決めたのはあなたでしょう?

みおな

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加護の報酬

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 とりあえず言いたいことはたくさんありますけど、王族の方の決めたことです。
 伯爵家が異論をどうこう言うことはできません。

 私たちはしばらくは王宮に泊めていただき、新しい屋敷の準備をすることになりました。

「・・・大きくありませんか?」

 新しい屋敷だとケルヴィン殿下が案内して下さったのは、我が家の倍以上の敷地面積のお屋敷でした。

 それでも精霊王様の住まわれる場所にすれば、貧相かもしれませんけど。
 でも、こんな大きなお屋敷。
侍女の人数も増やさないと、掃除だって大変ですわ。

「ここなら王宮にも近いからって。マリンティアはサザンスィートに嫁ぐけど、兄上はジョージアナ嬢に婚約者のマーガレット・セザンヌ公爵令嬢と仲良くして欲しいらしい」

 第一王子殿下の婚約者様と?
公爵令嬢様は、私の四歳年上の方で、とても凛としたお美しい方です。

 お見かけしたことはありますけど、お話どころかご挨拶をしたことすらありませんわ。

「兄上は今回の件が片付いたら、立太子される。兄上や僕と同年代のご令嬢方は、婚約者の座を狙っていたからね。セザンヌ嬢も親しいご友人はいないらしい。少々キツいところもある方だけど、良い方だよ」

「そう・・・なのですね」

 第一王子殿下が立太子される。
ケルヴィン殿下は、別に王位に執着はないみたいです。

 しかし、王太子妃となられる方とご友人に?
 マリンティア様は王女殿下ですけど、他にご年齢の近い令嬢がいなかったというのもあったから・・・

 私でいいのでしょうか?

「さ。それよりも内装を確認してくれよ。伯爵は住むのはベルスィート卿とジョージアナ嬢なんだから、二人の好きにさせてくれっておっしゃってだからな」

「ああ。アリス嬢。行こうか」

「は、はい。カイン様」

 カイン様にエスコートされ、屋敷に足を踏み入れます。

 広い玄関ホールに、螺旋状の階段。
食堂も、部屋数も、全てが今の倍以上あります。

 これ、伯爵家で運営していけるのかしら。
公爵家並みにある気がするんですけど。

「やっぱり・・・広すぎませんか?」

「僕にはわからないが、アリス嬢が広すぎるというならそうなんだろう。他に探してもらうかい?それとも建て替える?」

 カイン様の言葉に、曖昧に微笑みます。
絶対に広すぎると思うんですけど、王家が準備してくれたと思われる屋敷を拒むのは・・・

「うん?広いかな?でもまぁ、侯爵に陞爵するからこのくらい普通じゃないかな」

「は?陞爵?」

「うん。父上からそう聞いたけどね」

 チラリとカイン様を見られたことで理解しました。

 精霊王様であるカイン様と婚約婚姻するということは、サザンスィート王国と同じように、レンブラント王国も精霊の加護を受けられるということ。

 その恩恵に対する報酬ということですか。


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