婚約破棄を望むなら〜私の愛した人はあなたじゃありません〜

みおな

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第2章

学園入学

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 とうとうやって来た。乙女ゲーム「秘密の恋~あなたの愛に溺れて~』の舞台である学園の入学式である。

 本来なら、攻略対象たちは舞台である学園に入学する前に、街でヒロインと出会う。

 そこで出会ったヒロインと親しくなり、攻略された場合は恋人となるのだが、学園に入学して恋人が王子や高位貴族であることを知ることになる。

 それでも、2人は婚約者や周囲の人間に隠れて交際を続けていく。

 やがて、ヒロインの存在に気づいた婚約者が、ヒロインを虐めるようになっていくのだ。

 卒業パーティーで攻略対象は婚約者を断罪し、ヒロインと結ばれるというストーリーだ。

 いや。おかしくない?
王族に嫁げるのは公爵家か侯爵家。高位貴族に嫁げるのは伯爵家以上というカムシーナ王国の決まり事は無視か?

 大体、婚約者がいながら不貞を働いといて、断罪とは片腹痛いわ。

 だけど今現在、攻略対象の第2王子はヒロインと恋人となっている。
 ということは、このままだと私は断罪される運命だということだ。

 ヒロインが第2王子ルートなのは間違いない。
 何故なら、彼女は他の攻略対象と出会っていないのだから。

 私に攻略されたユサールたちは、街での出会いイベントをやっていないのだ。つまりは、ヒロインは第2王子ルートしか進みようがない。
 そして、彼女は無事に第2王子の攻略を進めているようだ。

 この入学式でヒロインは攻略対象との再会を果たすことになっている。

 さてさて、ヒロインはどんな娘だろう。転生者だろうか。電波系でなければ、殿下との恋を応援してあげても良いんだけど。

「ヴィヴィ!制服姿、すっごい可愛い!」

「・・・アゼルお兄様。何してるんですか?」

 部屋を出たら、廊下でアゼルが待っていた。何してんの?ストーカーかいっ!
 妹とはいえ、淑女の部屋の前で待つって問題だと思う。

「ヴィヴィの制服姿を1番に見たくて!」

「次に部屋の前で待ってたら、怒りますよ。でも、褒めて下さって、ありがとうございます」

 私に睨まれ、アゼルはしゅんと眉を下げる。本当、可愛い兄だ。

「さぁ、遅刻してしまいますわ。行きましょう」

 その手を繋いでやると、アゼルは、花が咲いたような笑顔を浮かべた。
・・・乙女か。

 やっぱり、飴と鞭は大事だよね。妹に嫌われるという鞭と、妹に甘やかされるという飴。

 特別、好きでもなかった攻略対象のアゼルだけど、このシスコンぶりを見てると、家族としての愛着は湧くわ~

 私はアゼルと一緒に、馬車で王立学園へと向かった。
 基本、学園には貴族は馬車で、平民は歩いて通う。

 ちなみに長男のアベルは、最高学年になり生徒会副会長のため、先に登校している。ついでに言うと、生徒会長は第1王子のサイラスだ。

 さて。
第2王子の、私の婚約者様は正門で私を待っているかな。
 

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