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お友達になりました

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「ターナー様は、どうしてスペンサー様が私のことを好きだと思われたのですか?」

 うちのクラスでは、サイードさんとナターシャさんの熱愛が噂になっていましたわ。

 なのに、二人と同学年のターナー様は何故、私が愛されていると思われたのかしら?

「スペンサー様と同じクラスだったタピアナ伯爵令嬢とラビオラ子爵令嬢が、スペンサー様がそう言っていたと・・・でも、二人を信じて、何も調べず発言した私が愚かなのです。申し訳ありません」

「ターナー様、もうやめましょう?私は別に被害を被っていません。それに、私もはっきりとご説明すれば良いことだったのです」

 元々は、私がサイードさんに毅然とした態度を示していればよかったことなのです。

 それから私は、ターナー様にサイードさんと婚約することになった時からのことをお話しました。

 一目惚れだと婚約を申し込まれたこと。
 次男であるサイードさんは伯爵家を継ぐ私にとって望ましい相手だったこと。

 サイードさんが学園に入学して一年たった頃から疎遠になってしまったこと。
 ナターシャさんとの逢瀬を見てしまったこと。
 そして、婚約解消を告げられたこと。

 廃籍されたことと慰謝料が発生したことで、サイードさんが傍にナターシャさんを伴わせたまま、私に再度婚約を申し込んできたこと。

 話が終わる頃には、ターナー様の顔色が真っ青でした。

 そして、ベンチから降りると、深々と私に頭を下げられました。

「本当に申し訳ございませんでした。私は、あの二人の言うことを鵜呑みにして、愚かにもジョージアナ様を責めるような発言をしてしまいました。お父様に侯爵家の娘として不適合と言われても仕方のないことです」

「私がキチンとした対応を取れていなかったことが、いけなかったのです。その、タピアナ様とラビオラ様が何故そんなことをおっしゃったのかは分かりませんが、もしかしたら慰謝料が納得いかなくて、スペンサー様がそうおっしゃっていたのかもしれませんわ」

 結局は、私の対応が悪かったのです。
それに今の私だって、侯爵家を継ぐ人間としては不適合ですわ。

 いつまでもカイン様やお父様、王族の方のご厚意に甘えてばかりではなく、色々と向き合わなければなりません。

「ターナー様にお願いがあるのですが」

「な、なんでもおっしゃって下さい。私に出来ることでしたらなんでもいたしますわ」

「私とお友達になってくださいませんか?私は人の好意に甘えるばかりで。周囲の方々は皆さま優しい方ばかりで、私の間違いを指摘して叱って下さる方が必要なのです。マリンティア様も貴族としての指針は示してくださいますが、とてもお優しい方ですから・・・」

 結局は味方になって下さるんですもの。
ターナー様、ごめんなさい。これも甘えだとは思うのですが、少しずつ頑張りますから。
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