決めたのはあなたでしょう?

みおな

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とりあえず、お友達からで

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「だから、伯爵家に婿に行くことは問題ない」

「いや、お前・・・問題だらけだろうが」

 王太子殿下のツッコミが入ってしまいました。

 そうですわよね。いくら国として機能していないといっても、問題だと思いますわ。

「何がだ?各国の王族以外に、ベルスィートの存在を知るものはない。別に国としてどこかと国交しているわけでもない。精霊たちは、別にベルスィートで住んでいるわけじゃない。なら、何が問題だ?」

 ええと。
確かに言葉にすれば、何も問題ないように聞こえますけど、まず精霊王様が伯爵家に入婿に来るということ自体、問題だと思いますわ。

「いや、お前ね・・・まぁ、いい。とりあえずお前は、ジョージアナ嬢のことを番とか関係なく好きなんだろう?なら、ちゃんと時間をかけて話し合え。彼女に好きになってもらえたなら、僕たちも応援する」

「アリス嬢に・・・アリス嬢。僕はアリス嬢を一目見た時から惹かれた。それが番相手だからと言われたら、反論は出来ない。だけど、君を好きだということをこれから信じてもらえるよう努力する。だから、その・・・」

「精霊王様。私は番とかそういうことは分かりません。そして、伯爵家を継ぐ者として、婿を取らなければならない立場にあります。たとえそれが政略結婚だとしても、時間をかけて歩み寄り、お互いを敬えるようになれたらと思っています。ですから、まずはお友達からでいいでしょうか?」

「友達・・・」

 精霊王様相手に、ずうずうしいお願いだと思います。
 でも、どうしてもサイード様とのことが頭から消えてくれないのです。

 番だとおっしゃっていますから、他の方に心奪われることはないだろうとは思います。
 でも、また他の方と出会ってしまわれたら・・・

 番だと言われているのに、他の方を運命の相手だと言われたら、私はもう誰かを好きになることはできなくなるんじゃないかと、怖いのです。

「・・・わかった!友達からでいい!」

「精霊王様・・・」

「できれば、カインと呼んで欲しい。その・・・慣れてからでも構わないから」

 私の我儘を聞いてくださったのです。せめて、そのお願いくらいきくべきですよね。

「カイン様・・・」

「ッ!ありがとう、アリス嬢」

「良かったな、カイン。これから、時間をかけて、まずは婚約者になれるよう、お互いを知らなきゃな」

 王太子殿下の言葉に、私も頷きます。
もちろん、政略結婚相手として婚約することは出来ますが、できることなら今回はお互いを知ってから婚約したいのです。

 だって、好かれてると思っていた方から突き放され、また婚約解消なんかになったら、もう次の婚約は望めないでしょうから。



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