婚約破棄を望むなら〜私の愛した人はあなたじゃありません〜

みおな

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第1章

宰相子息の攻略

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 アゼルに頼んで、宰相の次男であるユサール・シュルファスの動向を探ってもらった。

 ちなみにシスコン兄は、何故ユサールのことを知りたがるのかと聞いてきたので、一応婚約者の側近候補だから、婚約者が馬鹿なことをした場合に証拠集めをするにしたいのだと伝えた。

 駒というのが気に入ったのか、アゼルは嬉々としてユサールのことを調べてきた。

 うん。ちなみにアゼルも駒だけどね。もっとも、他の攻略対象と違って、家族としての情もあるけど。

 乙女ゲームでは、王子ルートと公爵子息ルートの悪役令嬢は私なんだけど、その他のルートでは別に悪役令嬢がいる。

 それはそうだ。関係のない宰相子息たちの断罪にまで巻き込まれてたまるか。

 ちなみに、ユサールのルートの悪役令嬢は、セディア・レディアン侯爵令嬢。
 鳶色の髪と瞳の、成績優秀で読書が大好きなご令嬢。

 ユサールは魔法も剣術もイマイチで、勉強にしか取り柄がないから、自分よりも優秀なセディア令嬢を疎ましく思っているのよね。

 悔しいなら、もっともっと勉強すればいいのに。
 彼の兄のユベールもあまり剣術や魔法には特化してないみたいだけど、ずっと努力して鍛錬しているってキャラ設定には書いてた。

 ユベールの婚約者はアネモネ公爵家のご令嬢のフレデリカで、彼女もとても優秀な方らしいから、シュルファス家は安泰よね。

 とにかく、優秀で勤勉な兄と婚約者に劣等感を抱いているユサールには、せめて得意分野の勉強を頑張る方向にシフトしてもらうつもり。

 いじけるのは勝手だけど、ヒロインに「ユサール様は頑張ってます」とか言われて傾倒した挙句、セディア令嬢を断罪なんかさせてたまるか。

 私はユサールがいつもいるという、王宮の図書室へと向かった。

 ちなみに王宮の図書室は、ちゃんと申請すれば、貴族なら利用できる。

 ユサールも学園に入学してからは、学園の図書室を利用していたけど。ユサールとセディア令嬢との交流は基本図書室だった。
 まぁ、ユサールはヒロインに攻略されてからは、図書室に行かなくなるんだけど。

 ユサールは馬鹿なのかな。
セディア令嬢は、ユサールが頑張っていないなんて言ったことないのに。むしろ黙ってずっと見守ってた。

 大体、結果が付いてきてないんだから、頑張ってると認められるわけがない。
 貴族は結果が全てなんだから。
頑張ってたけど、領の経営うまくいかなかったよ~とかで済むわけがない。領民の生活は領主にかかっていることが公爵家の子息なのにわかってないのかな?

 ヒロインに攻略されて、ざまあされる運命にしてやってもいいけど、どうもセディア令嬢はユサールのこと好きっぽいのよね。
 だって、今も王宮の図書室で、ユサールとは離れた位置からずっとユサールのことを見つめている。

 恋する乙女の味方ではいないとね。



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