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王太子殿下の告白②
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王太子殿下の幼馴染で、サザンスィート王国の公爵令嬢様・・・
それは、もしかして婚約者様なのかしら?
カイン様は王太子殿下に婚約者はいないとおっしゃられていたけど。
「シャル・・・シャルロットは、アリス嬢のような、透き通った薄氷の髪と瞳をしていてね、子供の頃はとてもお転婆な子だったんだよ。僕たちは幼い頃から婚約関係にあって、でもお互いそれが嫌じゃなかった。シャルとなら、楽しくて穏やかで、そして幸せな夫婦でいられる、そう思っていたよ」
カイン様は黙って、目を瞑られています。
精霊王様として、ずっとサザンスィート王国を見守られていたカイン様。
きっと、シャルロット様のこともご存知なのでしょう。
そして、私も薄々は気づきかけています。
王太子殿下は、先ほどからずっと過去形で話されています。
それは・・・
「僕たちが十三歳になった頃、シャルロットは家族と一緒に、公爵家の保養地に向かうことになった。僕も一緒に行くはずだったんだけど、すでに僕は立太子していてね、公務があったんだ。それが終わったらすぐに後を追いかけるって約束をして・・・」
「公爵家の馬車は、野盗に襲撃された」
「!」
口籠った王太子殿下の言葉を、カイン様が続けられました。
「・・・正確には、野盗に扮した貴族崩れの騎士たちだ。高位貴族の・・・当時、シャルロットの婚約者の立場を奪おうとしていた侯爵家や、そのおこぼれに与ろうとした貴族たちの手の者で・・・」
「護衛はいたが多勢に無勢で、両親や護衛、使用人は殺された」
「シャルは・・・多分、男たちに乱暴されそうになったのだと思う。僕が見た彼女は、公爵たちのように斬り殺されていたのではなく、舌を噛み切っていたから・・・」
「・・・・・・」
私は、何も言うことができませんでした。
幼い頃から心を通わせていた婚約者を、そんな形で亡くされて・・・
王太子殿下がご一緒だったなら、もしかしたら殿下も手をかけられていたかもしれません。
でも、王家の護衛がご一緒だったなら、助けられたかもしれません。
全て、もしもという仮定の話です。
ですが、そのことが、きっと王太子殿下を苦しめていらっしゃるのでしょう。
まだ、その婚約者のことを想われているのでしょう。
「王太子殿下。知らぬこととはいえ、申し訳ございません。お辛いことを、お話下さり、ありがとうございます」
「分かってはいるんだ。いつまでもこのままではいられない。サザンスィートを継ぐのは僕ひとり。あの後、国内の不穏分子は処分した。でも、自国の令嬢は信じ切ることが出来ない。マリンティアなら信用できる。だけど・・・」
それは、もしかして婚約者様なのかしら?
カイン様は王太子殿下に婚約者はいないとおっしゃられていたけど。
「シャル・・・シャルロットは、アリス嬢のような、透き通った薄氷の髪と瞳をしていてね、子供の頃はとてもお転婆な子だったんだよ。僕たちは幼い頃から婚約関係にあって、でもお互いそれが嫌じゃなかった。シャルとなら、楽しくて穏やかで、そして幸せな夫婦でいられる、そう思っていたよ」
カイン様は黙って、目を瞑られています。
精霊王様として、ずっとサザンスィート王国を見守られていたカイン様。
きっと、シャルロット様のこともご存知なのでしょう。
そして、私も薄々は気づきかけています。
王太子殿下は、先ほどからずっと過去形で話されています。
それは・・・
「僕たちが十三歳になった頃、シャルロットは家族と一緒に、公爵家の保養地に向かうことになった。僕も一緒に行くはずだったんだけど、すでに僕は立太子していてね、公務があったんだ。それが終わったらすぐに後を追いかけるって約束をして・・・」
「公爵家の馬車は、野盗に襲撃された」
「!」
口籠った王太子殿下の言葉を、カイン様が続けられました。
「・・・正確には、野盗に扮した貴族崩れの騎士たちだ。高位貴族の・・・当時、シャルロットの婚約者の立場を奪おうとしていた侯爵家や、そのおこぼれに与ろうとした貴族たちの手の者で・・・」
「護衛はいたが多勢に無勢で、両親や護衛、使用人は殺された」
「シャルは・・・多分、男たちに乱暴されそうになったのだと思う。僕が見た彼女は、公爵たちのように斬り殺されていたのではなく、舌を噛み切っていたから・・・」
「・・・・・・」
私は、何も言うことができませんでした。
幼い頃から心を通わせていた婚約者を、そんな形で亡くされて・・・
王太子殿下がご一緒だったなら、もしかしたら殿下も手をかけられていたかもしれません。
でも、王家の護衛がご一緒だったなら、助けられたかもしれません。
全て、もしもという仮定の話です。
ですが、そのことが、きっと王太子殿下を苦しめていらっしゃるのでしょう。
まだ、その婚約者のことを想われているのでしょう。
「王太子殿下。知らぬこととはいえ、申し訳ございません。お辛いことを、お話下さり、ありがとうございます」
「分かってはいるんだ。いつまでもこのままではいられない。サザンスィートを継ぐのは僕ひとり。あの後、国内の不穏分子は処分した。でも、自国の令嬢は信じ切ることが出来ない。マリンティアなら信用できる。だけど・・・」
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