決めたのはあなたでしょう?

みおな

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私には荷が重すぎて

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 結局あの後、精霊王様は何もお話にならずに戻られてしまいました。

 私、お怒りをかってしまったのかしら。
マリンティア様に確認してみますとか、曖昧にお答えするべきだったのかもしれません。

 たかが伯爵令嬢風情が、国王陛下のお誘いをお断りするなんて。

 自分の至らなさに落ち込んでいた私の元に、サザンスィート王国王太子殿下がマリンティア様と共に訪れて下さいました。

「アリス、元気を出して」

「マリンティア様・・・申し訳ございません。大丈夫です。お気遣いいただき、ありがとうございます」

「そんなことは良いのよ。アリスは私の大切なお友達だもの。ね?ジュリアンお兄様」

「ああ。ジョージアナ嬢が謝ることなどないよ。それに、アイツは別に怒ったわけじゃないから」

 マリンティア様や王太子殿下にまで、お気を使わせて、本当に申し訳なさで泣きそうです。

 大体、私はマリンティア様のお話相手として同行させていただいているのに、自分のことばかりで、何をしているのでしょうか。

「でも、ジュリアンお兄様。番様って何ですの?」

「僕もアイツから聞いただけだから、これが絶対だとは言えないけどね」

 王太子殿下はそう前置きしてから、お話下さいました。

 番とは、精霊王様にとってそれこそ運命のお相手なのだそうです。

 番を得た精霊王様は、膨大なお力を得ることが出来るのだそうですが、力がどうこうよりも、番の存在は精霊王様にとってかけがえのないものなのだとか。

 その愛情は、執着心と言ってもおかしくないほどで、番を失った精霊王様は儚くなられてしまうのだそうです。

 ただ、番は人間の中にしか生まれないそうで、出会えない精霊王様がほとんどなのだとか。

 番になれるのは、精霊を見ることができ、その声を聞くことができ、そして触れることが出来る人間のみだそうです。

 ええと。
ちょっと待ってください。
 アエラスくんは、私のことを番様と呼びませんでしたか?

 冗談ですよね?

 私は一目惚れされた婚約者にすら婚約解消された、伯爵家の娘です。

 あの見目麗しい、国王陛下である精霊王様にとって、代え難い存在なわけがないですよね?

「カインは、ジョージアナ嬢が番だと言っていたよ」

「わ、私には荷が重すぎます・・・」

 私は首を横に振りました。
お断りすれば、国に害が及ぶかもしれません。
 ですから、もしも望まれればお受けするしかありません。

 でも・・・

 

 




 

 
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