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第2章

何かが違う《ヒロイン視点》

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「大丈夫ですか?」

 私に突き飛ばされたにも関わらず、手を差し伸べてくるヴィヴィに目を見開いた。

 え?悪役令嬢の、ヴィヴィ・ヴァレリア公爵令嬢よね?

 乙女ゲーム『秘密の恋~あなたの愛に溺れて~』は、私が前世で大好きでプレイしていたスマホゲームなの。

 前世。
そう、私は日本人としての記憶を持っている。
女子高生だった私は、多分事故で死んだのだと思う。そのあたりの記憶は全然ないから絶対とは言えないけど、病気とかしてなかったし。

 そして、前世で流行っていたライトノベルの定番である、乙女ゲームの世界への転生をしたみたい。

 びっくりしたわ。目が覚めたら、髪と目がピンク色なんだもの。
 そんなの、漫画やアニメの世界にしかないわよね。

 でも、鏡に映ったビジュアルには見覚えがあった。
 私が大好きだった乙女ゲームのヒロインそっくりだったんだもの。

 乙女ゲーム『秘恋』の攻略対象は5人。
第2王子のサイード。宰相次男のユサール。騎士団長次男のラグヌス。魔術師団長次男のブラン。公爵家次男のアゼル。

 私の一推しは、アゼル。ヒロインよりも1歳年上で、すっごく優しくて、ヒロインを甘やかせてくれるの。

 乙女ゲームだから、当然悪役令嬢と呼ばれるライバルがいるの。

 アゼルルートの悪役令嬢は、彼の妹のヴィヴィ。
 銀色の髪と瞳の、すっごい綺麗な、お人形みたいな女の子。
 ヒロインは可愛い系だけど、ヴィヴィは綺麗系なのよね。

 アゼルにも婚約者はいるんだけど、何故か、サイード王子の婚約者で第2王子ルートの悪役令嬢のヴィヴィは、公爵家令息ルートでも悪役令嬢なの。

 このゲームの舞台は王立学園なんだけど、舞台に上がる前に、街での攻略対象との出会いイベントがあるの。

 それぞれと出会う場所は違っていて、サイードは小物屋。ユサールは本屋。ラグヌスは食堂。ブランは噴水広場。アゼルは公園なの。

 それぞれ、絡まれてるヒロインを助けてくれたり、探し物をしている攻略対象をヒロインが助けたりするんだけど。

 何でか、サイードとしか出会えなかったの!
 アゼル推しだけど、一応全員に会おうと本屋にも噴水にも行ったのに、どうして攻略対象たちと会えないの?

 それに、サイードがすっごいマメに会いにくるんだけど?
 何かおかしくない?確かゲームでは、出会いイベントのあとは、入学式まで会うことなかったはずなんだけど?

 入学式で再会して、それが運命だと感じて2人の距離は縮まっていくはずなのに。

 すっごい押せ押せで来るサイードにちょっとうんざりだった。だって、サイードが来るからアゼルと会えないのかもしれないんだもの。

 でも、別にサイードも嫌いじゃない。そう思いながら、やっと入学式を迎えたの。

 これで、アゼルと会える!

 
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