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みおな

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王太子殿下、現る

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「ちょっと、アリス。そんなに緊張しなくても大丈夫よ?」

 ちょっと呆れを含んだマリンティア様ですが、無理です。
 他国の王太子殿下とお会いするんですから。

 一応、サザンスイート王国の言葉も学んではいますし、特産物や歴史なども予習復習してきましたが、私の言動でマリンティア様たちにご迷惑をかけることになったりしたら・・・

「ジュリアンお兄様は、お優しい方だから大丈夫よ」

 マリンティア様のおっしゃるジュリアンお兄様とは、このサザンスイート王国の王太子殿下のことですね。

 そういえば、サザンスイート王国の王太子殿下は、マリンティア様のお兄様である第二王子殿下のご友人だとおっしゃっていました。

 お優しいのは、マリンティア様相手だからではないのでしょうか。

「そういえば、私と知り合った頃も、アリスは緊張していたわね」

「うちは伯爵家ですから、王族の方のご友人候補になるとは思っていなかったのです」

 本来なら、公爵家か侯爵家のご令嬢がご友人になるはずなのです。

 ですが、公爵家も侯爵家もマリンティア様のお兄様方と近いご年齢の方ばかりだったので、私がご友人になれたのです。

「でも私は、アリスと友達になれて良かったわ」

「わ、私もマリンティア様のお友達になれて嬉しいです。それにマリンティア様のおかげで、貴族の令嬢として成長することが出来そうです」

 今のままでは、伯爵の爵位を継ぐことは出来なかったでしょう。
 お父様も安心して、任せられなかったと思いますわ。

 まだまだ一歩ずつですが、この旅から戻る頃には、少しは成長出来ているように頑張らなければなりません。

「ふふっ。アリスは本当に可愛いわ。この可愛さをどうしてスペンサー侯爵子息はわからないのかしら?」

「私の未熟さをあの方は見抜いていたんですわ。そして、あの方にとってナターシャ様はきっと特別なのですわ」

 私の、貴族令嬢としての甘さを見抜いていたから、政略結婚相手の私に婚約の解消を直接申し入れて来られた。

 そして、伯爵家に入婿に入るよりも、男爵令嬢であるナターシャ様が魅力的だった。

 そういうことだと思います。

 少々、順番を間違えられたせいで、慰謝料が発生してしまいましたが、きっとナターシャ様との真実の愛を貫くために、さっさとお払いになると思いますわ。

「面白そうな、話をしているね」

「ジュリアンお兄様!お久しぶりですわ」

 現れたのは・・・

 宵闇のような藍色の髪に、アメジスト色の瞳をされた美丈夫。

 この方がこの国王太子殿下なのですね。













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