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ゲームの舞台の学園へ

本当の気持ち

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 私はー
自分が前世で日本という世界で生きていたこと。
そこで交際していた男に、おそらく殺されたこと。
気がついたら、アリスになっていたこと。
アリスの中には、前回15歳まで生きて、ダートン公爵令息に婚約破棄され冤罪で処刑される記憶があること。
この世界が前世でやったことのあるゲームの世界に類似していること。

 ずっと誰にも言わなかったことを話しました。
 セシル様は驚いたように言葉をなくしているけど、私はなんだかスッキリした気分でした。

「アリスは、・・・アリスって呼んでいいのかな?」

「ええ。だって私はアリスとしてずっと生きてきたもの」

「じゃあ、アリス。アリスはダートン公爵令息との婚約を避けたいから、僕と婚約してくれたの?」

 セシル様の問いに、私は彼を見つめてしまいました。
 寂しそうな、不安に揺れる瞳。
私は、この人にこんな顔をさせたいわけではありません。

 確かに、あの元婚約者と婚約したくはありませんでした。
 公爵家からの婚約の申し込みを断るために、断りやすい相手を求めていたことも事実です。
 でも断るのは、お母様のおかげで、他の婚約者がいなくても出来たと思います。
 だから、セシル様と婚約したのは・・・

「私は・・・」

 だけど、こんなことを言って、嫌われないでしょうか。
 だって、私はアリス・ビスクランドではないのに。
 だけど・・・!

「私は、私はセシル様が好きです。セシル様となら婚約したいと思って・・・だから、あの・・・」

「アリス、落ち着いて?」

 気がついたら、強い腕に抱きしめられていました。

 よく考えたら、初めて好きって言ったかもしれません。
 どうしましょう。ものすごく顔が赤い気がします。恥ずかしいです。

「アリスが好きって言ってくれて嬉しい。僕も大好きだよ」

「私が、本当のアリスでなくても好きでいてくれますか?」

「僕が知り合ったのは今のアリスだよ。好きになったのも今のアリスだ」

 駄目です。赤かった顔が、もっと赤くなってる気がします。もうすぐ爆発すると思います。羞恥プレイですか。羞恥プレイですね?誰でもいいですから、私を埋めてください。いっそ自分で穴を掘ったほうがいいのでしょうか。

「アリス?顔見せて?」

「駄目です。今ひどいことになってますから、絶対駄目です」

 こんな顔を見たら、百年の恋も冷めます。壊れた蛇口みたいに涙は止まらないし、顔は熟れきったトマトみたいになってます。

 そう思ってるのに、胸に抱きこんだ私をそっと離すと、セシル様の手が私の頬に触れた。
 いつのまにか、こんなに手も大きくなったんですね。


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