決めたのはあなたでしょう?

みおな

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身の丈に合ったものを

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 刻朝、早々にマリンティア様からお呼び出しがかかりました。
 私、何か粗相をしたかしら。

 急いで支度をしてマリンティア様の元へ向かいます。

「マリンティア様、おはようございます」

「おはよう、アリス。入ってちょうだい」

「はい。失礼いたします」

 マリンティア様のお使いになっているお部屋に失礼します。

 そこには、数十着のドレスや、靴、宝飾品と、所狭しと並べられていました。

 何が始まるのかしら?
そういえば、この訪問はマリンティア様のお見合いを兼ねているとお聞きしているから、正式にお見合いをされるのかしら?

「アリスの淡い色合いの髪や瞳には、はっきりした色の方が似合うと思うのよね」

「そうですね。ですが、お可愛らしい方ですので、パステルカラーの方がよろしいのでは?」

「そうね。その薔薇色か、水色はどうかしら?」

 マリンティア様が、お付きの侍女の方と相談されているのを、立ったまま眺めます。

 なんだか話の内容をお聞きする限り、私の話みたいなんですが、何故マリンティア様が着られるドレスを眺めながら、私の話をされているのかしら?

「ねぇ、アリスはどの色のドレスが好き?」

「え?私ですか?マリンティア様のオレンジ色のお髪には若草色もお似合いだと思いますし、サファイア色の瞳には澄んだ水色もお似合いだと思います」

「え?私に似合っても仕方ないわ。アリス自身が好きな色を聞いているのよ」

 マリンティア様はとてもお綺麗ですし、確かに何色でもお似合いになられます。

「私の好きな色、ですか?」

「ええ。一応、白と黒以外は揃えてみたけど、この中に好きな色とか、デザインはある?」

 目の前に並ぶドレスは、淡い色合いからハッキリとした色合いまで揃っています。
 デザインも、フリルがあったり、刺繍があったりと少しずつ違います。

 私は、マリンティア様のように大人びたデザインは似合いません。

 子供体型というほどではありませんが、年齢の割に小柄で、実年齢より下に見られることが多いのです。

 ですから、できる限り身の丈に合ったドレスを選ぶようにしています。

 かといって、フリルやリボンの多いドレスは、子供っぽくなり過ぎるので、シンプルなデザインに刺繍をされているものを好んで着ています。

 並ぶドレスの中で、裾に綺麗な蔦模様の刺繍が入ったドレスがありました。

 淡い若草色のドレスはシンプルなAラインですが、裾に濃い緑や黄色で刺繍が入っているのです。

「あら?その若草色?」

「はい。この刺繍がとても素敵だと思います」

「じゃあ、それに着替えましょうか」

 はい?私が着替えるんですか?


 


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