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ルーナ・ヴァレリア
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その後、ルーナはセレナに紅茶を淹れてもらい、自室でゆっくりと読書に勤しんでいた。
元々ルーナは、ジェニッタにもアネッタにもダミアンにも、全く興味がない。
興味がないのに、断罪に参加したのには理由があった。
そもそもルーナがジェニッタを「お母様」と呼んだのは『ワケあり』だ。
「ふふっ。上手に踊って下さったわ」
「お見事でしたが、お嬢様の頬を叩くなどもう少しで耐えきれなくなりそうでした」
「ごめんなさいね?セレナには我慢を強いてしまって。でも、わたくしの大切なお父様にすり寄る害虫を許せなかったのよ」
ルーナとしても、父が今は亡き弟であるダリル叔父のことを大切にしていたことは理解している。
なまじ七歳も歳が離れているため、父は叔父に甘かった。
ルーナも別に、叔父のことを嫌いではない。
ダリル叔父の描く絵も素敵だと思う。
ただそれと、父に迷惑をかけることは別である。
母が亡くなっている分、父は苦労をしてきた。
公爵という地位があっても、娘を育てるのは大変だっただろう。
その上、婚約者は王太子で、しかも婚約破棄を叫ぶような馬鹿である。
ルーナは父に、本当に申し訳ないと思っていた。
その父に色目を使おうとするジェニッタのことを、ルーナは最初から嫌いだった。
もちろん、父がジェニッタを好きなら再婚を反対するつもりはない。
だけど父は、ずっと亡くなった母を想っていて、ジェニッタ母娘のことも叔父の頼みだから引き受けただけだった。
確かに、ジェニッタ母娘の境遇には同情する。
だけど、ダリル叔父に助けられて、貴族と同じようにではなくても食べる物に困るような生活はしていなかったはずだ。
人を好きになる気持ちはどうしようもないものだから、ジェニッタが恩人の叔父ではなく父であるダグラスを好きになったことは、仕方のないことかもしれない。
公爵家に来る前は、ジェニッタも働いていたそうだが、ヴァレリア公爵家に来てからは客人扱いで生活費の全てを叔父の絵の売上でまかなっていた。
そんな愛人というか妾というか、女版のヒモというか、そんな女が大切な父親に色目を使うことがルーナはどうしても許せなかった。
だから、わざとお母様と呼んだ。
だけどジェニッタに良識があれば、たとえルーナにお母様と呼ばれても、わきまえた言動をしただろう。
結局は、ジェニッタ自身が愚かだった、それだけのことだ。
その母親を見て育ったからだろう。
アネッタも上手にダミアンに擦り寄ってくれた。
叔父には悪いが、破滅を選んだのは彼らだ。
「幼い子供でないのですもの。自分のしたことの責任は取らなければね」
元々ルーナは、ジェニッタにもアネッタにもダミアンにも、全く興味がない。
興味がないのに、断罪に参加したのには理由があった。
そもそもルーナがジェニッタを「お母様」と呼んだのは『ワケあり』だ。
「ふふっ。上手に踊って下さったわ」
「お見事でしたが、お嬢様の頬を叩くなどもう少しで耐えきれなくなりそうでした」
「ごめんなさいね?セレナには我慢を強いてしまって。でも、わたくしの大切なお父様にすり寄る害虫を許せなかったのよ」
ルーナとしても、父が今は亡き弟であるダリル叔父のことを大切にしていたことは理解している。
なまじ七歳も歳が離れているため、父は叔父に甘かった。
ルーナも別に、叔父のことを嫌いではない。
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ただそれと、父に迷惑をかけることは別である。
母が亡くなっている分、父は苦労をしてきた。
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もちろん、父がジェニッタを好きなら再婚を反対するつもりはない。
だけど父は、ずっと亡くなった母を想っていて、ジェニッタ母娘のことも叔父の頼みだから引き受けただけだった。
確かに、ジェニッタ母娘の境遇には同情する。
だけど、ダリル叔父に助けられて、貴族と同じようにではなくても食べる物に困るような生活はしていなかったはずだ。
人を好きになる気持ちはどうしようもないものだから、ジェニッタが恩人の叔父ではなく父であるダグラスを好きになったことは、仕方のないことかもしれない。
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だから、わざとお母様と呼んだ。
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結局は、ジェニッタ自身が愚かだった、それだけのことだ。
その母親を見て育ったからだろう。
アネッタも上手にダミアンに擦り寄ってくれた。
叔父には悪いが、破滅を選んだのは彼らだ。
「幼い子供でないのですもの。自分のしたことの責任は取らなければね」
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