決めたのはあなたでしょう?

みおな

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今はまだダメでも

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 自分の情けなさに、思わずうなだれてしまう。

 私は、選択を間違えたのね。
いえ。婚約解消だとしても、ちゃんとお父様に慰謝料を請求するように伝えるべきだったんだわ。

 自分が嫌われたくなくて、誰にでもいい顔をしようとしたから。
 私の選択ミスのせいで、伯爵家がなめられたりしたら、私の責任だわ。

 どうしましょう。
お父様はしっかりした方だけど、私にはとても甘い。

 いけないことだと分かっていても、私の願いだからって、解消しか求めないかもしれないわ。

「・・・リス。アリス?」

「あ、申し訳ございません。自分の甘さを痛感してしまって・・・」

 本当に、私は駄目ね。
マリンティア様の前だというのに、自分の考えに意識を向けてしまうなんて。

「そうね。アリスは貴族の令嬢としては、正しくないわね。でも、それだけスペンサー侯爵令息のことが好きだったのでしょう?嫌われたくなくて、婚約解消を受け入れるしかなかったんでしょう?」

「マリンティア様・・・」

「それに、きっと伯爵も侯爵も貴族として正しい判断をされるわ。アリスは間違いに気付いた。これから正しく判断すれば良いのよ」

 お父様も、侯爵様も、正しく判断される?

 私は、変わっていけるのかしら?
今でも、あの人に嫌われたくないと思っているのに?

 いいえ。いつまで、終わった恋にしがみついているつもり?
 はっきりと言われたんじゃない。彼女を愛しているって。
 婚約解消したいって。

 政略結婚が主な貴族だとしても、その相手は私では駄目だと、サイード様は暗に言ったのよ。

 だから、変わっていけるのかじゃなく、変わらなければいけないのよ。

 マリンティア様のおっしゃっていることは、そういうことよ。

 しっかりしなさい。
そう自分を叱咤するけれど、どうしてもサイード様の顔が脳裏にチラついてしまいます。

 私が、慰謝料を請求したら、スペンサー侯爵家から廃籍されてしまうかもしれません。

 サイード様が今後どうされるつもりなのかは知りませんが、相手のご令嬢の入婿になるにしても、侯爵家の次男である必要はあるはず。

 あの人に憎しみに染まった目で見られてしまう・・・

 いいえ。いいえ。
いっそ憎まれれば良いではないの。
 そうすれば、少なくともサイード様の心の中に残ることができるのだから。

 愛情の反対は、無関心だと聞くわ。
それとも、無関心になられた方が諦めがつくのかしら。

「マリンティア様。私は・・・」

「分かっているわ。そんなにすぐに強くはなれないわよね。でも、私がいるわ。お兄様たちも、伯爵様も。それにアリスの力になりたいって思う人は案外近くにいるかもしれなくてよ」

 よくわかりません。
でも、皆様の力を借りて、私は変わっていかなくてはなりません。

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