55 / 82
加護の報酬
しおりを挟む
とりあえず言いたいことはたくさんありますけど、王族の方の決めたことです。
伯爵家が異論をどうこう言うことはできません。
私たちはしばらくは王宮に泊めていただき、新しい屋敷の準備をすることになりました。
「・・・大きくありませんか?」
新しい屋敷だとケルヴィン殿下が案内して下さったのは、我が家の倍以上の敷地面積のお屋敷でした。
それでも精霊王様の住まわれる場所にすれば、貧相かもしれませんけど。
でも、こんな大きなお屋敷。
侍女の人数も増やさないと、掃除だって大変ですわ。
「ここなら王宮にも近いからって。マリンティアはサザンスィートに嫁ぐけど、兄上はジョージアナ嬢に婚約者のマーガレット・セザンヌ公爵令嬢と仲良くして欲しいらしい」
第一王子殿下の婚約者様と?
公爵令嬢様は、私の四歳年上の方で、とても凛としたお美しい方です。
お見かけしたことはありますけど、お話どころかご挨拶をしたことすらありませんわ。
「兄上は今回の件が片付いたら、立太子される。兄上や僕と同年代のご令嬢方は、婚約者の座を狙っていたからね。セザンヌ嬢も親しいご友人はいないらしい。少々キツいところもある方だけど、良い方だよ」
「そう・・・なのですね」
第一王子殿下が立太子される。
ケルヴィン殿下は、別に王位に執着はないみたいです。
しかし、王太子妃となられる方とご友人に?
マリンティア様は王女殿下ですけど、他にご年齢の近い令嬢がいなかったというのもあったから・・・
私でいいのでしょうか?
「さ。それよりも内装を確認してくれよ。伯爵は住むのはベルスィート卿とジョージアナ嬢なんだから、二人の好きにさせてくれっておっしゃってだからな」
「ああ。アリス嬢。行こうか」
「は、はい。カイン様」
カイン様にエスコートされ、屋敷に足を踏み入れます。
広い玄関ホールに、螺旋状の階段。
食堂も、部屋数も、全てが今の倍以上あります。
これ、伯爵家で運営していけるのかしら。
公爵家並みにある気がするんですけど。
「やっぱり・・・広すぎませんか?」
「僕にはわからないが、アリス嬢が広すぎるというならそうなんだろう。他に探してもらうかい?それとも建て替える?」
カイン様の言葉に、曖昧に微笑みます。
絶対に広すぎると思うんですけど、王家が準備してくれたと思われる屋敷を拒むのは・・・
「うん?広いかな?でもまぁ、侯爵に陞爵するからこのくらい普通じゃないかな」
「は?陞爵?」
「うん。父上からそう聞いたけどね」
チラリとカイン様を見られたことで理解しました。
精霊王様であるカイン様と婚約婚姻するということは、サザンスィート王国と同じように、レンブラント王国も精霊の加護を受けられるということ。
その恩恵に対する報酬ということですか。
伯爵家が異論をどうこう言うことはできません。
私たちはしばらくは王宮に泊めていただき、新しい屋敷の準備をすることになりました。
「・・・大きくありませんか?」
新しい屋敷だとケルヴィン殿下が案内して下さったのは、我が家の倍以上の敷地面積のお屋敷でした。
それでも精霊王様の住まわれる場所にすれば、貧相かもしれませんけど。
でも、こんな大きなお屋敷。
侍女の人数も増やさないと、掃除だって大変ですわ。
「ここなら王宮にも近いからって。マリンティアはサザンスィートに嫁ぐけど、兄上はジョージアナ嬢に婚約者のマーガレット・セザンヌ公爵令嬢と仲良くして欲しいらしい」
第一王子殿下の婚約者様と?
公爵令嬢様は、私の四歳年上の方で、とても凛としたお美しい方です。
お見かけしたことはありますけど、お話どころかご挨拶をしたことすらありませんわ。
「兄上は今回の件が片付いたら、立太子される。兄上や僕と同年代のご令嬢方は、婚約者の座を狙っていたからね。セザンヌ嬢も親しいご友人はいないらしい。少々キツいところもある方だけど、良い方だよ」
「そう・・・なのですね」
第一王子殿下が立太子される。
ケルヴィン殿下は、別に王位に執着はないみたいです。
しかし、王太子妃となられる方とご友人に?
マリンティア様は王女殿下ですけど、他にご年齢の近い令嬢がいなかったというのもあったから・・・
私でいいのでしょうか?
「さ。それよりも内装を確認してくれよ。伯爵は住むのはベルスィート卿とジョージアナ嬢なんだから、二人の好きにさせてくれっておっしゃってだからな」
「ああ。アリス嬢。行こうか」
「は、はい。カイン様」
カイン様にエスコートされ、屋敷に足を踏み入れます。
広い玄関ホールに、螺旋状の階段。
食堂も、部屋数も、全てが今の倍以上あります。
これ、伯爵家で運営していけるのかしら。
公爵家並みにある気がするんですけど。
「やっぱり・・・広すぎませんか?」
「僕にはわからないが、アリス嬢が広すぎるというならそうなんだろう。他に探してもらうかい?それとも建て替える?」
カイン様の言葉に、曖昧に微笑みます。
絶対に広すぎると思うんですけど、王家が準備してくれたと思われる屋敷を拒むのは・・・
「うん?広いかな?でもまぁ、侯爵に陞爵するからこのくらい普通じゃないかな」
「は?陞爵?」
「うん。父上からそう聞いたけどね」
チラリとカイン様を見られたことで理解しました。
精霊王様であるカイン様と婚約婚姻するということは、サザンスィート王国と同じように、レンブラント王国も精霊の加護を受けられるということ。
その恩恵に対する報酬ということですか。
52
お気に入りに追加
4,525
あなたにおすすめの小説

愛のゆくえ【完結】
春の小径
恋愛
私、あなたが好きでした
ですが、告白した私にあなたは言いました
「妹にしか思えない」
私は幼馴染みと婚約しました
それなのに、あなたはなぜ今になって私にプロポーズするのですか?
☆12時30分より1時間更新
(6月1日0時30分 完結)
こう言う話はサクッと完結してから読みたいですよね?
……違う?
とりあえず13日後ではなく13時間で完結させてみました。
他社でも公開

真実の愛がどうなろうと関係ありません。
希猫 ゆうみ
恋愛
伯爵令息サディアスはメイドのリディと恋に落ちた。
婚約者であった伯爵令嬢フェルネは無残にも婚約を解消されてしまう。
「僕はリディと真実の愛を貫く。誰にも邪魔はさせない!」
サディアスの両親エヴァンズ伯爵夫妻は激怒し、息子を勘当、追放する。
それもそのはずで、フェルネは王家の血を引く名門貴族パートランド伯爵家の一人娘だった。
サディアスからの一方的な婚約解消は決して許されない裏切りだったのだ。
一ヶ月後、愛を信じないフェルネに新たな求婚者が現れる。
若きバラクロフ侯爵レジナルド。
「あら、あなたも真実の愛を実らせようって仰いますの?」
フェルネの曾祖母シャーリンとレジナルドの祖父アルフォンス卿には悲恋の歴史がある。
「子孫の我々が結婚しようと関係ない。聡明な妻が欲しいだけだ」
互いに塩対応だったはずが、気づくとクーデレ夫婦になっていたフェルネとレジナルド。
その頃、真実の愛を貫いたはずのサディアスは……
(予定より長くなってしまった為、完結に伴い短編→長編に変更しました)
【完結】365日後の花言葉
Ringo
恋愛
許せなかった。
幼い頃からの婚約者でもあり、誰よりも大好きで愛していたあなただからこそ。
あなたの裏切りを知った翌朝、私の元に届いたのはゼラニウムの花束。
“ごめんなさい”
言い訳もせず、拒絶し続ける私の元に通い続けるあなたの愛情を、私はもう一度信じてもいいの?
※勢いよく本編完結しまして、番外編ではイチャイチャするふたりのその後をお届けします。

もう愛は冷めているのですが?
希猫 ゆうみ
恋愛
「真実の愛を見つけたから駆け落ちするよ。さよなら」
伯爵令嬢エスターは結婚式当日、婚約者のルシアンに無残にも捨てられてしまう。
3年後。
父を亡くしたエスターは令嬢ながらウィンダム伯領の領地経営を任されていた。
ある日、金髪碧眼の美形司祭マクミランがエスターを訪ねてきて言った。
「ルシアン・アトウッドの居場所を教えてください」
「え……?」
国王の命令によりエスターの元婚約者を探しているとのこと。
忘れたはずの愛しさに突き動かされ、マクミラン司祭と共にルシアンを探すエスター。
しかしルシアンとの再会で心優しいエスターの愛はついに冷め切り、完全に凍り付く。
「助けてくれエスター!僕を愛しているから探してくれたんだろう!?」
「いいえ。あなたへの愛はもう冷めています」
やがて悲しみはエスターを真実の愛へと導いていく……
◇ ◇ ◇
完結いたしました!ありがとうございました!
誤字報告のご協力にも心から感謝申し上げます。

初恋の結末
夕鈴
恋愛
幼い頃から婚約していたアリストアとエドウィン。アリストアは最愛の婚約者と深い絆で結ばれ同じ道を歩くと信じていた。アリストアの描く未来が崩れ……。それぞれの初恋の結末を描く物語。
【完結】不貞された私を責めるこの国はおかしい
春風由実
恋愛
婚約者が不貞をしたあげく、婚約破棄だと言ってきた。
そんな私がどうして議会に呼び出され糾弾される側なのでしょうか?
婚約者が不貞をしたのは私のせいで、
婚約破棄を命じられたのも私のせいですって?
うふふ。面白いことを仰いますわね。
※最終話まで毎日一話更新予定です。→3/27完結しました。
※カクヨムにも投稿しています。
さよなら、皆さん。今宵、私はここを出ていきます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【復讐の為、今夜私は偽の家族と婚約者に別れを告げる―】
私は伯爵令嬢フィーネ・アドラー。優しい両親と18歳になったら結婚する予定の婚約者がいた。しかし、幸せな生活は両親の突然の死により、もろくも崩れ去る。私の後見人になると言って城に上がり込んできた叔父夫婦とその娘。私は彼らによって全てを奪われてしまった。愛する婚約者までも。
もうこれ以上は限界だった。復讐する為、私は今夜皆に別れを告げる決意をした―。
※マークは残酷シーン有り
※(他サイトでも投稿中)

二度目の婚約者には、もう何も期待しません!……そう思っていたのに、待っていたのは年下領主からの溺愛でした。
当麻月菜
恋愛
フェルベラ・ウィステリアは12歳の時に親が決めた婚約者ロジャードに相応しい女性になるため、これまで必死に努力を重ねてきた。
しかし婚約者であるロジャードはあっさり妹に心変わりした。
最後に人間性を疑うような捨て台詞を吐かれたフェルベラは、プツンと何かが切れてロジャードを回し蹴りしをかまして、6年という長い婚約期間に終止符を打った。
それから三ヶ月後。島流し扱いでフェルベラは岩山ばかりの僻地ルグ領の領主の元に嫁ぐ。愛人として。
婚約者に心変わりをされ、若い身空で愛人になるなんて不幸だと泣き崩れるかと思いきや、フェルベラの心は穏やかだった。
だって二度目の婚約者には、もう何も期待していないから。全然平気。
これからの人生は好きにさせてもらおう。そう決めてルグ領の領主に出会った瞬間、期待は良い意味で裏切られた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる