、ハロルドルートはやっていないのですけど」
「悪役令嬢ってなんなの?」
「物語の主人公であるヒロインから見て、敵である攻略対象の婚約者ですね。ヒロインをいじめるとか言われますけど、大半は冤罪ですね。ヒロインって、貴族世界のしきたりとかわかってないんです。下の身分でありながら、高位貴族に馴れ馴れしく話しかけるし、婚約者のいる相手にもベタベタするので注意されるんですけど、それをいじめと言われますね」
「いや、それ当たり前のことだよね?」
その当たり前が通らないのが乙女ゲームです。
「あと、誰が攻略対象なの?」
「レイモンド王子、ハロルド公爵令息、ルイス伯爵令息、あと、騎士団長子息、魔法省長官子息ですね」
「え?ルイスって、アリスの兄の?」
「そうです。お兄様ルートでもアリスが悪役令嬢です。もっとも、私の記憶にあるアリスは、ハロルドに何を言われても反論ひとつしないほどの大人しさでしたから、ヒロインからしたら冤罪しか手がなかったでしょうね」
どう転んでも、悪役令嬢は断罪されるんです。だから、攻略対象と婚約したくなかったんです。
うーん、説明が難しいです。
まず、第一によく覚えていないんです。
レイモンド王子のルートを少しやって、早々に飽きたので。
「はっきりとは覚えてませんが、構わないですか?」
「うん、いいよ」
「アリス・ビスクランドが悪役令嬢として登場する乙女ゲームは、『最後の恋をあなたと』と言います。ヒロインが攻略対象と親しくなって、婚約できたらハッピーエンドです。攻略対象には婚約者がいますけど、大抵の攻略対象は婚約破棄をしますね」
「なんなの、それ。浮気した挙句に婚約者を蔑ろにするって、どれだけ最低な男なの」
セシル様が呆れたようにおっしゃいますけど、本当にその通りです。
しかも、アリスに至っては冤罪で処刑までされるんです。
でも、乙女ゲームって大体がそういう話なんですよね。
自分が悪役令嬢の立場になったから思うけど、乙女ゲーム作った人って貴族世界のこと全然わかってないと思います。
まず、高位貴族以外のご令嬢が、王族の婚約者になれることは99%ありません。
聖女とか、特別な存在だった場合はなれるかもですけど。
それから、貴族の婚約は家と家の繋がりを作るもので、個人の感情で婚約を破棄するものではありません。
どうしても、婚約者から降りたいなら、両家の長に話をして、穏便に解消してもらうものです。
「アリスはハロルド・ダートンルートの悪役令嬢です。私は、ハロルドルートはやっていないのですけど」
「悪役令嬢ってなんなの?」
「物語の主人公であるヒロインから見て、敵である攻略対象の婚約者ですね。ヒロインをいじめるとか言われますけど、大半は冤罪ですね。ヒロインって、貴族世界のしきたりとかわかってないんです。下の身分でありながら、高位貴族に馴れ馴れしく話しかけるし、婚約者のいる相手にもベタベタするので注意されるんですけど、それをいじめと言われますね」
「いや、それ当たり前のことだよね?」
その当たり前が通らないのが乙女ゲームです。
「あと、誰が攻略対象なの?」
「レイモンド王子、ハロルド公爵令息、ルイス伯爵令息、あと、騎士団長子息、魔法省長官子息ですね」
「え?ルイスって、アリスの兄の?」
「そうです。お兄様ルートでもアリスが悪役令嬢です。もっとも、私の記憶にあるアリスは、ハロルドに何を言われても反論ひとつしないほどの大人しさでしたから、ヒロインからしたら冤罪しか手がなかったでしょうね」
どう転んでも、悪役令嬢は断罪されるんです。だから、攻略対象と婚約したくなかったんです。
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