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力になって欲しいんです

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 マリンティア様のお力になりたい。
でも、良くして下さっているとはいえ、他国の王太子殿下に、いきなり私がお気持ちを聞くわけにもいきません。

 そ、そうです。
カイン様は、王太子殿下とお親しい様子でした。

 カイン様なら、何かご存知かもしれません。

 急いで、カイン様にお会いできるか、侍女の方に確認してもらいます。

 部屋でお返事をお待ちしていると、窓をすり抜けて、アエラスくんがやって来られました。

 あら?
アエラスくんは、窓が開いてなくても関係ないのですね。

『アリス~、王様が大喜びで、すぐにでも来てって!』

「わざわざ伝えに来て下さったの?ありがとう、アエラスくん」

『王様が~、喜びすぎてウザイんだよ~』

「まぁ!駄目よ、そんなことを言っちゃ。カイン様は、私が急にお会いしたいと言ったのに、快く了承して下さったのでしょう?」

 目の前で、大げさにため息をつくアエラスくんを嗜めます。

 アエラスくん、本当に言葉のチョイスがよろしくないですわ。
 どこで覚えて来られたのかしら?

『アリスってば、優し~い。でも、王様浮かれちゃって、キモいんだよぅ』

「もう!アエラスくん、どこでそんな言葉を覚えられたんですか?」

『んっとね~、サザンスィートの街?女の人が近寄ってた男の人に言ってた~!』

 街・・・
下町なら、仕方ないのかしら?
 でも、キモいだなんて言われるなんて、その男の方、かわいそうですわ。

 というか、アエラスくん、街に行ったりしてますの?

「アエラスくんは、街に行かれたりしますのね」

『ん~。僕の姿は見えないし、人間を見るのは楽しいよ。でも、アリスが来てからは行ってない。アリスと一緒にいる方が楽しいもん』

 まぁ!嬉しいことを言って下さいますわ。

 そんなことを話していると、お願いしていた侍女の方が戻って来られました。

「ベルスィート王国国王陛下が、お部屋の方へお越しくださいとのことです。ご案内いたします」

「ありがとうございます」

 アエラスくんの姿は、王太子殿下以外には見えませんものね。
 お礼を言って、カイン様の滞在されているお部屋に向かいます。

 案内していただいた部屋に着き、扉を叩こうとすると、いきなり扉が開きました。カイン様自ら扉を開けて下さいましたわ。

 アエラスくんが私が到着する直前に扉を通り抜けて行かれましたから、きっとお伝え下さったのですね。

「アリス嬢!」

「カイン様、お時間を取っていただき、ありがとうございます」

「いや、アリス嬢に言われれば、いつでも時間くらい取る」

 そう言って、私を部屋に招き入れてくれるカイン様の後ろで、アエラスくんがやれやれって顔をしていましたわ。

 
 
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