転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜

みおな

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アメジストの姫君

サードニクス公爵家嫡男

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「はじめまして。サードニクス公爵嫡男セシル・サードニクスと申します」

 現れたのは、青い髪に金の瞳の、男の子です。

「はじめまして。アリス・ビスクランドです」

 一応カーテシーをしますが、5歳ですからね、ドレスの裾を摘んで程度です。
 それに、あの王子の従兄弟なのでちょっと不信感があります。

「僕との婚約の話は聞いていますか?」

「はい」

「僕との婚約が決まれば、ハロルド・ダートン公爵令息からの婚約話は断れますよ。同じ公爵家でも、王弟である父の方が格上になりますからね」

 確かにその通りだけど、はっきり言う子だなぁと思います。
 はっきり言うついでに、どうして私と婚約する気になったのかも語ってくれないでしょうか。

 お父様にチラリと視線を向けます。
大体、なんで王宮で、しかもサードニクス公爵様だけでなく、国王陛下まで同席されてるんですか?
 イジメですか?泣きますよ?
中身がアラサーですから本当は怖くないですけど、普通ならこんな大人の男の人に囲まれてたら泣くと思います。

「セシル。お前はもう少し言葉に気をつけろ。それでは、条件がいいから自分と婚約しろと言っているようだぞ」

 父親であるサードニクス公爵に苦笑いで言われ、セシル様は首をこてんと傾げる。

「え?でもアリス嬢は婚約を回避したいんですよね?」

「それはそうだが、5歳のご令嬢相手に何を夢も希望もない言い方をしているんだ?大体、この婚約はお前がー」

「父上!それは言わない約束です」

 何だか目の前で親子喧嘩?が始まってますけど、私を放置ってどういうことですか?
 それと、言わない約束って何ですか?なんだか大人がみんなで私を騙そうとしてます?

「あの・・・」

「はい。何でしょうか?」

「僕との婚約は嫌ですか?ビスクランド伯爵からダートン公爵家からの婚約を嫌がっていると聞いて、それならと思ったのですが。もしかしてレイモンドのことがお好きなのですか?」

 は?何でそんな考えになるんですか?
確かにあの元婚約者との婚約は、絶対回避すると決めてましたけど。

 それに、第1王子を好き?会ったこともありませんよ?ああ。ゲーム内では見ましたけどね。
 アリスの記憶の中にもありましたけど、ほとんど接点がなかったんですよね。
 同じ学園に通っていたので、顔を知ってる程度で、話したこともなかったようですし。

 でも、冤罪を見過ごした人ですからね。好きになんてなりません。

「会ったこともない方です」

「でも、第1王子ですよ?見た目もかっこいいですよ?」

「・・・セシル様もかっこいいですね」

「あ、ありがとうございます?」

 なんで疑問系なんですか?嘘じゃないですよ。かっこいいです。
 だから、言わない約束っていうのを教えてくれるなら、婚約してもいいかなって思います。

「言わない約束ってなんですか?」

「そ、それは・・・」

「それは、セシルがアリス嬢に一目惚れしていて、是非にも婚約したいと儂等に頼んできていたということだ」

「伯父上!!」

 一目惚れですか。国王陛下にバラされて真っ赤になっているセシル様は年相応ですね。うん。この方ならいい気がします。

「セシル様。私と婚約して下さいますか?」

 この日、私はセシル・サードニクス公爵令息様と婚約することになりました。



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