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出会いが渋滞してる
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いよいよ攻略対象たちが現れ、リリーと出会うのかも、と思うとソワソワドキドキしてしまう。
リリーと馬車乗り場から講堂に向かっていると、聞き覚えのある声が遠くで聞こえた。
「あ・・・」
一年前より、少し精悍な顔つきになったコパー様が、可愛らしい女の子と仲良さそうに話している。
一年もたつのに・・・
まだあの人の声を忘れていない。
そのことに、思わず一歩下がりそうになり、足元がぐらついた。
「リラ?」
「危ない」
誰かの手が体を支えてくれるのを感じた。
「ご、ごめんなさ・・・申し訳ありません!」
「いや。大丈夫?」
ふらついた私を支えてくれた人を見て、私は慌てて頭を下げた。
青みを帯びた銀髪と銀の瞳。
十人いれば十人全員が見惚れる容姿をしたその人は、グレイン王国王弟殿下の息子であるハルト・グレイン様。
リリーが王子ルートに入ると出てくる、とてつもないイケメンのモブ。
そして前世の私の最推し。
本当にチョイ役というかリリーと王子が結ばれた後に、王子が立太子するのが良いと国王陛下に発言する時にしか出てこないのよね。
「大丈夫です。ご迷惑をおかけしました」
「リラぁ。大丈・・・ぶ?」
リリーが心配そうに私に近付いて来ようとしたその時。
リリーの後ろを通りかかったご令嬢の集団のひとりが、リリーの背中にドン!とぶつかった。
「リリー!」
「!」
「危なっ」
顔から地面にダイブしそうなリリーを助けようと、私はリリーに手を伸ばした。
でも後ろからグイッと抱き寄せられ、リリーに手が届かない。
だけど、リリーは転ぶことはなかった。
二本の腕が、リリーの左腕と右肩のあたりを支えていたから。
右肩を支えていたのは、公爵家嫡男。
左腕を取っていたのは、騎士団長の子息。
彼らの隣には王子と教皇子息もいて、リリーを気遣わしげに見ている。
出た!
攻略対象集団!
「大丈夫か?」
「君たち、ぶつかっておいて詫びもしないとは。どこのご令嬢だ?」
リリーを気遣う王子に、令嬢たちを叱責する教皇子息。
公爵家嫡男は、リリーの肩に手を置いたままだし、騎士団長子息もリリーの手を離そうとしない。
うん。間違いなく出会いイベントだわ。
ちょっと配役が変わってるけど、攻略対象勢揃いで、ヒロインと出会った!
いやいや。
問題はそこじゃないわ。
私は何故、王弟殿下の子息であるハルト様に抱き寄せられているの?
リリーと攻略対象たちとの出会いの邪魔をせずには済んだのは良かったし、私が転ぶのを助けてくれたのはありがたいけど!
私はモブですらないのよ?
リリーと馬車乗り場から講堂に向かっていると、聞き覚えのある声が遠くで聞こえた。
「あ・・・」
一年前より、少し精悍な顔つきになったコパー様が、可愛らしい女の子と仲良さそうに話している。
一年もたつのに・・・
まだあの人の声を忘れていない。
そのことに、思わず一歩下がりそうになり、足元がぐらついた。
「リラ?」
「危ない」
誰かの手が体を支えてくれるのを感じた。
「ご、ごめんなさ・・・申し訳ありません!」
「いや。大丈夫?」
ふらついた私を支えてくれた人を見て、私は慌てて頭を下げた。
青みを帯びた銀髪と銀の瞳。
十人いれば十人全員が見惚れる容姿をしたその人は、グレイン王国王弟殿下の息子であるハルト・グレイン様。
リリーが王子ルートに入ると出てくる、とてつもないイケメンのモブ。
そして前世の私の最推し。
本当にチョイ役というかリリーと王子が結ばれた後に、王子が立太子するのが良いと国王陛下に発言する時にしか出てこないのよね。
「大丈夫です。ご迷惑をおかけしました」
「リラぁ。大丈・・・ぶ?」
リリーが心配そうに私に近付いて来ようとしたその時。
リリーの後ろを通りかかったご令嬢の集団のひとりが、リリーの背中にドン!とぶつかった。
「リリー!」
「!」
「危なっ」
顔から地面にダイブしそうなリリーを助けようと、私はリリーに手を伸ばした。
でも後ろからグイッと抱き寄せられ、リリーに手が届かない。
だけど、リリーは転ぶことはなかった。
二本の腕が、リリーの左腕と右肩のあたりを支えていたから。
右肩を支えていたのは、公爵家嫡男。
左腕を取っていたのは、騎士団長の子息。
彼らの隣には王子と教皇子息もいて、リリーを気遣わしげに見ている。
出た!
攻略対象集団!
「大丈夫か?」
「君たち、ぶつかっておいて詫びもしないとは。どこのご令嬢だ?」
リリーを気遣う王子に、令嬢たちを叱責する教皇子息。
公爵家嫡男は、リリーの肩に手を置いたままだし、騎士団長子息もリリーの手を離そうとしない。
うん。間違いなく出会いイベントだわ。
ちょっと配役が変わってるけど、攻略対象勢揃いで、ヒロインと出会った!
いやいや。
問題はそこじゃないわ。
私は何故、王弟殿下の子息であるハルト様に抱き寄せられているの?
リリーと攻略対象たちとの出会いの邪魔をせずには済んだのは良かったし、私が転ぶのを助けてくれたのはありがたいけど!
私はモブですらないのよ?
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