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私、思ってたより怒ってたみたい

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 クリスティアン殿下から、サイード様とナターシャ様の処罰についてお聞きしました。

 まずお二人とも、北の炭鉱へ送られるそうです。

 北の炭鉱は、罪を犯した人たちが送られる場所です。
 炭鉱での作業や、そこで働く人々の食事や洗濯などの世話を行うそうです。

 朝早くから日が落ちるまで働き、休みは週に一回あっても、外部に出ることは許されない場所。
 それが北の炭鉱です。

 鉱山での作業は、事故が起きることがあると教わりました。

 女性でも、採掘した石を運ぶ作業を割り振られるそうですが、ナターシャ様は炭鉱夫専用の娼館に送られるそうです。

 サイード様を愛されているナターシャ様。他の方に身を委ねなければならないのですね。

 ですが炭鉱での娼館は、娯楽のない炭鉱での、食事以外での唯一の楽しみらしいですから、頑張っていただきたいわ。

「で、二人には呪術をかけた」

「呪術?クリスティアンお兄様、なんですの?それは」

 クリスティアン殿下の続けたお言葉に、マリンティア様が首を傾げられています。

 私も聞いたことがありません。カイン様ならご存知かしら?

「僕は話を聞いたことがあるが、精霊の使う力と、人の使う魔法や術は全く別のものだから縁はないな」

「そうなのですね」

「呪術というのはね、東のトレントの民の中に使うものがあるという呪いの一種だよ。精霊様たちの使う魔法と同じような現象を起こすこともあるらしいけど、今回使ったのは呪いの方だ」

 呪い、ですか。
他国には、不思議な力を使う方がいらっしゃるのですね。

 でも、人を呪わば穴二つというのを聞いたことがありますわ。
 人を陥れようとすると、自分にも返ってくるという意味ですわ。

「その呪いをかけた方は大丈夫なのですか?」

「アリス嬢は、聡明な上に優しいな」

「カイン様・・・私は優しくはないと思います」

 だって、呪いをかける方のことは心配していますけど、かけられるお二人のことは何とも思っていませんもの。

 私、自分が思っていたより、怒っているのかもしれませんわ。

「呪術というのは、術を跳ね返されたり解除されたりしたら、その跳ね返りで自分に害が及ぶらしいんだが・・・」

「だが?」

「どうやら、今回の呪術使いは特殊でね。自分で作った術を用いているらしい。誰にも解除できないし、跳ね返すことも難しいらしいよ。まぁ、ある意味天才なんだろうな」

 クリスティアン殿下は、その方を手元に置かれることにしたのだとか。
 危険なのではないかしら。殿下に牙を剥かないとは限らないのに。

「ベルスィート卿のお力を借りて、契約の書を交わしたんだ。僕や僕の大切な人に危害を加えようとしたらその術は跳ね返るようにね」

 あら?
カイン様がそんなことを。
 でもそれなら安心ですわね。
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