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アメジストの姫君
だってあなたを好きじゃないんですもの
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「レイモンド、いくら友人の頼みとはいえ、貸し切りの薔薇園に王族の力を持って入るのはどうかと思うな」
せっかく言い負かせてやろうと思ってるのに、セシル様の背中へと追いやられてしまいます。
第1王子が、「うん、そうなんだけど」などともごもごと言っていると、隣で屑が喚きます。
「お前だって、王族の権力使ってるじゃないか!!」
「へぇ?僕が?一応、言っとくけど、ここを貸し切ったのは父の力とかじゃなく、正式に王宮に申し込んだだけだからね。貴族なら申し込んで許可を取れれば入れるんだから。で?僕がいつ権力を使ったって?」
屑を追い詰めるセシル様が、なんだかとてもブラックな気がします。
これは、俗に言う腹黒ってやつでしょうか。腹黒って攻略対象っぽいですよね。
でも、セシル様は攻略対象じゃないんですよね。まぁ、公爵家嫡男は屑がいますしね。
「そ、それは・・・」
「それは?」
「すっ、すまない、セシル。許してやってくれ」
慌てたように第1王子が謝るのをみて、私はため息をついてしまいます。
謝るべき人を謝らせないで、王族が謝ってどうするのですか。
ここは公の場ではありませんし、他に人もいませんから、なんとかなりますが、しかし・・・
この人のこのような態度が、屑をつけ上がらせているのだと思います。
それに、あの断罪もこんな風に甘やかした結果起こったのだと思ってしまいます。
自分の家から申し込んでおいて、浮気した挙句に冤罪で婚約破棄するような屑に成長するんです。
それは乙女ゲームの攻略対象のする一般的な行動かもしれませんが、普通に婚約解消を申し込まないあたりが本当に屑です。
その原因の発端が目の前の第1王子にあると思うと、つくづく情けなくなります。
「リチャード。王族が軽々しく謝るものじゃないよ。君は第1王子なんだ。君の発言は、国の発言になる立場なんだよ?常々、国王陛下にも言われているだろう。今回、薔薇園に王子としての権限を利用して入ったことの謝罪は受け入れてあげる。でも、ダートン公爵子息の発言に関する謝罪は君がするものじゃない」
「セシル・・・」
「だ、大体、そいつが伯爵家のくせに公爵家からの婚約の申し込みを断ったりするから・・・」
ほぉーーーお。
せっかくセシル様が、謝ったら大事にしないであげるよ的に話しているのに、そうきますか。
あなたの伯母様、つまり父であるダートン公爵のお姉様が私のお母様の友人であり、お母様である公爵夫人がお母様ブランドのお得意様だと知らないのかしら?
「なら、家に帰って、公爵と公爵夫人に言ってみてください。私に、あなたのことが好きになれないから婚約の申し込みはお断りしたのだと言われたのだと」
「なっ・・・!」
「少なくとも、自分の発言に対する謝罪もしない方を好きになる要素などありません」
「おっ、お前!伯爵家なんかダートン公爵家の力を持ってしたら簡単に潰せるのだぞ」
ふーん。そうですか。ビスクランド伯爵家の力をそんなに軽視してるのですか。
5歳とはいえ、仮にも公爵家の嫡男がそんな考えなんですか。
よく周りをみてみましょうか?
セシル様は呆れたように、第1王子は信じられないものを見る顔であなたを見ていますよ?
本当に、こんな人と婚約しないでよかったです。
せっかく言い負かせてやろうと思ってるのに、セシル様の背中へと追いやられてしまいます。
第1王子が、「うん、そうなんだけど」などともごもごと言っていると、隣で屑が喚きます。
「お前だって、王族の権力使ってるじゃないか!!」
「へぇ?僕が?一応、言っとくけど、ここを貸し切ったのは父の力とかじゃなく、正式に王宮に申し込んだだけだからね。貴族なら申し込んで許可を取れれば入れるんだから。で?僕がいつ権力を使ったって?」
屑を追い詰めるセシル様が、なんだかとてもブラックな気がします。
これは、俗に言う腹黒ってやつでしょうか。腹黒って攻略対象っぽいですよね。
でも、セシル様は攻略対象じゃないんですよね。まぁ、公爵家嫡男は屑がいますしね。
「そ、それは・・・」
「それは?」
「すっ、すまない、セシル。許してやってくれ」
慌てたように第1王子が謝るのをみて、私はため息をついてしまいます。
謝るべき人を謝らせないで、王族が謝ってどうするのですか。
ここは公の場ではありませんし、他に人もいませんから、なんとかなりますが、しかし・・・
この人のこのような態度が、屑をつけ上がらせているのだと思います。
それに、あの断罪もこんな風に甘やかした結果起こったのだと思ってしまいます。
自分の家から申し込んでおいて、浮気した挙句に冤罪で婚約破棄するような屑に成長するんです。
それは乙女ゲームの攻略対象のする一般的な行動かもしれませんが、普通に婚約解消を申し込まないあたりが本当に屑です。
その原因の発端が目の前の第1王子にあると思うと、つくづく情けなくなります。
「リチャード。王族が軽々しく謝るものじゃないよ。君は第1王子なんだ。君の発言は、国の発言になる立場なんだよ?常々、国王陛下にも言われているだろう。今回、薔薇園に王子としての権限を利用して入ったことの謝罪は受け入れてあげる。でも、ダートン公爵子息の発言に関する謝罪は君がするものじゃない」
「セシル・・・」
「だ、大体、そいつが伯爵家のくせに公爵家からの婚約の申し込みを断ったりするから・・・」
ほぉーーーお。
せっかくセシル様が、謝ったら大事にしないであげるよ的に話しているのに、そうきますか。
あなたの伯母様、つまり父であるダートン公爵のお姉様が私のお母様の友人であり、お母様である公爵夫人がお母様ブランドのお得意様だと知らないのかしら?
「なら、家に帰って、公爵と公爵夫人に言ってみてください。私に、あなたのことが好きになれないから婚約の申し込みはお断りしたのだと言われたのだと」
「なっ・・・!」
「少なくとも、自分の発言に対する謝罪もしない方を好きになる要素などありません」
「おっ、お前!伯爵家なんかダートン公爵家の力を持ってしたら簡単に潰せるのだぞ」
ふーん。そうですか。ビスクランド伯爵家の力をそんなに軽視してるのですか。
5歳とはいえ、仮にも公爵家の嫡男がそんな考えなんですか。
よく周りをみてみましょうか?
セシル様は呆れたように、第1王子は信じられないものを見る顔であなたを見ていますよ?
本当に、こんな人と婚約しないでよかったです。
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