62 / 82
嫌いにならないで?
しおりを挟む
「私は、死なせて欲しいと願うほどに、生きて償ってもらいたいと思います」
処刑なんてかわいそうだなんて、優しい気持ちはありません。
あっさりと処刑されて終わるなんて、嫌なだけです。
私は。
別にサイード様にもナターシャ様にも、特別な感情はありません。
もちろん、婚約者になったときは、これからこの人と一緒の時を過ごすのだと思っていました。
優しくして下さいましたし、この方となら穏やかな家族になれる、そう思ってのです。
それが、あんな形で裏切りを耳にし目撃して、私の心は冷めてしまったのだと思います。
お父様もサイード様のことは気に入っていましたから、学園内だけでの事だと、卒業したなら誠実に私と向き合ってくれるならと、そう考えていました。
婚約解消を求められたことは、仕方のないことだと思います。
私も他の女性を好きな方に、触れられるのは嫌です。
貴族の娘として、政略結婚は理解しています。
ですが、いくら政略結婚でもお互いに誠実ではあるべきですもの。
マリンティア様に、貴族としてキチンと慰謝料を請求することなどを諭されましたが、まさかそのことで、彼の本性を知ることになるとは思いませんでした。
そうです。
私がサイード様を許せないと思っているのは、彼が慰謝料を払いたくないから私とまた婚約してやると言ったからです。
ナターシャ様が真実の愛のお相手だったのでしょう?
それなのに、その方と一緒にいながら、私と婚約し直すとおっしゃるその精神が理解できません。
好きだったはずなのに。
ずっと一緒にいたいと思えてた人のはずなのに。
そんな相手を苦しめたいなんて、なんてひどい女だと思われてしまわないかしら。
アエラスくんたちも、こんな醜い人間のこと、番だと認めてくれないんじゃないかしら。
カイン様のお顔を見上げると、カイン様は優しく私を見つめていて下さいました。
「カイン様・・・」
「どうした?」
「こんな・・・ことを言った私のこと、醜いと思われます・・・よね」
私は、嫉妬もするし、人を憎んだり恨んだりする、そんな人間です。
なのに。
「お願い・・・嫌わないで・・・」
嫌われたくないなんて。
カイン様に、アエラスくんたちに、嫌われたくない・・・
「どうして、アリス嬢を嫌うんだ?」
『そうだよ、アリス!王様はキモいくらいアリスのことが大好きなんだから!』
『アエラス!キモいは駄目よ。でも、番様!王様は番様を嫌ったりしないわ!私たちだって、大好きよ』
でも、それは私が番だからですよね。
私が番でなければ、こんな風には言ってもらえない・・・
処刑なんてかわいそうだなんて、優しい気持ちはありません。
あっさりと処刑されて終わるなんて、嫌なだけです。
私は。
別にサイード様にもナターシャ様にも、特別な感情はありません。
もちろん、婚約者になったときは、これからこの人と一緒の時を過ごすのだと思っていました。
優しくして下さいましたし、この方となら穏やかな家族になれる、そう思ってのです。
それが、あんな形で裏切りを耳にし目撃して、私の心は冷めてしまったのだと思います。
お父様もサイード様のことは気に入っていましたから、学園内だけでの事だと、卒業したなら誠実に私と向き合ってくれるならと、そう考えていました。
婚約解消を求められたことは、仕方のないことだと思います。
私も他の女性を好きな方に、触れられるのは嫌です。
貴族の娘として、政略結婚は理解しています。
ですが、いくら政略結婚でもお互いに誠実ではあるべきですもの。
マリンティア様に、貴族としてキチンと慰謝料を請求することなどを諭されましたが、まさかそのことで、彼の本性を知ることになるとは思いませんでした。
そうです。
私がサイード様を許せないと思っているのは、彼が慰謝料を払いたくないから私とまた婚約してやると言ったからです。
ナターシャ様が真実の愛のお相手だったのでしょう?
それなのに、その方と一緒にいながら、私と婚約し直すとおっしゃるその精神が理解できません。
好きだったはずなのに。
ずっと一緒にいたいと思えてた人のはずなのに。
そんな相手を苦しめたいなんて、なんてひどい女だと思われてしまわないかしら。
アエラスくんたちも、こんな醜い人間のこと、番だと認めてくれないんじゃないかしら。
カイン様のお顔を見上げると、カイン様は優しく私を見つめていて下さいました。
「カイン様・・・」
「どうした?」
「こんな・・・ことを言った私のこと、醜いと思われます・・・よね」
私は、嫉妬もするし、人を憎んだり恨んだりする、そんな人間です。
なのに。
「お願い・・・嫌わないで・・・」
嫌われたくないなんて。
カイン様に、アエラスくんたちに、嫌われたくない・・・
「どうして、アリス嬢を嫌うんだ?」
『そうだよ、アリス!王様はキモいくらいアリスのことが大好きなんだから!』
『アエラス!キモいは駄目よ。でも、番様!王様は番様を嫌ったりしないわ!私たちだって、大好きよ』
でも、それは私が番だからですよね。
私が番でなければ、こんな風には言ってもらえない・・・
51
お気に入りに追加
4,520
あなたにおすすめの小説
愛のゆくえ【完結】
春の小径
恋愛
私、あなたが好きでした
ですが、告白した私にあなたは言いました
「妹にしか思えない」
私は幼馴染みと婚約しました
それなのに、あなたはなぜ今になって私にプロポーズするのですか?
☆12時30分より1時間更新
(6月1日0時30分 完結)
こう言う話はサクッと完結してから読みたいですよね?
……違う?
とりあえず13日後ではなく13時間で完結させてみました。
他社でも公開
「あなたの好きなひとを盗るつもりなんてなかった。どうか許して」と親友に謝られたけど、その男性は私の好きなひとではありません。まあいっか。
石河 翠
恋愛
真面目が取り柄のハリエットには、同い年の従姉妹エミリーがいる。母親同士の仲が悪く、二人は何かにつけ比較されてきた。
ある日招待されたお茶会にて、ハリエットは突然エミリーから謝られる。なんとエミリーは、ハリエットの好きなひとを盗ってしまったのだという。エミリーの母親は、ハリエットを出し抜けてご機嫌の様子。
ところが、紹介された男性はハリエットの好きなひととは全くの別人。しかもエミリーは勘違いしているわけではないらしい。そこでハリエットは伯母の誤解を解かないまま、エミリーの結婚式への出席を希望し……。
母親の束縛から逃れて初恋を叶えるしたたかなヒロインと恋人を溺愛する腹黒ヒーローの恋物語。ハッピーエンドです。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:23852097)をお借りしております。
根暗令嬢の華麗なる転身
しろねこ。
恋愛
「来なきゃよかったな」
ミューズは茶会が嫌いだった。
茶会デビューを果たしたものの、人から不細工と言われたショックから笑顔になれず、しまいには根暗令嬢と陰で呼ばれるようになった。
公爵家の次女に産まれ、キレイな母と実直な父、優しい姉に囲まれ幸せに暮らしていた。
何不自由なく、暮らしていた。
家族からも愛されて育った。
それを壊したのは悪意ある言葉。
「あんな不細工な令嬢見たことない」
それなのに今回の茶会だけは断れなかった。
父から絶対に参加してほしいという言われた茶会は特別で、第一王子と第二王子が来るものだ。
婚約者選びのものとして。
国王直々の声掛けに娘思いの父も断れず…
応援して頂けると嬉しいです(*´ω`*)
ハピエン大好き、完全自己満、ご都合主義の作者による作品です。
同名主人公にてアナザーワールド的に別な作品も書いています。
立場や環境が違えども、幸せになって欲しいという思いで作品を書いています。
一部リンクしてるところもあり、他作品を見て頂ければよりキャラへの理解が深まって楽しいかと思います。
描写的なものに不安があるため、お気をつけ下さい。
ゆるりとお楽しみください。
こちら小説家になろうさん、カクヨムさんにも投稿させてもらっています。
拝啓 お顔もお名前も存じ上げない婚約者様
オケラ
恋愛
15歳のユアは上流貴族のお嬢様。自然とたわむれるのが大好きな女の子で、毎日山で植物を愛でている。しかし、こうして自由に過ごせるのもあと半年だけ。16歳になると正式に結婚することが決まっている。彼女には生まれた時から婚約者がいるが、まだ一度も会ったことがない。名前も知らないのは幼き日の彼女のわがままが原因で……。半年後に結婚を控える中、彼女は山の中でとある殿方と出会い……。
愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。
石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。
ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。
それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。
愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。
不遇な王妃は国王の愛を望まない
ゆきむらさり
恋愛
稚拙ながらも投稿初日(11/21)から📝HOTランキングに入れて頂き、本当にありがとうございます🤗 今回初めてHOTランキングの5位(11/23)を頂き感無量です🥲 そうは言いつつも間違ってランキング入りしてしまった感が否めないのも確かです💦 それでも目に留めてくれた読者様には感謝致します✨
〔あらすじ〕📝ある時、クラウン王国の国王カルロスの元に、自ら命を絶った王妃アリーヤの訃報が届く。王妃アリーヤを冷遇しておきながら嘆く国王カルロスに皆は不思議がる。なにせ国王カルロスは幼馴染の側妃ベリンダを寵愛し、政略結婚の為に他国アメジスト王国から輿入れした不遇の王女アリーヤには見向きもしない。はたから見れば哀れな王妃アリーヤだが、実は他に愛する人がいる王妃アリーヤにもその方が都合が良いとも。彼女が真に望むのは愛する人と共に居られる些細な幸せ。ある時、自国に囚われの身である愛する人の訃報を受け取る王妃アリーヤは絶望に駆られるも……。主人公の舞台は途中から変わります。
※設定などは独自の世界観で、あくまでもご都合主義。断罪あり。ハピエン🩷
溺愛されていると信じておりました──が。もう、どうでもいいです。
ふまさ
恋愛
いつものように屋敷まで迎えにきてくれた、幼馴染みであり、婚約者でもある伯爵令息──ミックに、フィオナが微笑む。
「おはよう、ミック。毎朝迎えに来なくても、学園ですぐに会えるのに」
「駄目だよ。もし学園に向かう途中できみに何かあったら、ぼくは悔やんでも悔やみきれない。傍にいれば、いつでも守ってあげられるからね」
ミックがフィオナを抱き締める。それはそれは、愛おしそうに。その様子に、フィオナの両親が見守るように穏やかに笑う。
──対して。
傍に控える使用人たちに、笑顔はなかった。
忘却令嬢〜そう言われましても記憶にございません〜【完】
雪乃
恋愛
ほんの一瞬、躊躇ってしまった手。
誰よりも愛していた彼女なのに傷付けてしまった。
ずっと傷付けていると理解っていたのに、振り払ってしまった。
彼女は深い碧色に絶望を映しながら微笑んだ。
※読んでくださりありがとうございます。
ゆるふわ設定です。タグをころころ変えてます。何でも許せる方向け。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる