22 / 82
妖精さんの・・・王様?
しおりを挟む
結局、カイン様のおっしゃった通りに、二人きりでお話することになりました。
王太子殿下とマリンティア様は止めて下さったけど、国王陛下が承認されたのです。
他国の、伯爵令嬢風情が異論を唱えるわけにはいきません。
「甘いものは?好き?」
カイン様は甲斐甲斐しく、私にお菓子を勧めてくださったりするのですが、少し距離が近くありませんか?
どうしてお隣に、お座りになられるのでしょうか?
「あ、あの・・・ベルスィート様・・・」
「カインだ」
「・・・」
「カインと呼んで。アリス嬢」
婚約者でもない殿方のことを、お名前でお呼びすることは出来ません。
ですが、王族で有られそうなカイン様のお言葉に逆らうこともできません。
こんな時、マリンティア様がいらっしゃったら、助言して下さるのに。
どうするのが正しいのかしら。
『王様~、無茶言ったらかわいそうだよ』
「どこが無茶なんだ?」
『だって、困ってるみたいだもん。ねー?』
私の顔の前で、同意を求めてきたのは・・・
「妖精さん?」
そう。昨夜、お会いした妖精さんです。
ニコニコしながら、私の膝の上に降りてこられました。
『ちょっと違う~。妖精じゃなくて、精霊だよ~』
「近い!」
お膝の上でくつろぎ始めた妖精さんを、カイン様がヒョイ!とつまみ上げました。
『王様、ひどぉ~』
ええと?
お二人はお知り合いなのでしょうか?
え。ちょっと待ってください。
今、妖精さん・・・いえ、精霊さんはカイン様のことを『王様』とおっしゃっていませんでしたか?
王様?
王太子殿下や王子殿下でなく・・・国王陛下?
全身から、血の気が引いていくのがわかります。
『あ。ちょ、ちょっと、王様!たいへん!』
「ん?あ、アリス嬢?顔が真っ青だ。具合が悪いのか?」
「も、申し訳ございません・・・国王陛下とは知らず、ご無礼をお許しください」
声が震えます。
しっかりしなくては。
私の失態は、レンブラント王国の失態です。
私は、マリンティア王女殿下と共に、親善大使としてこの国に訪れているのですから。
「何を謝る?君は何もしていない」
『そうだよ~。悪いのは、王様に違いないよ。だから、そんな不安そうな顔しないで~?昨日みたいに笑ってくれると、僕、嬉しいな~』
カイン様・・・国王陛下に捕まっていた精霊さんが、その手から逃れて、私の頭の上で髪を撫でてくれます。
その小さな手で、私を励ましてくれているのが分かった私は、ぎこちなくも微笑んで見せました。
「・・・ッ!かわいい」
『王様、きも~』
何か小さく呟かれたカイン様が顔を背けられたけど、どうされたのかしら?
それから、精霊さん。
そんなお言葉使っちゃ駄目ですわ。
王太子殿下とマリンティア様は止めて下さったけど、国王陛下が承認されたのです。
他国の、伯爵令嬢風情が異論を唱えるわけにはいきません。
「甘いものは?好き?」
カイン様は甲斐甲斐しく、私にお菓子を勧めてくださったりするのですが、少し距離が近くありませんか?
どうしてお隣に、お座りになられるのでしょうか?
「あ、あの・・・ベルスィート様・・・」
「カインだ」
「・・・」
「カインと呼んで。アリス嬢」
婚約者でもない殿方のことを、お名前でお呼びすることは出来ません。
ですが、王族で有られそうなカイン様のお言葉に逆らうこともできません。
こんな時、マリンティア様がいらっしゃったら、助言して下さるのに。
どうするのが正しいのかしら。
『王様~、無茶言ったらかわいそうだよ』
「どこが無茶なんだ?」
『だって、困ってるみたいだもん。ねー?』
私の顔の前で、同意を求めてきたのは・・・
「妖精さん?」
そう。昨夜、お会いした妖精さんです。
ニコニコしながら、私の膝の上に降りてこられました。
『ちょっと違う~。妖精じゃなくて、精霊だよ~』
「近い!」
お膝の上でくつろぎ始めた妖精さんを、カイン様がヒョイ!とつまみ上げました。
『王様、ひどぉ~』
ええと?
お二人はお知り合いなのでしょうか?
え。ちょっと待ってください。
今、妖精さん・・・いえ、精霊さんはカイン様のことを『王様』とおっしゃっていませんでしたか?
王様?
王太子殿下や王子殿下でなく・・・国王陛下?
全身から、血の気が引いていくのがわかります。
『あ。ちょ、ちょっと、王様!たいへん!』
「ん?あ、アリス嬢?顔が真っ青だ。具合が悪いのか?」
「も、申し訳ございません・・・国王陛下とは知らず、ご無礼をお許しください」
声が震えます。
しっかりしなくては。
私の失態は、レンブラント王国の失態です。
私は、マリンティア王女殿下と共に、親善大使としてこの国に訪れているのですから。
「何を謝る?君は何もしていない」
『そうだよ~。悪いのは、王様に違いないよ。だから、そんな不安そうな顔しないで~?昨日みたいに笑ってくれると、僕、嬉しいな~』
カイン様・・・国王陛下に捕まっていた精霊さんが、その手から逃れて、私の頭の上で髪を撫でてくれます。
その小さな手で、私を励ましてくれているのが分かった私は、ぎこちなくも微笑んで見せました。
「・・・ッ!かわいい」
『王様、きも~』
何か小さく呟かれたカイン様が顔を背けられたけど、どうされたのかしら?
それから、精霊さん。
そんなお言葉使っちゃ駄目ですわ。
応援ありがとうございます!
16
お気に入りに追加
4,424
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる