決めたのはあなたでしょう?

みおな

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報告《ジョージアナ伯爵視点》

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 国王陛下にお会いするために王宮内を進む私の前に、第一王子殿下が現れた。

 王妃殿下によく似ておられるお姿の第一王子殿下は、とても聡明で頭の切れる方だ。
 国王陛下似の第二王子殿下は、剣技に優れておられる。

 そして、どちらが立太子されてもお互いを支え合うことを宣言されており、このレンブラント王国が安泰であることを予感させる。

 もっとも、侯爵家の次男があんなにも愚か者なのだから、まだまだ若い者には任せきれないというところか。

 スペンサー侯爵家は、嫡男は優秀なのに、どうして次男はああも愚かに育ったのか。

 甘やかされたわけではないはずだ。
アリスと婚約させると決めた時は、少々頼りないが、我が家の後継であるアリスを優しく支えられる、そう思えたのに。

「急ぎかい?ジョージアナ伯爵」

「そうですね、国王陛下にご報告が。クリスティアン殿下、私に何か?」

 王妃殿下に似た美しいご容姿だが、その眼光は鋭い。いや、底が知れないというべきか。

 百戦錬磨の腹黒い宰相のような、そんなものがこの方にはある。
 真っ直ぐで、少々直情型のケルヴィン殿下はよくいえば素直過ぎる。

「僕も父上に報告があるんだ。というか、伯爵にもお知らせしたくてね」

「私にも、ですか?」

「うん。可愛らしい小鳥が、とてつもない竜を虜にしてしまったらしくてね」

 クスクスと微笑う殿下に、胡乱な視線を向ける。
 話の流れから、どうやらアリスのことらしいとは想像がつくが、竜を虜にとはどういうことだろうか。

「まぁ、話は父上のところで」

 ここで問いただしても、答えてくれそうもない。
 私は殿下と共に、陛下のおられる執務室へと向かった。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「は?」

 情けないが、思わず出てしまった言葉がそれだった。

 執務室には、王妃殿下と第二王子殿下のケルヴィン殿下までいらっしゃった。

 そこで、クリスティアン殿下が報告という名のものに語られたのは、王女殿下マリンティア様とサザンスィート王国王太子殿下の婚約と、我が愛しの娘アリスが精霊王様と呼ばれる方の寵愛を受けている、ということだった。

 いや、待て。
マリンティア殿下は確かに、視察という名のお見合いのために他国へ出向かれた。

 サザンスィート王国の王太子殿下は、ケルヴィン殿下のご友人で、王女殿下と面識もあるという。

 だから、ご婚約が成ったというのは理解できる。喜ばしいことだ。

 だが、スペンサー侯爵令息のこともあり、同行させた我が娘が、誰の寵愛を受けているって?

 精霊王様とは、サザンスィート王国に伝わる伝承の存在ではないのか?


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