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裏話:リリーの変化
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リラが、王弟子息と閉じ込められた。
私は昔からリラのことが大好きで、リラがどこにいるのかいつも何となく分かった。
お父様とかは双子だから?ってよく言うけど、私とリラは二卵性だから、双子だけどそういうのとは違うと思う。
しばらくは何もなかったのに、今度は私が攫われた。
私たちのことを心配して、交代で王太子殿下とか公爵令息とかが送り迎えしてくれてた。
その日は公爵令息だった。
突然、馬車が急停車し、扉が外から開けられ、私を守ろうとした公爵令息のギルク様が殴られた。
私はハンカチを口と鼻に押し当てられて、そのまま気を失った。
次に気がついた時には、見知らぬ部屋の中で、私を攫った男と、王太子殿下が対峙していた。
騎士の人もたくさん来ていて、すぐに私を攫った男は捕縛された。
手足を縛られて、ベッドに転がされていた私を、殿下はとても大切なもののように、優しく抱きしめてくれた。
無事で良かったと、呟いた声が少し涙声だった気がする。
その後、誰が何の目的で私を攫ったのかを、帰りの馬車の中で聞いた。
誰に告白されたのとか、全然覚えていない。
そもそも、興味がないし、私はリラさえいればそれで良かったから。
でも、今回は私だったけど、次はリラが標的にされるかもしれない。
私のせいで、大切なリラが傷つけられるなんて耐えられない。
でも殿下が言うには、王弟子息はリラのことが好きだから、必ず守るから安心していいって。
だから、私は私自身のことを大切にして欲しいって。
リラが、あの王弟子息のことを好きなのは、薄々感じてた。
リラは隠してるつもりみたいだけど、ずっとリラを見てたから分かる。
寂しいけど、リラが好きな人がリラを好きで、しかもそれなりの権力を持ってるのなら、ちゃんとリラを守って笑顔でいさせてくれる気がした。
リラのために、私は妹離れをしなきゃいけないんだ。
「リリー嬢、僕と婚約しないか?」
「は?」
この国では、政略結婚は良しとされていなくて、だから二年の学園生活のうちに恋愛相手を見つけて、卒業後に婚約結婚するのが一般的。
それなのに、王太子が在学中に婚約?
「婚約すれば、無理に学園に通う必要性はなくなる。リリー嬢が僕に恋愛感情を持っていないのは分かっているが、もし・・・誰でもいいと思うのなら僕の手を取って欲しい」
どうやら殿下は、また今回のような危険が訪れるかもしれないと、危惧しているらしい。
この人は、リラの想い人の従兄弟。
この人と結婚すれば、他の人よりはリラのそばにいられるかもしれない。
「好きになるとは限りませんよ?」
「なってもらえるように努力するさ」
その前向きな答えに、思わず笑った。
この人といたら、リラのことをちゃんと『妹』として見れる日が来る気がした。
私は昔からリラのことが大好きで、リラがどこにいるのかいつも何となく分かった。
お父様とかは双子だから?ってよく言うけど、私とリラは二卵性だから、双子だけどそういうのとは違うと思う。
しばらくは何もなかったのに、今度は私が攫われた。
私たちのことを心配して、交代で王太子殿下とか公爵令息とかが送り迎えしてくれてた。
その日は公爵令息だった。
突然、馬車が急停車し、扉が外から開けられ、私を守ろうとした公爵令息のギルク様が殴られた。
私はハンカチを口と鼻に押し当てられて、そのまま気を失った。
次に気がついた時には、見知らぬ部屋の中で、私を攫った男と、王太子殿下が対峙していた。
騎士の人もたくさん来ていて、すぐに私を攫った男は捕縛された。
手足を縛られて、ベッドに転がされていた私を、殿下はとても大切なもののように、優しく抱きしめてくれた。
無事で良かったと、呟いた声が少し涙声だった気がする。
その後、誰が何の目的で私を攫ったのかを、帰りの馬車の中で聞いた。
誰に告白されたのとか、全然覚えていない。
そもそも、興味がないし、私はリラさえいればそれで良かったから。
でも、今回は私だったけど、次はリラが標的にされるかもしれない。
私のせいで、大切なリラが傷つけられるなんて耐えられない。
でも殿下が言うには、王弟子息はリラのことが好きだから、必ず守るから安心していいって。
だから、私は私自身のことを大切にして欲しいって。
リラが、あの王弟子息のことを好きなのは、薄々感じてた。
リラは隠してるつもりみたいだけど、ずっとリラを見てたから分かる。
寂しいけど、リラが好きな人がリラを好きで、しかもそれなりの権力を持ってるのなら、ちゃんとリラを守って笑顔でいさせてくれる気がした。
リラのために、私は妹離れをしなきゃいけないんだ。
「リリー嬢、僕と婚約しないか?」
「は?」
この国では、政略結婚は良しとされていなくて、だから二年の学園生活のうちに恋愛相手を見つけて、卒業後に婚約結婚するのが一般的。
それなのに、王太子が在学中に婚約?
「婚約すれば、無理に学園に通う必要性はなくなる。リリー嬢が僕に恋愛感情を持っていないのは分かっているが、もし・・・誰でもいいと思うのなら僕の手を取って欲しい」
どうやら殿下は、また今回のような危険が訪れるかもしれないと、危惧しているらしい。
この人は、リラの想い人の従兄弟。
この人と結婚すれば、他の人よりはリラのそばにいられるかもしれない。
「好きになるとは限りませんよ?」
「なってもらえるように努力するさ」
その前向きな答えに、思わず笑った。
この人といたら、リラのことをちゃんと『妹』として見れる日が来る気がした。
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