乙女ゲームが始まってるらしいです〜私はあなたと恋をする〜

みおな

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選択を間違えた。いや、そもそもが違う

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 備品室で、ハルト様と向き合ったまま固まった。

 今、ガチャリって鍵が閉まる音したよね?

 振り返って扉を開けようとするけど、うんともすんともいわなかった。

 やっぱりぃ!
 閉じ込められてる!

「もしかして開かないのか?」

 ハルト様が私と場所を代わり、開けようとしてみたけど、やはり開かない様子だった。

 しばらくした後、ハルト様はため息を吐かれた。

「駄目だな、開かない。それよりリラ嬢。どうしてここに?」

「えっ、えっと、その、グレイン様こそ何故ここに?」

 質問に質問を返すようになってしまったけど、ハルト様は気にしないようで普通に答えてくれた。

「大切にしているある物が見当たらなくて、そうしたらここで見かけたと聞いたのだ」

「それはどなたに?」

「同じクラスの伯爵家の次男だ。顔見知り程度だが知っている人間だったので信用した。実際、それはここにあったんだが・・・」

 その伯爵家の次男って、もしかしてあの、リリーに告白した男子生徒だろうか?

 そう何人も、問題行動する人間がいるとは思えない。

 でも、ちょっと待って。
 そう言って閉じ込められるのはヒロインのはず。

 どうしてハルト様が?

 いや。乙女ゲーム通りに物事が進むとは思ってないけど、微妙にイベントを準えているのはどうして?

「しかし・・・マズいことになった。こんな場所で二人きりなど、外聞が悪い。申し訳ない。ちゃんと責任は取る」

 真面目なハルト様はそうおっしゃってくれるけど、そのあたりのことは心配していなかった。

 まず、推しと噂になるなんて、なんのご褒美?って感じだし。

 私は赤ん坊の時点で前世の記憶を持っていたから、普通の令嬢と違った。

 おまけにリリーが超シスコンで、姉妹揃って突飛な言動が多かった。

 お父様もお母様もそれに慣れているから、ハルト様とのことが噂になっても気にしないだろう。

 というか、私がハルト様に憧れていることを二人は知っているから、喜んでくれるかもしれない。

 ちなみにリリーには言っていない。
だってシスコンだから。

 まぁハルト様には申し訳ないから、あのクモリス公爵令嬢の思い通りにならないにこしたことがない。

 そして、その点も私は心配していない。

 繰り返すが、うちのリリーは超シスコンである。

 つまりは私の姿が見えない時点で、私を探しに来る。

 そして、この時代にはないけど、もしかしてGPS付けてる?って思いたくなるくらい、見事に見つける。

 ちょっと、ちょこっとだけ惜しいけど、ハルト様に迷惑はかけられない。

 リリー、私はここだよ。

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