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「や、やめてください!ターナー様!」
侯爵令嬢様に土下座されるなんて、困りますわ。
サイードさんも侯爵令息でしたけど、彼は廃籍されましたし、第一謝罪なんてされませんでした。
とにかく人目がありますから、やめてもらいたいですわ。
これって新たな嫌がらせなのかしら?
「ジョージアナ様に許すとおっしゃっていただけないと、私・・・私、国外追放されてしまいます!」
「ふぇ?」
コホン!
貴族令嬢らしからぬ声が出てしまいましたわ。
何故、いきなり国外追放なのですか?
ハッ!国外追放ということは、王族の方の力が働いたということ?
もしかして・・・
チラリとアエラスくんを見上げます。
アエラスくんは、食堂探検を終えて私の周りに戻って来られています。
『僕じゃないよ~』
僕じゃない、ということは。
『トレニアが~、王様に言っちゃった。テヘッ』
『それで王のところにちょうどこの国の王太子が訪れていて、全て筒抜けになりました』
アエラスくんとイグニスさんが答えてくださいます。
トレニアちゃんは・・・そういえば姿がありませんね。
アエラスくんたちにお応えはできませんが、そうですか。カイン様だけでなく、こともあろうにクリスティアン殿下にまで伝わってしまったのですね。
「と、とにかく立って下さい。それから、ここではなんですから、場所を変えましょう?ね?ターナー様」
無理矢理にターナー様に立っていただき、中庭に移動することにします。
私の食器はクラスメイトが快く片付けて下さると言ってくれたので、ご好意に甘えましょう。
かつて、サイードさんたちの逢瀬を見かけた中庭まで移動します。
私に手を引かれたターナー様は、大人しくついてきてくださいました。
「それで、ターナー様。国外追放とはどういうことなのですか?」
「お父様から・・・二限目が終わった後にご連絡が来たのです。私の・・・私の発言に、クリスティアン殿下もケルヴィン殿下も、マリンティア王女殿下も・・・それから国王陛下や王妃様までお怒りだと。ターナー侯爵家を潰す気なのかと。だから、廃籍すると」
「・・・」
クリスティアン殿下。
お気持ちはありがたいですが、国王陛下や王妃様にまでおっしゃらなくてもよろしかったのではないでしょうか。
確かに、ムッとしたのは事実です。
どうして何の事情も知らない方にとも思いました。
でも、私が何も答えなかったら、ターナー様はそれ以上何もおっしゃいませんでしたし、この程度の言い争いで廃籍はやりすぎですわ。
「ターナー様。私は気にしておりません。確かに、ターナー様のおっしゃったことは少々真実と違いましたが、この程度のことで廃籍などおかしな話ですわ」
「ジョージアナ様・・・ごめんなさい。ごめんなさい」
涙を流しながら、ベンチで顔を伏せるターナー様に、もう怒りはありませんでした。
侯爵令嬢様に土下座されるなんて、困りますわ。
サイードさんも侯爵令息でしたけど、彼は廃籍されましたし、第一謝罪なんてされませんでした。
とにかく人目がありますから、やめてもらいたいですわ。
これって新たな嫌がらせなのかしら?
「ジョージアナ様に許すとおっしゃっていただけないと、私・・・私、国外追放されてしまいます!」
「ふぇ?」
コホン!
貴族令嬢らしからぬ声が出てしまいましたわ。
何故、いきなり国外追放なのですか?
ハッ!国外追放ということは、王族の方の力が働いたということ?
もしかして・・・
チラリとアエラスくんを見上げます。
アエラスくんは、食堂探検を終えて私の周りに戻って来られています。
『僕じゃないよ~』
僕じゃない、ということは。
『トレニアが~、王様に言っちゃった。テヘッ』
『それで王のところにちょうどこの国の王太子が訪れていて、全て筒抜けになりました』
アエラスくんとイグニスさんが答えてくださいます。
トレニアちゃんは・・・そういえば姿がありませんね。
アエラスくんたちにお応えはできませんが、そうですか。カイン様だけでなく、こともあろうにクリスティアン殿下にまで伝わってしまったのですね。
「と、とにかく立って下さい。それから、ここではなんですから、場所を変えましょう?ね?ターナー様」
無理矢理にターナー様に立っていただき、中庭に移動することにします。
私の食器はクラスメイトが快く片付けて下さると言ってくれたので、ご好意に甘えましょう。
かつて、サイードさんたちの逢瀬を見かけた中庭まで移動します。
私に手を引かれたターナー様は、大人しくついてきてくださいました。
「それで、ターナー様。国外追放とはどういうことなのですか?」
「お父様から・・・二限目が終わった後にご連絡が来たのです。私の・・・私の発言に、クリスティアン殿下もケルヴィン殿下も、マリンティア王女殿下も・・・それから国王陛下や王妃様までお怒りだと。ターナー侯爵家を潰す気なのかと。だから、廃籍すると」
「・・・」
クリスティアン殿下。
お気持ちはありがたいですが、国王陛下や王妃様にまでおっしゃらなくてもよろしかったのではないでしょうか。
確かに、ムッとしたのは事実です。
どうして何の事情も知らない方にとも思いました。
でも、私が何も答えなかったら、ターナー様はそれ以上何もおっしゃいませんでしたし、この程度の言い争いで廃籍はやりすぎですわ。
「ターナー様。私は気にしておりません。確かに、ターナー様のおっしゃったことは少々真実と違いましたが、この程度のことで廃籍などおかしな話ですわ」
「ジョージアナ様・・・ごめんなさい。ごめんなさい」
涙を流しながら、ベンチで顔を伏せるターナー様に、もう怒りはありませんでした。
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