上 下
5 / 88
アメジストの姫君

元婚約者(屑になる予定)に会いました

しおりを挟む
「お土産に美味しいお菓子でも買って帰りましょうね」

 お母様にそう言われて寄ったケーキ屋さんで、屑もとい元婚約者の姿を見つけ、うげっと思ってるアリス・ビスクランド5歳です。

 ケーキ、ケーキ!と楽しかった気持ちもただ下がりです。
 しかも、私のことをジッと見ています。不気味です。お兄様の背中に隠れます。

「アリス?」

「ジッと見てる。こわい」

 正確に言うと、怖いではなく不気味だけど、5歳の妹が怖いと言えば、多分シスコン兄は・・・

「お母様!アリスと先に馬車に戻ります!」

 予定通りです。シスコン兄なら、妹を守ろうとすると思いました。
 相手は見てるだけなので、食ってかかったりせず、その場を退散する。うん。7歳ですが、いい判断だと思います。

「お兄さま、ケーキ・・・」

「うん。分かってるよ。お母様、アリスのいちごショート買っておいて下さい」

 シスコンも使えるものです。
しかし、アリスの記憶の中の兄は、アリスに冷たい態度しかとってなかったですけど、やっぱりこれって、私が転生したことで何かが変わってるんでしょうか。

 もしかしたら、あの元婚約者も屑にならないのかもしれません。
 だからといって婚約するつもりはありませんけど。

 きっとヒロインさんも現れるでしょうし、彼女が私みたいに転生者だったりしたら面倒なことになりそうですからね。
 ゲーム知識とか持ってる転生者相手だと、私は太刀打ちできません。ゲーム知識ほとんど覚えてないので。

 やっぱり、攻略対象とは距離を置いてる方が無難だと思います。
 兄ルートだと、どうなるんでしょうか。このシスコンが私に冷たくなるとか有り得ない気がするんですが。
 ゲームの強制力とか働いちゃうんですかね。

 まあ、まだ時間はあるので、もう少し家族仲良くいたいと思います。

 ケーキを買って、馬車にお母様が戻って来ました。
 お母様が乗り込む時に、チラリとお店の方を見たらー

 うわー。見てます。
元婚約者がずっとこっちを見てます。怖いです。ある意味ホラーです。
 記憶の中の元婚約者。あんな人でしたっけ?

 公爵家から婚約を打診されて、いくらうちが財産が潤ってるといっても伯爵家なわけで、格上の家からの婚約を断るわけにもいかなかったんですよね。
 婚約して早々に、キスとかしようと迫ってくるから拒んだら、すっごい悪態つかれて・・・そのうち、ヒロインとイチャイチャしだしたんです。

 うーん。やっぱり屑ですね。
要するに、そういうことするのが目的だったってことですよね?
 ただのゲスでした。ヒロインあんなのがいいのですか?熨斗付けて差し上げますね。返品は受け付けませんけど、いいですよね?




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愛しているだなんて戯言を言われても迷惑です

風見ゆうみ
恋愛
わたくし、ルキア・レイング伯爵令嬢は、政略結婚により、ドーウッド伯爵家の次男であるミゲル・ドーウッドと結婚いたしました。 ミゲルは次男ですから、ドーウッド家を継げないため、レイング家の婿養子となり、レイング家の伯爵の爵位を継ぐ事になったのです。 女性でも爵位を継げる国ではありましたが、そうしなかったのは、わたくしは泣き虫で、声も小さく、何か言われるたびに、怯えてビクビクしていましたから。 結婚式の日の晩、寝室に向かうと、わたくしはミゲルから「本当は君の様な女性とは結婚したくなかった。爵位の為だ。君の事なんて愛してもいないし、これから、愛せるわけがない」と言われてしまいます。 何もかも嫌になった、わたくしは、死を選んだのですが…。 「はあ? なんで、私が死なないといけないの!? 悪いのはあっちじゃないの!」 死んだはずのルキアの身体に事故で亡くなった、私、スズの魂が入り込んでしまった。 今のところ、爵位はミゲルにはなく、父のままである。 この男に渡すくらいなら、私が女伯爵になるわ! 性格が変わった私に、ミゲルは態度を変えてきたけど、絶対に離婚! 当たり前でしょ。 ※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。 ※中世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物などは現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観です。 ※ざまぁは過度ではありません。 ※話が気に入らない場合は閉じて下さいませ。

未来の記憶を手に入れて~婚約破棄された瞬間に未来を知った私は、受け入れて逃げ出したのだが~

キョウキョウ
恋愛
リムピンゼル公爵家の令嬢であるコルネリアはある日突然、ヘルベルト王子から婚約を破棄すると告げられた。 その瞬間にコルネリアは、処刑されてしまった数々の未来を見る。 絶対に死にたくないと思った彼女は、婚約破棄を快く受け入れた。 今後は彼らに目をつけられないよう、田舎に引きこもって地味に暮らすことを決意する。 それなのに、王子の周りに居た人達が次々と私に求婚してきた!? ※カクヨムにも掲載中の作品です。

恋した殿下、あなたに捨てられることにします〜魔力を失ったのに、なかなか婚約解消にいきません〜

百門一新
恋愛
魔力量、国内第二位で王子様の婚約者になった私。けれど、恋をしたその人は、魔法を使う才能もなく幼い頃に大怪我をした私を認めておらず、――そして結婚できる年齢になった私を、運命はあざ笑うかのように、彼に相応しい可愛い伯爵令嬢を寄こした。想うことにも疲れ果てた私は、彼への想いを捨て、彼のいない国に嫁ぐべく。だから、この魔力を捨てます――。 ※「小説家になろう」、「カクヨム」でも掲載

勝手にしなさいよ

恋愛
どうせ将来、婚約破棄されると分かりきってる相手と婚約するなんて真っ平ごめんです!でも、相手は王族なので公爵家から破棄は出来ないのです。なら、徹底的に避けるのみ。と思っていた悪役令嬢予定のヴァイオレットだが……

【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?

つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。 彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。 次の婚約者は恋人であるアリス。 アリスはキャサリンの義妹。 愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。 同じ高位貴族。 少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。 八番目の教育係も辞めていく。 王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。 だが、エドワードは知らなかった事がある。 彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。 他サイトにも公開中。

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

気配消し令嬢の失敗

かな
恋愛
ユリアは公爵家の次女として生まれ、獣人国に攫われた長女エーリアの代わりに第1王子の婚約者候補の筆頭にされてしまう。王妃なんて面倒臭いと思ったユリアは、自分自身に認識阻害と気配消しの魔法を掛け、居るかいないかわからないと言われるほどの地味な令嬢を装った。 15才になり学園に入学すると、編入してきた男爵令嬢が第1王子と有力貴族令息を複数侍らかせることとなり、ユリア以外の婚約者候補と男爵令嬢の揉める事が日常茶飯事に。ユリアは遠くからボーッとそれを眺めながら〘 いつになったら婚約者候補から外してくれるのかな? 〙と思っていた。そんなユリアが失敗する話。 ※王子は曾祖母コンです。 ※ユリアは悪役令嬢ではありません。 ※タグを少し修正しました。 初めての投稿なのでゆる〜く読んでください。ご都合主義はご愛嬌ということで見逃してください( *・ω・)*_ _))ペコリン

【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます

宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。 さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。 中世ヨーロッパ風異世界転生。

処理中です...