え?後悔している?それで?

みおな

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叔父も愚かな一因だった件①

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「あら」

 その手紙を見つけたルーナは、思わず声を漏らした。

 父であるダグラス・ヴァレリア公爵に用があり、訪れた公爵家の当主執務室。

 だが父親は席を外しているらしく、部屋は無人だった。

 すぐに戻るだろうと、ソファーで待とうと思ったのだが、その時ほんの少し開いていた窓から風が吹き、その手紙がヒラリと床に落ちた。

 それを拾ったルーナは、覚えのある名前につい目を通してしまったのだ。

『ジェニッタ、北の採石場にて死亡』

 見てしまったものは仕方がない。
後で読んでしまったと父に謝ろうと、ルーナは読み進める。

 どうやらジェニッタは、採石場に送られた日の夜に殺害されたらしい。

 犯人は、セットボルト元侯爵?
セットボルト侯爵家って確か爵位を返上されたのじゃなかったかしら?

 王太子妃教育で学んだことを思い出す。
 爵位を返上したのは、去年だったはず。

 しかし、そんな相手とジェニッタに縁があったとは思えない。

 本人は公爵夫人のつもりだったが、公爵夫人としての社交はさせていなかったのだから。

 それに、元とはいえ侯爵家当主が採石場に送られる原因になる事件は知らない。

「ルーナ?どうした?」

 手紙を持ったまま首を傾げたルーナに、ちょうど執務室に戻って来たダグラスは声をかけた。

「お父様。ごめんなさい、お手紙を見てしまったわ」

「ん?ああ、それか。別にかまわないが。王家にも報告してある。ルーナの耳にも入ると思うから、話すつもりだったんだ」

 ルーナは、王太子ラインハルトの婚約者、未来の王太子妃である。

 王家に報告されたことは耳に入るだろうし、関わりのある人間のことなのでダグラスもルーナに話しておくつもりだった。

「セットボルト元侯爵のこと、お父様はご存知ですの?」

「彼の娘は、ダリルの婚約者だったんだ。ダリルが戻って来たら結婚するはずだった。ところが、ジェニッタたちと出会ったダリルは戻らず、婚約の解消を手紙で頼んで来た。あの時は侯爵とご令嬢に頭を床に擦り付けて謝罪したよ」

「まぁ!叔父様は本当に・・・アレな方でしたのね」

「ああ。甘やかした私や両親の責任もあるがな。ダリルはジェニッタに恋愛感情を持っていたわけではないと言っていた。実際、連れ帰った時に見ているが、恋とか愛とかではなく、単に頼られる自分に酔っていただけだろう。だが、婚約者のご令嬢はそんな甘えたれなダリルのことを本気で想ってくれていたんだ。こちらの有責で婚約を解消したんだが、新たな婚約者と合わなかったらしい。三年後に白い結婚で離縁してしまった」


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