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最終話:あなただけの聖女
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結局、ネモフィラ王国の王太子殿下は、メルキオール王国が聖女を監禁していると各国に訴えたようです。
そして、ものの見事に各国から無視されたそうです。
そもそも、魔物よりも強い力を持つ魔族が、わざわざ聖女を監禁する必要性がないこと。
現在のメルキオール王国は、人間の国が魔物に襲われないように、要請を受ければ魔物討伐をしていること。
かつて聖女がいた頃のネモフィラ王国が、全くもって他国に協力的でなかったこと。
それらのことで、ネモフィラ王国王太子殿下の言葉は、他国には信用されなかったみたいです。
その結果。
ネモフィラ王国から多くの民が逃げ、近隣諸国から侵攻を受けて、どこかの国の属国になったそうです。
それが良いことなのか悪いことなのか、私には判断がつきませんけど、属国になったことで魔物の襲撃に民が怯えなくて済むようになったのなら、良かったのではないでしょうか。
私はというと・・・
「おねぇちゃーん!」
「カナちゃん、おはようございます」
カナちゃんたち子供が通う学校というところで、私もお勉強を一緒にしています。
メルキオール王国では、平民の子供も無償で計算や文字の読み書きが学べる、学校というものがあるそうです。
私はずっと聖女としての務めしかさせてもらえませんでしたから、はっきり言って知識は子供以下です。
ジッとしているのが申し訳なくて、ついつい回復薬作りに没頭してしまう私に、ノワールさんが提案してくれました。
勉強をしてみませんか?と。
王宮でイブリンたちに教わることも出来るのですが、カナちゃんが一緒に通おう?って誘ってくださったのです。
カナちゃんだけでなく、他の子供たちもみんな私に親切です。
私がわからないところは、丁寧に教えてくれますし、一緒に遊んでくれたりします。
「おねぇちゃんは、魔王さまのお妃さまになるの?」
「うーん、そうですね。私がもっともっとお勉強して、お妃さまに相応しくなったら、なれたらいいなって思います」
「じゃあ、魔王様が結婚してくれなかったら、俺が姉ちゃんと結婚してやるよ」
「それは駄目だ。ルディアは俺のだからな」
子供たちとたわいもない話をしていたら、後ろから聞き慣れた声がしました。
「「あっ、魔王様」」
「ヴィンセント様」
「ルディア、迎えに来た。それから、ザビ。ルディアがみんなと学びたいというから妃に迎えるのを我慢してるんだ。だから、お前は他の子を嫁にしろ。ルディアは俺のだ」
「はぁーい」
ふふっ。ザビくんは、カナちゃんのことが好きなんですよ。
多分、カナちゃんにヤキモチ妬いて欲しくて言ったんだと思います。
カナちゃんは可愛いですから、男の子に大人気なのです。
「ルディア、帰ろう」
「はい。じゃあ、みんな、また明日」
「「「また明日ね~」」」
みんなと手を振って別れます。
こんな幸せな時間を過ごせるなんて、あの頃の私からは考えられません。
あれから全然、女神様のお声を聞くことはできませんが、見ていてくれているでしょうか。
私はこんなにも幸せです。
「ヴィンセント様」
「ん?どうした」
「ノワールさんが合格って言ってくれたら、お妃さまにしてくださいね?ヴィンセント様、大好きです」
「ああ。もちろんだ。これからもずっと一緒にいよう。俺も愛している」
私の居場所は、ヴィンセント様の隣です。
私は魔王様の聖女なのですから。
***おしまい***
そして、ものの見事に各国から無視されたそうです。
そもそも、魔物よりも強い力を持つ魔族が、わざわざ聖女を監禁する必要性がないこと。
現在のメルキオール王国は、人間の国が魔物に襲われないように、要請を受ければ魔物討伐をしていること。
かつて聖女がいた頃のネモフィラ王国が、全くもって他国に協力的でなかったこと。
それらのことで、ネモフィラ王国王太子殿下の言葉は、他国には信用されなかったみたいです。
その結果。
ネモフィラ王国から多くの民が逃げ、近隣諸国から侵攻を受けて、どこかの国の属国になったそうです。
それが良いことなのか悪いことなのか、私には判断がつきませんけど、属国になったことで魔物の襲撃に民が怯えなくて済むようになったのなら、良かったのではないでしょうか。
私はというと・・・
「おねぇちゃーん!」
「カナちゃん、おはようございます」
カナちゃんたち子供が通う学校というところで、私もお勉強を一緒にしています。
メルキオール王国では、平民の子供も無償で計算や文字の読み書きが学べる、学校というものがあるそうです。
私はずっと聖女としての務めしかさせてもらえませんでしたから、はっきり言って知識は子供以下です。
ジッとしているのが申し訳なくて、ついつい回復薬作りに没頭してしまう私に、ノワールさんが提案してくれました。
勉強をしてみませんか?と。
王宮でイブリンたちに教わることも出来るのですが、カナちゃんが一緒に通おう?って誘ってくださったのです。
カナちゃんだけでなく、他の子供たちもみんな私に親切です。
私がわからないところは、丁寧に教えてくれますし、一緒に遊んでくれたりします。
「おねぇちゃんは、魔王さまのお妃さまになるの?」
「うーん、そうですね。私がもっともっとお勉強して、お妃さまに相応しくなったら、なれたらいいなって思います」
「じゃあ、魔王様が結婚してくれなかったら、俺が姉ちゃんと結婚してやるよ」
「それは駄目だ。ルディアは俺のだからな」
子供たちとたわいもない話をしていたら、後ろから聞き慣れた声がしました。
「「あっ、魔王様」」
「ヴィンセント様」
「ルディア、迎えに来た。それから、ザビ。ルディアがみんなと学びたいというから妃に迎えるのを我慢してるんだ。だから、お前は他の子を嫁にしろ。ルディアは俺のだ」
「はぁーい」
ふふっ。ザビくんは、カナちゃんのことが好きなんですよ。
多分、カナちゃんにヤキモチ妬いて欲しくて言ったんだと思います。
カナちゃんは可愛いですから、男の子に大人気なのです。
「ルディア、帰ろう」
「はい。じゃあ、みんな、また明日」
「「「また明日ね~」」」
みんなと手を振って別れます。
こんな幸せな時間を過ごせるなんて、あの頃の私からは考えられません。
あれから全然、女神様のお声を聞くことはできませんが、見ていてくれているでしょうか。
私はこんなにも幸せです。
「ヴィンセント様」
「ん?どうした」
「ノワールさんが合格って言ってくれたら、お妃さまにしてくださいね?ヴィンセント様、大好きです」
「ああ。もちろんだ。これからもずっと一緒にいよう。俺も愛している」
私の居場所は、ヴィンセント様の隣です。
私は魔王様の聖女なのですから。
***おしまい***
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